一般(売買)に関する相談

危険負担と契約当事者の解除権…やっぱり法律は難しい!?
お世話になります。
この度仲介業者を通じて、買主(建売業者=事業者)と売主(消費者=個人)とで契約を行う予定です。私が売主にあたります。
契約に際して契約書の草案を拝見したところ、「天災地変等により対象地が毀損した場合の損害補てんは売主にて行う」とありました。その後述として、「契約の目的が達成できない場合には、「買主は」契約を解除することが出来る」との記載もありました。文章で解釈した場合、売主である当方からは解除が出来ない、つまり解除権が無いようにとれます。
損害額にもよりますが、高額な補填費用を請求されるようであれば、当方からも解除をしたいと考えます。また、事業者と個人の契約のため、消費者契約法により事業者にのみ解除権があり、個人に解除権がない特約は無効にならないのでしょうか。不可抗力である天災地変により売買契約目的物が大きく毀損し、尚且つ多額の補修や補填費用が発生してしまう可能性のある契約内容に一抹の不安が残ります。
  • 1.解除権が買主(事業者)にのみある特約は妥当か
  • 2.解除権が買主(事業者)にのみある特約は消費者契約法に抵触し無効とならないのか
  • 3.上記2の無効となる場合、有効である場合とで見解が分かれるなら、その境はあるのか(例えば損害額の多少による)。
万が一の損害については想定でしか判断できないと思いますが、上記特約をどの様に捉えるべきか、ご教授ください。
よろしくお願いいたします。
危険負担とは、契約成立後(双務契約)の一方の債務が、債務者の責めに帰すべからざる事由により消滅した場合、他方の債務が消滅するのかどうか、つまり、その「危険」を負担するのはどちらかという問題です。
我が国の民法は、危険負担について534条で契約の目的物が特定物である場合は債権者の負担(債権者主義)とする一方で、536条で不特定物である場合は債務者の負担(債務者主義)としています。つまり、特定物であれば買主は代金を支払い(代金支払義務は存続する)、不特定物であれば売主は代金を請求できない(買主の代金支払義務は消滅する)とされているのです。しかし、不動産(特定物とされる)のような高額な物の場合は、契約上の特約で債務者主義(危険負担は売主が負う)を採用することが一般的です(民法534、536条は任意規定)。

以上を念頭に、貴殿の疑問に対して解説していきます。
まず、【「天災地変等により対象地が毀損した場合の損害補てんは売主にて行う」とありました。その後述として、「契約の目的が達成できない場合には、「買主は」解除することが出来る」との記載もありました。】という部分ですが、本件では債務者主義を採用しているところ、売主(債務者)が当該不動産を引渡す債務に対する危険(不可抗力による毀損等の修復債務=リスク)の負担を負っている、言い換えれば、売主は契約どおりの不動産を引渡す義務を負っているのですから、毀損修復が出来ない目的物を引き渡されても買主が契約の目的を達せられない場合、解除権者は買主(債権者)であることは当然です。あくまで、この特約による債権債務の関係性です。

次に、【文章で解釈した場合、売主である当方からは解除が出来ない、つまり解除権が無いようにとれます。】という部分は、危険負担を債務者主義とする本件において、民法536条1項は、「当事者双方の責めに帰することができない事由によって債務を履行することができなくなったときは、債務者は、反対給付を受ける権利を有しない。」と規定していますので、不可抗力により売主(債務者)に帰責事由がない場合で毀損修復に多額の費用が掛るなど、修復が不可能で目的物を契約どおりに引渡せない(履行不能)のですから、売主は代金を受け取ることは出来ない、つまり買主の代金支払い債務は消滅するということになります。従って、売主から契約解除をなさずとも買主(債権者)が解除権を行使するのは当然で、遡及的に契約前の状態に戻せることになります。
※民法の規定上、債務不履行のうち、履行不能(民法543条)による契約解除権(法定解除権)も、履行不能が債務者の責めに帰すことの出来ない事由によるときは債権者に解除権は発生しないとしていることから、危険負担の特約において債権者に解除権(約定解除権)を留保させることも一般的です。

他方、売主(債務者)の側から契約解除が出来ない(解除権を留保させていない)という理屈は、あくまで危険負担に該当した場合に限っては、上述のとおり売主の履行不能という原因によって買主の支払債務も消滅し、当事者間の債権債務関係が解消される以上、売主から契約を解除する理由がない、つまり債務者に解除権が留保されていなくても問題とはならないということでしょう。因みに、危険負担の特約では、債務者に対する免責(不可抗力条項)が規定されることが一般的です。本件ではそこまで規定されているかどうかの情報がありませんが、免責条項が無い場合であっても、民法419条3項の規定(金銭を支払う債務においては不可抗力をもって抗弁できない)の反対解釈として、金銭債務以外の債務については、不可抗力をもって責任を免れることができるとされています。つまり、契約を履行できなかった場合、相手方から損害賠償請求や契約解除をされる危険がありますが、こちらが契約をできなかったのは不可抗力によるためだったということを立証できれば、相手方からの損害賠償請求等の責任追及を封じることができます。

以上より本件に関するご質問に対する回答としては
  • 1.解除権が買主(事業者)にのみある特約は妥当か
    →解除権が債権者に留保されるという理解であれば妥当と言えます。
  • 2.解除権が買主(事業者)にのみある特約は消費者契約法に抵触し無効とならないのか
    →1.の回答を前提とするなら消費者契約法に抵触することはないと言えます。
  • 3.上記2の無効となる場合、有効である場合とで見解が分かれる境はあるのか(例えば損害額の多少による)
    →本件危険負担においては2.のとおりですが、他の取り決めにおいて消費者契約法に反する解除権や取消権の制限は無効となる場合も当然あります(本件とは無関係ですが)。

最後に、本件の場合、買主事業者が用意した契約書を使用していると思われますので、前述した不動産取引の慣行に則った特約(危険負担の債務者主義)が付されていると推測します。貴殿の側に立って具体的な解決策を助言するとすれば、当該特約の危険負担に関する特約を以下のとおり変更することを買主と合意され、現行の特約を入れ替えれば如何でしょう。

参考(危険負担特約)
本物件の引渡し前に天災地変、その他売主および買主いずれかの責に帰すことができない事由により、本物件が滅失もしくは毀損したときは、次のとおり処理するものとします。
  • 1)本物件の一部が滅失・毀損した場合
    売主はその負担においてこれを修復して買主に引き渡しするものとします。この場合、修復に要する期間だけ引渡し時期が延期されても、買主は異議を申し立てないものとします。
  • 2)本物件の全部が滅失・毀損した場合、または本物件の一部が滅失・毀損した場合においてその程度が甚大で修復に多額の費用を要するときは、売主は本契約を解除することができます。
  • 3)前項により本契約が解除された場合、売主は受領済みの金員を無利息にて遅滞なく返還しなければなりません。なおこの場合売主・買主双方とも相手方に対し損害賠償請求はできないものとします。
2017.06.05
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私道に面する宅地の問題…購入すると損をする??
古家のある宅地購入を検討しておりますが、私道(登記上の地目は宅地)に面しております。ただその私道の地権者は1名のみで、数十年前に他界されているとのことです。その後相続等、どのようになったのかは不明で、地権者やその関係者とは何ら連絡が取れない状況のようです(仲介不動産会社の説明)。
しかし、市はその私道の存在を確認(建築基準法42条2項道路で公衆用道路認定あり)しており、そのような状況でも建築を容認するそうです。また、その私道に関し、上水道手配は市、下水道は地権者負担となっているそうです(これも仲介会社の説明)。
上記説明を得ているのですが、購入するにあたり不安、疑問があります。
  • 1.地権者が他界され、この私道に課徴すべき固定資産税等はどのようになっているのか?市は課徴放棄しているのか?
  • 2.将来、他界された地権者の相続人や親族、利害関係者が突然現れて、私道の使用料の請求(現在は使用料の支払い等は発生していません)、或いは不払いとした場合に私道の通行拒否を主張された場合、現存する近隣居住者(8軒あり)はどのような対抗処置を講ずることが法的に認められるのか? 最悪、市が建設許可を出して建設した住宅に出入りできなくなる可能性はあるのか?
    また、そのように突然現れた者と一近隣居住者が結託して、私道の所有権を移転した場合、その一近隣居住者とその他の居住者間で紛争となるリスクは? (法的にそのような他の居住者を無視した所有権移転は認められるのか? 市は何か現存居住者に保護処置を講ずるのか?)
  • 3.このような物件を購入する場合、買い手として売買契約書に挿入すべき特約は何か?
  • 4.その他本件に関するアドバイス、或いは現状で仲介業者または売主に事前確認すべき事項
以上です。よろしくお願いいたします。
貴殿の情報に沿って、当職において次の通り前提条件を整理し、その場合における一般的な見解を記します。
  • 1.貴殿ご購入予定の宅地(古家付)に面する建築基準法上必要な道路は同法42条2項道路(私道)であるが、所轄行政庁では公衆用道路(登記上の地目は宅地)として認定している。
  • 2.当該道路については、地権者登記名義人は1名であるが、本人は死亡しており、現在の所有者は不明である。
  • 3.当該私道に関係する近隣居住者等は8軒であり、当該私道を日常の生活道路として利用している。
  • 4.当該私道の利用に関し、通行料等の負担は過去も現在も課されていない。

ご質問に対する回答
  • 1.地権者が他界され、本来同私道に課徴すべき固定資産税はどのようになっているのか?市は課徴放棄しているのか?

前提条件から推測(あくまでも推測)すれば、当該私道は行政庁(市役所)において「公衆用道路」と認定されているところ、それが地方税法上の取扱いとしての公衆用道路認定であれば、当該土地に対する固定資産税、都市計画税は課税されないこととなります(地方税法348条2項5号、702条の2)。公衆用道路としての当該認定には、行政庁が現状を調査し、不特定多数の者の利用が可能であることを確認しなければ原則として認定されませんので、当該市役所でご確認下さい。

2−1.将来他界された地権者の相続人や親族、利害関係者が突然現れて、私道の使用料の請求、或いは不払いとした場合に私道の通行拒否を主張された場合の対抗策は?

1.で回答のとおり、公衆用道路認定があれば、不特定多数の通行の用に供していることが明らかです。また、貴殿ら8軒の所有者等も、この私道がなければ公道に出られない等、日常生活上不可欠の利益を有すると判断された場合は、私道所有者らの規制、妨害について排除請求が認められます(東京地裁判決・平成12年5月22日・判例マスタ)。
また、私道の通行料に関してですが、前述した行政上の公衆用道路認定がされているから(本件では登記上は宅地)といって、一般公道(道路法)と同様ではありません。つまり、他人の土地である以上、所有者が現れ、ご質問の様に財産上の権利を主張されることは考えられることです。このようなケースでの紛争は稀ではありません。要は話し合いによって解決せざるを得ないと思料します。

2-2.突然現れた者と一近隣居住者が結託して、私道の所有権を移転した場合、その一近隣居住者とその他の居住者間で紛争となるリスクは?法的にそのような他の居住者を無視した所有権移転は認められるのか? 市は何か現存居住者に保護処置を講ずるのか?

ご質問はいささか飛躍しすぎの感も否めませんが、当該私道が行政処分によって公衆用道路とされているのであれば、公法上の利益が認められ、それを害する権利の行使については一定の制限を課すことは当然です(建築基準法45条)。また、第三者に所有権を移転(これは自由です)したとしても、当該公衆用道路の持つ公法上の利益も付随して移転されますので、貴殿らの利益が損なわれることは考えられないと思料します(通行妨害が権利乱用、不法行為となり得る)。
【私道の変更又は廃止の制限】
建築基準法 第45条・・私道の変更又は廃止によって、その道路に接する敷地が第43条第1項の規定又は同条第2項の規定に基く条例の規定に抵触することとなる場合においては、特定行政庁は、その私道の変更又は廃止を禁止し、又は制限することができる。

  • 3.このような物件を購入する場合、買い手として売買契約書に挿入すべき特約は何か?

本件ご質問では触れられていませんが、古家を取り壊し、建物を新築する前提で売買されるのであれば、建築確認を停止条件として特約することは必要でしょう。特約文面等詳しくは仲介会社にご確認下さい。また、ご質問の文中に、「市はその私道の存在を確認しており、そのような状況でも建築を容認するそうです。また上水道手配は市、下水道は地権者負担となっているそうです。」とありますが、上水道が市、下水道が地権者負担という部分は逆ではありませんか?通常、上水道の引き込みは受益者負担が原則です。一方、下水道に限っては、下水道法11条により、地権者不明の場合でも公共の福祉が優先されるとして、行政による工事を可能としています(水道法にはそのような規定はない。ガスも同様)ので、再度仲介会社に確認してみて下さい。
そのうえで、まず、建築の許可は確認申請の結果ですので前述した停止条件特約と、上下水道(必要であればガス)工事の許可(私道所有者が判明した場合はその承諾)を停止条件とすべきでしょう。

  • 4.その他本件に関するアドバイス、或いは現状で仲介業者または売主に事前確認すべき事項
  • 1.本件道路は建築基準法42条2項道路であるなら、道路幅員は4m未満であることから、該当宅地に道路提供部分があるはずです(所謂セットバック)。
  • 2.古家の解体工事を行う場合や建築工事に際し、車両の通行についても確認しておくこと。
  • 3.その他、上記を仲介業者にしっかりと伝え、口頭の説明ではなく、重要事項として書面に記載を求めて下さい。また、売主には道路使用における出来る限りの情報をご提供願い、物件状況報告書(書類の名称は問わず)等に記載して書面で受け取ることです。

  • ※私道であるからといって、そのような宅地を購入することは留意点は勿論ですが、その分、宅地の評価は低く、公道に接する宅地に比して安価で購入できるというメリットもあります。要は、私道のリスクを知り、事前に可能な限りのリスクヘッジに備えることが大切です。
2016.08.05
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収益物件の売買のポイント…賃料滞納者の債権回収は?
収益一棟のビルを購入しようと思っています。
敷金持ち回り、売主は設備の瑕疵担保責任は免責、満室(ただし、賃料滞納あり)など、不動産概要書に条件が書かれています。素人ですので、その意味があまりよくわかっていません。
これらの意味と、この不動産を購入し、所有していくためにはどんな注意が必要でしょうか?宜しくお願いします。
まず、現在稼働中の収益ビルを購入する為、買主として注意すべき点として、売買契約締結に至るまでに当事者(売主と買主)間でどのような条件で当該物件を売買するのかを確定させることが重要です。以下、ポイントを整理します。
1)賃貸人としての地位の継承
賃貸借契約が付随する不動産の売買において、賃借人の所有者変更に対する同意を必要とされないのは、旧所有者の賃貸人としての地位をそのまま新所有者へ継承させる場合である(最高裁判決・昭和46年4月23日)から、当事者間においてはその旨を特約により明示する必要があります。
2)建物内部の未確認設備等の瑕疵担保責任
賃貸不動産の売買では、賃借人が使用中の各戸設備の状況等が不明であったり、調査が出来なかったりします。その状況下で取引を行う場合、引渡し後の瑕疵修補の負担について当事者間で取り決めておく必要があります。
3)賃借人との契約内容が各戸によって異なることは容易に想像できます。それぞれの契約内容を全て当事者間で継承させることが肝要です。特に最近では反社会的勢力とみなされる個人、法人が入居者に存在した場合、隠れた瑕疵として売主が担保責任を負うこととなりますので、それら聞き取り調査も含め、事実の調査報告を仲介会社に依頼して下さい。

【敷金持ち回りとは】
不動産会社間でよく使われる業界用語として、「敷金持ち回り」「敷金引き継ぎ」というものがあります。これは、売主と賃借人との賃貸借契約において特約された敷金等に関し、新所有者へ当該不動産を売却する際に預っている敷金等の金銭をどうするのか、の取り決めを表した言葉です。「持ち回り」とは、金銭の授受を伴わず、賃借人への返還債務のみを引き継ぐことで、「引き継ぎ」は、預り金銭の授受を伴うものです。
本件における売主賃貸人の地位を買主へ継承させる特約並びに敷金(預り金)の持ち回りに関する特約の記載例として以下をご参考下さい。

特約事項(賃貸人としての地位の継承)
1.売主は、本物件に付随する賃貸借契約(以下当該賃貸借契約)に基づく賃貸人としての地位を無条件で買主に継承させるものとし、買主は当該賃貸借契約を承継するものとします。
2.前項の地位は、買主に本物件の所有権登記が移転されたときに本物件賃借人に対し効力を生じます。
3.当該賃貸借契約により賃借人が差し入れた敷金等の預り金については。その返還債務だけを買主は承継するものとします。

【滞納賃料の請求、清算】
入居者の賃料滞納における賃料等請求権(金銭債権)は一般的にどう処理するのかですが、売買契約の時点で、不法占有や賃料の未払い等の債務が存するものがあるときは、物件の引渡しまでに売主において解決する、とする条件で取引されるのが一般的(賃貸不動産の売買では、所有権移転と同時に売主が賃貸人の地位から離脱してしまうから)です。しかし、滞納金額も高額になれば、中々簡単には行かないことも当然でしょう。
適法に債務不履行による損害賠償も含めた賃料請求権を買主が承継するためには、未払い賃料債権の譲渡がなされる必要があります。更に買主が新所有者として当該入居者との契約を解除するには、債権譲渡の対抗要件(債務者への通知)を備えることです。滞納賃料支払の目処が立たず、購入後も滞納が続くようであれば、所有権移転登記後(対抗要件)、新賃貸人として、滞納者に対し賃貸借契約の解除及び明渡しを提訴し処理することが良いでしょう。
このような場合の特約の記載例は以下をご参考下さい。

特約事項(滞納賃料請求権の譲渡)
1.本物件に付随する賃貸借契約(以下当該賃貸借契約)のうち、〇〇号室の賃借人が賃料を滞納しており、本契約締結時点でその額は金〇〇万円であることを買主は承諾の上、本物件を買い受けるものとします。
2.前項により、売主は滞納賃料請求権を買主に譲渡し、本物件の所有権移転後、直ちに当該賃借人に対してその旨通知するものとします。

※補足
賃料等は、定期給付債権とされ短期消滅時効の対象となりますので、一般債権より短い5年の消滅時効に掛ります。従って、家賃・地代などの賃料請求権は、「5年」で時効により消滅する(支払期限から5年が経過した部分から)ということになります。つまり、5年が経過すると滞納賃料を請求できなくなってしまいます。又、時効中断方法には、「請求」「差押え」「仮差押え」「仮処分」「承認」という措置をとる必要がありますが、「請求」は単に請求書を送付するというようなものではなく、「裁判上の請求」、つまり賃料請求訴訟を提起しなければならないことに注意が必要です。
もし、長期間の未払いの滞納者が存するなら、早めに弁護士に相談されることをお勧め致します。
2016.04.05
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省エネ住宅ポイント2015!…復活した制度概要
今更ですが、住宅エコポイント制度が今年復活したと聞きました。
今回、住宅のリフォームを考えていますが、使えますか?制度の概要を分かり易く教えて下さい。
正式には、省エネ住宅ポイント制度と言います。これは国土交通省の政策で、省エネ住宅の新築やエコリフォームの普及を図るとともに、消費者の需要を喚起し、住宅投資の拡大を図る事を目的とし、一定の省エネ性能を有する住宅の新築やエコリフォームに対して、様々な商品等と交換できるポイントを発行する制度です。

この制度を利用する為のポイントとしては、
  • 1. 自ら居住することを目的として、エコ住宅を新築される方とエコリフォームをされる方にポイントを発行します。
  • 2. 発行されるポイントは、新築1戸あたり30万ポイント、リフォームは1戸あたり上限30万ポイントの範囲で工事等の内容に応じたポイントが発行されます(耐震改修を伴うエコリフォームの場合1戸あたりの上限は45万ポイント)。
  • 3. ポイントが発行されるまでには、「ポイント発行申請」「ポイント交換申請」「完了報告」などの手続きが必要です(手続きは、発行対象や諸条件により異なります)。
  • ※ポイント発行申請は、工事完了後に申請するタイプと、工事完了前に申請するタイプがあります。
    ※完了報告≪工事完了前のポイント発行申請を行った場合のみ必要≫
    ※完了報告の期限
    新築の場合
    • ・戸建て: 平成28年9月30日
    • ・共同住宅等で階数が10以下の場合: 平成29年3月31日
    • ・共同住宅等で階数が11以上の場合: 平成30年3月31日
    リフォームの場合
    • ・1,000万円以上のリフォーム: 平成28年6月30日
    • ・共同住宅等で耐震改修を実施する階数が10以下の場合: 平成29年3月31日
    • ・共同住宅等で耐震改修を実施する階数が11以上の場合: 平成30年3月31日
    ※ポイントの即時交換を利用できるのは、平成28年2月15日までに完了報告が可能な場合のみ

    1. 対象住宅のタイプ
    • (1)エコ住宅の新築
      自ら居住することを目的として、新たに発注(工事請負契約)する新築住宅。
      所有者となる人が発注する場合を「注文住宅」、販売会社等が発注し、所有者となる人が購入するものを「分譲住宅」とします。
    • (2)エコリフォーム
      所有者等が、施工者に工事を発注(工事請負契約)して実施するリフォーム。
    • (3)完成済購入タイプ
      自ら居住することを目的として購入(売買契約)する完成済み※の新築住宅。
      ※平成26年12月26日までに建築基準法に基づく完了検査の検査済証が発行されたもの


    2. 申し込み手続の対象期間
    • (1)エコ住宅の新築
      工事請負契約
      平成26年12月27日以降
      ※建築着工前である場合、既存契約の変更契約を含みます。
      ※完成済購入タイプは、工事請負契約の期間に制限はありません。

      建築の着工
      平成26年12月27日平成28年3月31日
      ※完成済購入タイプは、工事請負契約の期間に制限はありません。
      ※建築着工とは、根切り工事又は基礎杭打ち工事の着手を言います。

      工事の完了
      平成27年2月3日以降
      ※完成済購入タイプは、平成26年12月26日まで

      不動産売買契約(分譲住宅のみ)
      平成26年12月27日以降
      ※変更契約はみとめられません。
    • (2)エコリフォーム
      工事請負契約
      平成26年12月27日以降
      ※建築着工前である場合、既存契約の変更契約を含みます。

      工事の着手
      平成26年12月27日平成28年3月31日
      ※工事着手とは、契約対象となる工事全体の着手を言います。

      工事の完了
      平成27年2月3日以降
    • (3)完成済購入タイプ
      平成26年12月26日までに建築基準法に基づく完了検査の検査済証が発行されたもので、平成27年2月3日以降に売買契約を締結した新築住宅を対象とします。建築着工の対象期間はありません。
      ※新築住宅とは、完成(完了検査済証の日付)から1年以内であり、人の居住の用に供したことのないもの。
2015.05.07
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手付金のあれこれ…本質を理解しなければ思わぬ事態に!?
マイホーム建築のため、土地の売買契約を行います。住宅は注文建築で、土地の契約とは関係なく当方がこれから建築士に設計を依頼し、建築確認を申請するつもりです。
土地売買契約において手付金支払い後、すぐに設計に取り掛かり、当方の名義で建築確認申請を出し、確認が許可された段階で土地の決済を行う予定です。土地代金は現金で支払います。住宅ローンの利用はありません。
そこで質問ですが、売主の気が変わり、途中で契約を解除されるとそれまでに掛けた費用と労力が無駄になりますので、手付金による契約解除の期限を契約日1日だけにしようと思います。そのような特約は有効でしょうか?もし無効になるなら、どのような方法で売主からの途中解約を防ぐことが出来ますでしょうか?
先ず、手付金の本質を理解する必要があります。
※手付金の性格
証約手付
契約が成立したことの証拠となる手付です。

違約手付
当事者が債務不履行をした場合に、手付を交付した者は相手方にそれを没収され、受取った者はその倍額を返さなければならなくなります。これは損害賠償を予定したことになります。 違約金とも言えます。

解約手付
解除権を決めたことになります。手付を交付した者は相手方にそれを放棄し、受取った者はその倍額を支払って契約を解除できることになります。手付流し、手付倍返しなどと言われています。
当事者が手付について、特に何も定めていない場合は、民法557条が適用され解約手付と解釈されます。又、宅地建物取引業者(不動産業者)が売主の場合は、必ず、解約手付となります(宅地建物取引業法39条)。

民法第557条(手付)
1 買主が売主に手付を交付したときは、当事者の一方が契約の履行に着手するまでは、買主はその手付を放棄し、売主はその倍額を償還して、契約の解除をすることができる。
2 第545条第3項の規定は、前項の場合には、適用しない。

宅地建物取引業法第39条(手附の額の制限等)
1 宅地建物取引業者は、みずから売主となる宅地又は建物の売買契約の締結に際して、代金の額の10分の2をこえる額の手附を受領することができない。
2 宅地建物取引業者が、みずから売主となる宅地又は建物の売買契約の締結に際して手附を受領したときは、その手附がいかなる性質のものであつても、当事者の一方が契約の履行に着手するまでは、買主はその手附を放棄して、当該宅地建物取引業者はその倍額を償還して、契約の解除をすることができる。
3 前項の規定に反する特約で、買主に不利なものは、無効とする。

そこで、ご質問の場合、法律上の期間の計算によれば、手付金による解除権が行使できるのは当日の午前零時まで(午前零時丁度は含まない)であり、それまでであれば当事者は契約解除が出来ると解されますが、その意思表示は相手方に到達したときに効力を生じます。
従って、何らかの手段(電話、メールなども有効)によって相手方に到達すれば解除の効力が認められます。

一方、当事者の合意があれば、このようなタイトな期間を定めた特約も有効に成立はしますが、問題は手付金を付した場合で特段の定めが無い場合、不動産の契約においては前述のとおり解約手付として扱われ、当事者の一方が契約の履行に着手するまでは手付金の放棄又は倍返しで解除権を行使できるとされますので、手付解除期限以降であっても、当事者の一方に履行の着手が無ければ、訴訟等になった場合に、本件のごとき極端に短い解除期限を定めたような場合、手付解除が認められる余地が残ります。
そこで、貴殿としては代金の一部(中間金等)を早めに売主に支払い、又は建築確認申請を行うなど、契約の履行着手を顕在化させることや、手付金による解除が出来ない旨の特約を付し、違約金を少々高めに約定(一般的には手付金相当額か代金の1020%ですが、例えば30%とか)するなどして契約の拘束力を高めることが有益かと存じます。なお、建築確認申請行為は、単に設計を依頼しただけの場合とは異なり、買主の土地購入目的の本質(住宅建築)ですので、買主の契約履行行為と判断される公算が高まります。

他方、売主の協力を得られるなら、前記中間金の支払いと同時に所有権移転仮登記を設定することにより、更に契約の履行を確実なものに近づけることが出来ます。
2014.08.05
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借地権、地上権、賃借権??…似てるようでも随分違う!?
この度、マイホーム取得を決意し、数ある分譲マンションモデルルームに親子揃って日曜日毎に出掛けているファミリーです。
我が家にはすでに新築分譲マンションの広告チラシやパンフレット類が山積みですが、その中で気に入った物件が出てきましたので、候補を絞り、毎夜家族会議を開いてはああでもない、こうでもない、の議論を交わしています。ところがそのうちの一件で、敷地の権利・定期借地権(期間70年)権利の目的・地上権、という小さい文字が気になりました。この物件を家内は一押しで気に入っており、建物はゴージャスで申し分ないし、価格も他の物件より200万円ほどお安く感じます。定期借地と言う言葉は知っていますが、地上権という言葉には馴染みがありませんし、所有権と比べて借地の分だけ権利も弱いのではないかと心配しています。住宅ローンや諸経費についても不利になるのでしょうか。地上権と借地権は違うものなのでしょうか。すっきりしません。
まず、用語の整理をしておきましょう。
借地権・これは非常に一般的に使用される言葉で、日常生活において他人の土地を借りている場合、ほぼ皆さんがお使いになられているはずです。しかしながら、一般的に使われる借地権は、法的に見て随分間違った概念を含んでいます。土地を借りたら借地権が生じる=借地権は売れる=地主にはたいていの場合、土地を返さなくてもよい強い権利、というように認識されていませんか?
実は、借地権とは私法の根幹をなす民法に規定はなく、民法の賃貸借の規定において建物を所有する目的で土地を借りるときにのみ規定される法律、「借地借家法(旧借地法、旧借家法)」の中で登場します。従って、家庭菜園をするための借地や、駐車場、資材置き場など建物の所有を目的としない土地の賃貸借では借地権は生じないことに注意が必要です。

地上権・他人の土地において工作物又は竹木を所有するため、その土地を使用する権利。これは民法に規定される権利の種類のうち、ひとくくりに「物権」と呼ばれる権利の一つです(債権と対比)。又、物権には民法以外の法律の規定によっても複数定められていますが、その性格は民法の物権とは少し違いますので、区別しておいたほうがよいと思います(民法上の物権・占有権、所有権、地上権、地役権、永小作権、入会権、留置権、先取特権、質権、抵当権の10種類で、その他の法律では、商法・商事留置権、鉱業法・鉱業権、漁業法・漁業権その他などがあり、みなし物権とも呼ばれる。物権は法律で定められる権利=物権法定主義)
その性質は、直接性(権利の実現のためには、債権のように債務者による履行という他人の行為が裁判等例外を除き不要)と排他性(同一物に対しては、同一内容の物権は、一つしか成立しません。同一の物に対して同一内容の物権が複数成立すると、物への直接的支配が失われるから)であり、物を直接的に支配する強い権利です。中でも地上権は、所有権に次いで上記直接性と排他性を有しています。

賃借権・物を支配する権利である物権に対し、賃借権は賃貸借契約に基づき貸主と借主の間に一定の給付(使用収益と賃料支払い)が生じるので債権であり、債務者の行為(給付)を目的とするので人に対する権利といわれます。ただし、賃貸借とくに、借地権、借家権は、所有権から使用収益権能を債権的に借受けたもので、借受けた使用収益権そのものは物権的な絶対性を持つと言われています。すなわち、不動産賃借権が、債権としては例外的に登記によって対抗力を得ることができるのは、物権的に保護されていることの現れであるとされ、不動産賃借人を保護する目的で、借地借家法などの特別法が定められて、権利の内容が法定され、物権的な権能が与えられて保護されています(例えば、登記がなくても、借地権の場合は、建物の保存登記により第三者に対抗でき、借家権の場合は、建物の引渡を受けたことによって第三者に対抗できます。これらは、特別法によって与えられた物権的対抗力です)。

そのうえで、前述した借地借家法では、建物を所有する目的で土地を借りる権利を二つに分け、地上権と賃借権を規定しました。

ご質問に対する回答
本件では、当該分譲マンションの土地は借地であり、マンション(建物)を所有する目的で借地権が設定されており、且つその借地権の性質は一般定期借地権であって、借地権の目的(土地上の権利)は地上権である、と読み取ります。その場合、土地上の権利が賃借権である場合との大きな違いは、自由に譲渡が出来るか、出来ないかということです。物権は直接性、排他性があるので、本件地上権は地主の承諾無く権利の譲渡移転が許される一方、賃借権には無断譲渡は禁止されています(分譲マンションなどの場合、実務上は地主の譲渡承諾は予め約定されていることが多い)。

従って、本件お気に入りのマンションは、土地権利が所有権ではありませんが、所有権に匹敵する権利の地上権ですから、住宅ローンなどの取り扱いにおいても金融機関で不利になると言うことはないと思います。又、地上権も賃借権同様に地代を設定することが可能ですので、一般的には70年間、区分所有建物の所有者(地上権者)は地代を負担し、一時金的に所有権価格の何割(かなり高率の場合もある)かの保証金的金銭を負担します。しかし、所有権に対する土地評価価格の一定限度は安価に設定されることや、土地固定資産税は地主が負担することなど、メリットも生じますし、例えば相続税等の評価においても、土地権利が地上権であることで減額がなされるなど、所有権に比して不利と言うことは一概には言えません。ただし、借地期間が70年の長期間とはいえ、通常は定期借地権設定契約において期間満了後の建物収去又は譲渡(地主が時価で買い取る)特約などが付されていることもありますので、分譲事業者に十分な説明を求めてから納得してご購入されることが大切です。
2014.07.05
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消費税増税と大型ローン控除…仕組みを知らなければ損をする!?
来年の4月(平成26年4月1日)からいよいよ消費税率が5%から8%にアップしますね。景気は実感として良くなったとは言えませんが、そろそろマイホームをと考えています。新築一戸建て、新築分譲マンション、中古物件、それぞれのメリットやデメリットを考えながらネットで物件探しをしていましたが、ここにきて消費税のことも気になっています。注文建築で建てるなら、今年の9月中に契約をしなければ損をするとか言われていますが、焦るのも嫌なので、一番お得な買い方を知っておきたいです。教えてください。
住宅に関する消費税は、建物部分につき課税されています。建物部分ということは、本体は勿論、部材や設備、釘一本に至るまで消費税の対象となっています。単純に2000万円の住宅価格に対する消費税率が5%から8%にアップする、というような説明では、商品原材料に含まれる見えない増税部分を見落としてしまいます。つまり、2000万円の5%(100万円)が8%(160万円)になるから60万円の増税ということではなく、もともと2000万円で建築出来た住宅が、単純に計算しても2060万円かかることになり、消費税は2060万円の8%=164万8000円は必要となります。従って、消費税率の上昇は、消費税増税分が商品価格に付加(代金転嫁)され、その上にアップした税率で課税されることを理解しておかなければなりません。加工品や組み立て製品の消費税が二重課税と言われる所以です。その他、諸経費(例:仲介手数料、登記手数料、銀行手数料、引っ越し費用、家具電化製品など必要品費用もすべて8%課税となります)なども総合して計算すべきです。

そこで、この時期に住宅を取得するユーザーに、金銭的比較のみの面からのお得な住宅取得方法を伝授しましょう。
まず、いつまでに住宅を取得すれば得か、ということに関しては、注文建築の場合は原則として本年9月30日までに建築請負契約を済ませておくことが大切です。ただし、引渡し(消費税は商品の引渡し時に支払う)が来年の3月31日までに行われるなら、消費税は5%ですから工期を念頭に契約すればよいでしょう。一方、原則と言ったのには理由があります。消費税の増税に合わせて、増税後の消費の落ち込みを最小限に止めるため、住宅ローン控除制度の拡大が盛り込まれた税制改正が行われています(財務省主税局)。現在の住宅ローン控除対象の融資上限額は2000万円ですが、特例として2014年4月1日から2017年12月31日まで、住宅ローン控除の対象となるローン残高の上限を4000万円に引き上げる(10年間最大所得税控除額400万円)とした措置が決定しています。しかし、これには「8%(2015年10月からは10%)の消費税が適用されるケースに限る」と“ただし書き”が付いていますので、前述した増税前の取得は対象になりません。つまり、消費税が5%もしくは非課税のケースでは、最大控除額は現行と同じ200万円止まりであり、200万円の差は増税分と比較してどうかという判断が必要となります。更に、住宅ローン控除の拡大には対象ローン残高の引き上げだけでなく、住民税からの控除額の上限引き上げ(現行9万7500円→改正後13万6500円)や給付措置も含まれます(給付措置の内容は未定)。

次に、取得する住宅が建て売り住宅購入や新築マンション購入である場合ですが、これには特段の経過措置は講じられていませんので、単純に平成26年4月1日までに引渡しを受ける必要があります。又、住宅ローン控除の特例は上述したとおりですので、住宅ローンの借入額と自身の所得見通しから消費税を勘案して、ローン控除優先か、実額消費税優先かを判断することが肝要です。ただし、平成9年の消費税引上げ時に「工事の請負契約に類する契約」として経過措置の適用が認められた契約分類から、請負契約によらず購入する住宅であっても、その仕様の一部(内外装等の変更、付加工事)について平成25年9月30日までに締結した請負契約が存在し、且つ目的物の引渡しが一括して行われる場合は、引渡しが平成26年4月以降にずれこんでも消費税は現行税率が適用される可能性がありますので、専門家や税務署に確認することが大切です。

又、住宅のような大きな商品は、消費税率に本体価格は影響されない(販売価格ありきの価格設定が住宅産業の主流)というコンサルタントがおられますが、そんなことはありません。やはり原材料や部材仕入れ価格、サービス料など課税対象が多い商品には必ずその影響が出てきます。ですが、最終販売者の利益が消費税増税によって圧迫されるなら当然に価格転嫁は行われます。ましてや今回の経済対策は、デフレの脱却を意図としているわけですから、結果的インフレ誘導として価格上昇は目に見えていますし、円安による輸入部材などの高騰も大きく反映されます。更に、あまり良い言い方ではありませんが、増税による便乗値上げ的な発想も経済社会では当たり前の手法です。
2013.06.05
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道路とは?…不動産業者さん、理解して説明していますか?
住宅建設のために購入しようと検討している土地の前面道路についての質問です。
建設基準法に前面道路の幅員が4m以上(道路センターより2m以上)無い場合は、構造物の構築に際してセットバックする必要があるとの規定があると思いますが、今回購入を検討している土地について、前面道路を実測した所、平均して 3.6m程度の幅員しかありませんでした。
しかしながら、仲介業者の不動産屋さんからは、「前面道路は市道であり建設基準法第42条の1項1号の位置付けのある公道なので、セットバックの必要は無い」と説明がありました。 建築基準法の条文(第42条)によると、「この章の規定において「道路」とは、次の各号の一に該当する幅員四メートル(中略)以上のものをいう。」とあるので、実測が4m以上無いにも関わらず、1項1号道路であるという不動産屋の説明が腑に落ちません。今回のケースのような、1項1号道路という位置付けにも関わらず、実測4mない前面道路の場合、セットバックする必要があるのか無いのか、ご教示頂きたくご相談させて頂きました。よろしくご回答の程、お願い致します。
ご指摘の道路が、建築基準法42条1項1号道路(道路法上の道路)であれば、有効幅員が4m以上のものをいいます。従って不動産業者の説明によるところ42条1項1号道路というなら4m以上なければならないというのは正しい解釈です。
ご相談内容だけでは現地の状況が不明ですが、考えられることは二通りしかありません。
一つは、現況が4m未満であるとすれば業者の調査又は説明に不備があること(42条1項1号道路ではない)。
二つは、説明通り建築基準法42条1項1号の道路であるとすれば貴殿の実測方法に不備があるということになります。

まず、一つ目の場合であれば、道路所在地の所管の道路課(市役所等)にて調査することができます。
いわゆる道路法上の道路とは、高速自動車国道、一般国道、都道府県道、市町村道をいい、すべて政令又は都道府県知事もしくは市町村長が路線を指定又は認定し、公示しなければなりません。従って、その道路が道路法上の道路であるかどうかは容易に調査できます。ただし、道路法上の道路であるなら有効幅員が4m以上なければならないということではありません(道路の技術的基準は道路構造令により高速自動車道及び一般国道について定められ、都道府県、市町村においては政令を参酌して条例で定めることになっています)。建築基準法42条の規定が4m以上の公道を1項1号道路と規定しているにすぎませんので、公道であっても4m未満の道路であれば建築に際しては当然セットバックが必要となります。

次に二つ目ですが、道路法で道路の幅員をいう場合、有効幅員を指します。道路有効幅員は、道路の形状や側溝の形状などで道路幅員が異なります。
道路の両端に蓋が設置された側溝がある場合は側溝の外側が、蓋がないU型側溝が設置されている場合は側溝の内側が道路幅員です。 また、両端にL型側溝が設置されている場合は、L型の段の内側が道路幅員で、道路に歩道が設置されている場合は、歩道を合わせた幅が道路幅員とされています。しかし、建築基準法では側溝も道路幅員に含まれますので側溝の外側から計測します。この測定方法に従って実測を行ったかどうかということです。

日本の道路を規定する法律には、道路法、道路交通法、道路運送法、建築基準法及び不動産登記法があり、それぞれに記述が見られます。
一般的に道路の定義は、「人や車両の通行の用に供する交通施設(世界大百科事典)」とされ、単に"道"という場合と区別しています。宅地建物取引業者の世界では、職域から道路と言えば「建物の建築に際して基準となる道路」を指しますので、当然建築基準法上の道路しか頭に浮かばないと考えられます。しかし、道路には前述した別の法律に基づく定義が存在し、その法律毎に規定されていますので、公道だから4m以上の幅員が確保されている(逆を言えば4m未満の道路は公道ではない)とか、法42条1項1号道路は全て4m以上の道路であるなどの解釈をされている業者が見受けられます。

道路法は公道の規定であり、公道とは「所有者又は管理者が国もしくは地方公共団体」である道路(トンネル、橋梁、渡船施設、道路専用エレベーター施設も含む)を言います。それ以外の道路は全て私道となり、道路法の管轄ではありません。又、道路交通法や道路運送法では、一般・専用自動車道(道路法による高速自動車道以外)、一般交通の用に供するその他の場所も道路として規定しています。従って、不特定の人や車両が自由に通行することができる場所で、現実に通行に使用されている場所が該当し、一般に道路としての形態を有していなくても該当する場合があります。当然、私有地であるか公有地であるかは関係がなく、具体的には農道、林道、赤線が該当し、一般の交通に供用されていれば、私道、広場、公園、河川敷、地下街等も含まれます。

「道路は建築基準法に規定されている」という概念ではなく、「建物を建築する為に必要な道路の規定は建築基準法に定められている」と理解しなければなりません。
2013.05.07
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借地上建物の競売…意外と知らない地主の権利!
この度、裁判所の不動産競売に参加し、借地権付き建物(倉庫兼事務所・賃貸借契約に基づく占有者あり)を見事落札いたしました。代金の納付も終えて、新しい所有者として今後の土地賃貸借契約のことも含めた話し合いをしに地主(土地賃貸人)と建物賃借人(建物使用者)に会いにいったのですが、地主が「どこの人かも分らんおひとに土地は貸せん!倉庫も事務所も営業は認めんから賃借人にも明け渡すよう、あんたから言ってくれ!」と。。
裁判所の物件目録には、「借地権設定あり、借地権の残存期間20年」と確かに書いていました。こんなことになるとは思ってもいなかったので、裁判所に騙されてお金を払わされた気分です。どうしたら良いですか?
借地上に在る建物を取得する場合、売買等による一般承継については、土地の所有者が当該建物の譲渡について承諾を与えることが前提でないとそのような事がよく起こります。
裁判所の競売手続きによる場合、一般人の入札者から見れば、「裁判所が調査を行い、売却決定を下しているのだから、ややこしい問題は全部処理されているだろう」と思われるのも分らなくはないですが、裁判所の調査は現況に対する詳細調査が前提ですので、権利関係の中でも土地所有者の意思等、不確定なものも考慮しておかねばなりません。又、競売による借地上建物を取得した場合も、土地上に法定地上権が成立すると思われている方が多いことに驚かされますが、法定地上権成立の要件は、土地建物が同一の所有者に属していなければなりませんので、対象が借地上の建物で、借地権の目的が賃貸借の場合は該当しません。
つまり、借地権が土地賃借権たるものである場合については、建物の競売・公売による取得による場合であっても、民法612条により借地権の承継の効果を借地権設定者に主張することはできないことになります。これは、債権である土地賃貸借関係にあっては、賃貸人たる借地権設定者は、自分が契約した土地賃借人(旧借地権者)に対してのみ土地を賃貸使用させる義務を負うにすぎず、契約の相手方でない者にまでかかる義務を負うものではなく、借地上の建物が競売・公売により契約の相手方以外の第三者に移転し、借地上に建物を所有して土地を使用すべき者が競落人たる第三者に代わったからといっても、賃借権の移転は法による擬制にすぎず、当然に土地所有者の譲渡承諾を伴うものではないから、これら第三者に土地を賃貸使用させる債務を負うものではありません。

しかし、このような結果が予想されるとなると、競売や公売の事務に支障をきたしかねませんので、賃貸人たる借地権設定者と新しい借地権者となる土地賃借人となるべき建物競落人との間の利益の調整を図るために、民法612 条1項の特則である借地借家法20条では、借地権たる土地賃借権の譲渡の際に要求される「賃貸人による承諾」に代わるべき裁判所の許可を得る手続きを定め、仮に賃貸人による土地賃借権たる借地権の移転(譲渡)につきその承諾を得ることができなかった場合でも、裁判所による許可を得ることができれば、この許可が民法612 条1項の規定する賃貸人の承諾と同一の法律上の効力を有するものとして、土地賃借権たる借地権の承継を借地権設定者に適法に主張できるようにしています。

《裁判所が許可をしてくれなかったらどうなりますか?》
競落人としては、賃借権の譲渡を認めない土地所有者に対して、競落した建物を時価で買い取るべきことを請求することができます(借地借家法14条)。このように、競落人は、借地権譲渡許可を得ることができず、結果として敷地を使用できないことになったとしても、建物買取請求権を行使して土地所有者から建物の時価に相当する代金を受け取ることによって、競落による代金を一定額回収する方法が残されています。

《今後、注意すべき点は?》
借地借家法20条の許可申し立ては、競落人が代金を納付した時から2ヶ月以内にしなければなりません。土地賃貸借は信頼関係が基本とされますので、直接交渉に時間を掛け過ぎてその期間を逸してしまうと、特段の事情が無い限り土地所有者の主張が認められてしまう恐れがありますので、速やかに申し立てを行うことが肝要です(借地権付き建物の競落人に対する建物収去土地明け渡し請求が認められた事例:東京高裁判例平成17年4月17日)。
2012.8.28
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物件の瑕疵と契約解除…売主の担保責任は重い!?
今般、住宅地を購入しました。この土地の隣地との間にコンクリート擁壁が在り、高低差は50センチぐらいで、その上は隣地のブロック塀が建っています。引き渡しの前に、売主が測量と境界標設置を行っています。決済後、ハウスメーカーの調べで分かったのですが、コンクリート擁壁の一部が隣地に越境しており、売主もそれを確認していたそうですが、売主及び仲介会社からはその説明が無く、隣地所有者からは撤去を求められているそうです。売主は、この越境は17年前の震災で土地が動いたことによるもので、不可抗力であると言っています。仲介会社は擁壁を取り壊して新築すればみたいなことを言っていますが、その費用はどこが負担するのでしょうか?又、瑕疵を知っていて伝えないような売主の物件は買いたくありませんので、契約解除と損害賠償の請求をしたいと思いますが、可能でしょうか?
売買の目的物に瑕疵(キズ)があったとき、買主が行使できる権利の主張にはいくつかの方法が民法に規定されています。本件のように不動産売買において存在する目的物の瑕疵については、民法570条に規定される「隠れたる瑕疵」に対する売主の担保責任が援用されます。「隠れたる」とは、その存在が見えないという意味ではなく、買主に悪意がない、つまり買主が善意無過失であることを言います。売買契約において、買主は通常の注意義務をもって目的物の調査をすることが求められています。しかし、不動産のように専門的知識を必要とする物件を調査するのは容易ではありません。従って仲介会社が行う重要な事項の説明は、その義務の履行の補填的役割を担うものであり、買主に代わって様々な調査をすることが規定されています(宅建業法35条)。

本件の「越境」は、一般的な注意をもってしても発見できない部分であれば、当然に瑕疵として取り扱われます。その場合、相手方の対応の良否によって契約解除が即時可能かというと、そうではなく(民法570条)、まず、修補の責任(契約責任説に基づく債務不履行責任・通説)を売主に課し、契約の目的が達しえないときに契約解除を主張することが出来るということになっています。ですから、本件では当該越境の擁壁を取り壊し、再構築することが可能であれば、売主の費用負担にて修補することになり、買主は契約解除を主張できません。

又、本件売主は不可抗力を理由に抵抗されているようですが、売主の担保責任は目的物を通常の性能、品質で売り渡す義務を担保させるものですから、不可抗力など、善意無過失であってもその責任を免れることは出来ません。従って、本件の擁壁を撤去し、新築する費用及び、それに伴う隣地ブロック塀の修理費用などは全て売主の負担となります。

なお、本件における損害賠償の対象となる事実は、例えば当該擁壁の工事に時間を要することで被る貴殿の損害(住宅新築工事遅延による実質的損害)を証明できれば請求が可能ですが、工事中も目的達成に不都合が無いようなときは、損害賠償請求は難しいと思慮します。又、当該瑕疵が原因で契約解除がなされたときは、解除の結果、確定した損害は当然に賠償請求が出来ます。
2012.6.26
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土地売買には地盤調査を!?・・・
売主の責任と調査範囲の関係は?
堺市で不動産業を営むものですが、この度、自社所有土地を売却するのですが、購入者はその土地に住宅を建設することが分かっています。このようなときは、最近問題になっている土地の地盤強度に関する調査を売主側で行い、報告をする義務があると聞きましたが、どこまでやらないと問題になりますか?又、どのような方法でするのがよろしいですか?
宅地建物取引業法では、売主及び仲介業者は、売買物件における【重要事項】につき調査し、取引の相手方等に説明する義務があると規定しています(同法35条)。
1号・不動産の権利関係、
2号・都市計画法・建築基準法上の規制、
4号・上下水道配管状況等etc
等が重要事項説明義務として列挙されており、ここに軟弱地盤は含まれていませんが、これらはあくまで例示であって、これ以外は調査、説明する必要がないというわけではないことに注意しなければなりません。

とりわけ、同法35条に規定されていない事項であっても[買主の利益に関する重要な事項]について、知っていて故意に説明しなかったり、事実と異なることを説明したりする行為は禁止されています(同法47条)。具体的には「自殺物件であった」「隣が暴力団事務所だった」というような、<ある程度の調査=宅建業者として相当の注意をもってする調査>で知ることができ、且つ一般人であれば購入をためらうような嫌悪事項などは調査、説明しなければならないとされています。
従って、軟弱地盤で建物を建てるには改良工事が必要となる等の事実も当然[買主の利益に関する重要な事項]と考えられますので、これらの調査を怠って説明しなければ、業者は債務不履行及び不法行為に基づく損害賠償責任を負うことがあります。仲介の立場であれば、専門会社に依頼しての調査までは義務とされませんが、自ら売主となる場合は<ある程度の調査>を自ら行い、地盤が軟弱かどうかを推定し、説明する必要は求められると思慮します。
そこで、業者として実施した方が望ましい調査について順を追って例示しますと以下のとおりですのでご参考下さい。

(1)ヒアリング
まず、前所有者や近隣等にヒアリングし、地盤に関する情報を得る。
(例えば、自動車が通ると建物が揺れる、昔は湿地帯であった等の情報が得られることがあります。造成地であれば、当時の施工会社への問い合わせが有効です)
(2)市役所等
開発行為・区画整理によって造成された土地であれば、役所で図面を閲覧できる場合があります。また、ハザードマップ等により地盤に関する資料を取得することができます。
(3)図書館
古い地図で従前の状況(田、ため池等)を確認できることがあります。
また、旧地名が「沼、沢、河、池、溜」等である場合、水に関係の深い土地であることが考えられます。
(ただし、これらが全て地盤に関わり注意を要するものとは限らないので、あくまで参考程度です)
以上の調査の結果、当該地の地盤強度に不安があると思われるときは、専門業者による調査を依頼し、調査報告書を買主へ提示するのが望ましいといえます。最も簡易な調査方法としては、スウェーデン・サウンディング試験が広く利用されていますので採用されるとよいでしょう。相手方が住宅建設を目的として土地を購入することが分かっているような場合は、特に注意が必要で、不同沈下などが起こってからの担保責任の履行には莫大な費用が掛かる恐れもありますので、出来るだけの調査をお勧めします。
2012.2.28
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公道という名の私道・・・位置指定道路の権利とは?
このたび自宅を新築するために購入した土地の前面道路が位置指定道路(私道)で、公道に行くまでには必ずその道を通ることになります。土地を購入する前に、売主名義で掘削同意及び無償通行(車両含む)の覚書(将来第三者に所有権が移転しても継承する特約付き)を位置指定道路の所有者より取得して頂き購入しました。すると、「前面道路は私の所有であり、固定資産税も払っている。以前の方には承諾しても所有者が変われば話しは別だ」と言われました。この覚書には印鑑証明書は添付しておらず、認印で押印した書類です。この書類があるから購入した訳ですが、裁判になった時にはこの覚書は通用するのでしょうか?また、所有者変更に伴い通行料などの費用を請求された場合、払う必要があるのでしょうか?
問題の道路が位置指定道路ということなので、私人所有とはいえ、公共的な道路としての性格を有しており、当該道路を利用する人は、当該所有者の承諾なく通行が可能です。最高裁判例(平成9年12月18日)においても、位置指定道路の所有者が他者の通行の妨害をした場合に、特段の事情がない限り、当該道路を利用する私人は、その位置指定道路の所有者の妨害を排除することができるとしており、位置指定道路の通行が生活上必要不可欠な私人を保護する判断をしています。
次に、水道管、下水道管、ガス管、その他これに類するものの設置(掘削等を含む)についても、本件道路が位置指定道路として公道に準じた道路の性格を有することから、原則として、所有者の承諾は不要です(下水道法11条1項・最高裁判例平成14年10月15日)。
しかし、本件のような場合、無断で通行や掘削等をすると、今後の近隣トラブルが予測されます。まず、当該道路所有者に対し、位置指定道路は、上下水道管等の生活に必要不可欠な施設の設置や、一般人の通行なども認められていることを説明してください。
また、当該道路の通行や掘削等に費用を請求された場合ですが、判例や法律上、当該道路を所有者の承諾なく通行および掘削等が可能であるからといって、当然に通行や掘削等が無償となるわけではありません。地域よっては、私的自治の範囲で、通行料や承諾料の支払いをする慣行があるのも事実です。本件の場合、少なくとも通行については、無償で同意をした覚書があるため、無償の通行ができると考えます。この点に関して裁判になったとき、道路所有者の認印のある覚書が、裁判の証拠となるかというご質問ですが、同覚書は、本件道路の掘削および無償通行(車両通行を含む)同意の証拠になります(実印の押印および印鑑証明書の添付がある方が厳格な手続によって書面が作成されたことを示唆させるため、証拠の価値としては認印よりは高くなるが、認印でも証拠として問題はありません)のでご心配は要りません。
2011.2.22
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特定住宅瑕疵保証保険料は誰が支払う?
西宮市内で新築住宅(建売)を購入しました。新築住宅は、10年保証付きで、住宅瑕疵保証保険契約がセットされているので安心、と説明を受けましたが、残代金決済の明細書にはその保険料が買主の負担として16万円ほど記載されていました。売主業者に確認すると、「保険料は買主様のご負担となります」と言われましたが、いまひとつ納得できません。セットになっていると説明されたので、本体価格に含まれていると解釈したいのですが、そもそも保険料は買主が負担しなければならないのですか?
平成21年10月1日より、「特定住宅瑕疵担保責任の履行に関する法律」がスタートしました。この法律は、新築住宅を供給する事業者に対して、瑕疵の補修等が確実に行われるよう、保険または供託を義務付けたものです。平成21年10月1日以降に引き渡される「新築住宅」が適用対象で、万が一、事業者が倒産した場合等でも、2000万円までの補修費用の支払いが保険法人から受けられるものです(保険金額は2000万円以上も可能)。ご質問者の購入された住宅は建売住宅ということですので、付保されている保険は「住宅販売瑕疵担保責任保険」と呼ばれる保険契約であろうと推察いたします。この法律では、当該保険契約の契約者は宅地建物取引業者でなければならない(法2条第6項1号)としています。従って、保険契約にあたり、被保険者契約者と保険料支払義務者は、本件の場合も売主宅建業者でなければならないわけです。そうすると貴殿ご質問のとおり、保険料を買主から徴収するのは不当だと言われるのも、もっともなことです。しかし、わが国は自由経済を基本とする経済活動が許された国家ですし、法律の規定は保険契約に関する規定であって、付保した保険付き住宅の代金にまで及ぶものではありません。つまり、売主事業者が販売住宅に保険料相当分を転嫁した価格を設定しても、規制できる根拠とはならないということです。従って、保険料相当額を誰が負担すべきかは、当事者同士の自由な取り決めに委ねられているのです。
本件では、決済時の清算書に「瑕疵保険料・¥16万円」と記載されていると思われます。この清算方法は違法とは言えないにしても、法の趣旨と沿わない表現であり、あくまでも代金に含まれていることが望ましいと言えます。事業者は明確に金額を明示している方が良心的と反論するでしょうが、法は加入義務を業者に課しているわけですから、セットという概念を用いた価格提示が誤解を招かない方法と理解し、実務的に処理して頂きたいものです。
2010.9.30
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建築条件付宅地と請負契約…白紙解約はいつまで出来る?
この度、建築条件付宅地を契約し、土地の売買契約と同時に建築会社と建物の請負契約を締結しました。その後、2ヶ月間、建物プランの打ち合わせを数回行いましたが、合意に至らず、この契約を解除しようと思い、不動産会社に申し入れましたが、すでに条件が成就しており、解約するなら土地売買契約手付金と請負契約着手金の合計300万円を放棄するよう言われました。建築請負契約は締結したというより「させられた」もので、広告では3ヵ月以内に請負契約を締結することになっています。手付金、着手金は返してもらえないのでしょうか。
2003年(平成15)4月10日付、社団法人・首都圏不動産公正取引協議会による構成団体長宛通知、7月23日付「不動産の表示に関する公正競争規約施行規則」の改正により、現在では建築条件付宅地の販売方法が緩和されています。新しい公正競争規約では、建築請負契約の締結期限を廃止し、請負業者の制限も無くして自由に建築業者を選択できるように改正していますので、土地の売買契約締結後、6か月以内、1年以内などの請負契約締結を条件とすることも可能です。また請負業者についても、「売主」「売主指定の業者」「予め用意した数社の中から選択」「買主の自由」など、土地売買契約時の当事者間における合意で選ぶこともできます。ただし、広告表示の段階で業者側が付した条件が、この範囲であればそれもまた違法なことではありません。

ご質問者の問題は、「当該土地売買契約と同時に建築請負契約を締結させられた」ことに焦点を絞って考えます。本来、建築条件付という土地の販売方法を許した背景には、建物建築後の販売不振リスクを回避する業者側の利益に対し、注文建築並みの自由な選択権を消費者にもたらすことを条件に認めた特例措置(抱き合わせ販売の禁止・独占禁止法19条及び公正取引委員会告示一般指定10、広告開始時期の制限・宅地建物取引業法33条等に抵触しないとする)であるからです。しかし、本件のように土地売買契約と同時に、とりあえず請負契約を締結させた後に建築プランを決定するような行為は、自由な選択権を阻害し、予め用意したプランに誘引するなど「建売住宅の違法販売」と同じ結果になりますので、当該契約は無効と言わざるを得ないと考えます。この判断を基に、相手方業者と交渉してみて下さい。もし、相手方が応じない時は、所属団体または行政所轄指導課にご相談下さい。
2008.11.4
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買い付け証明の法的効力…契約締結に向けた義務とは?
不動産業者所有の物件をインターネット広告で見て気に入り、取り急ぎ購入申込書にサインしましたが、その後価格の交渉をお願いしたら「買い付け証明書」記載金額で買わないのなら物件は売れないと言われました。当方はこの物件を気に入っており、売買契約は結んでいませんが、すでに引越し準備や今住んでいる家の処分を他の業者に依頼しています。このまま物件が買えなかったときは、今まで掛った費用や精神的苦痛を慰謝料として請求したいのですが、認められますでしょうか。
我が国の不動産取引の慣行において、売買契約締結の前段として売主・買主の意思を確定させるために「買い付け証明」「売り渡し承諾」なる書面を交付させることが常時行われています。民法555条は売買契約を諾成契約とし、日用品から高額不動産まで、その目的物に係わらず一律の運用を規定しています。

本件ご質問が契約の締結に至っているか否かの判断を求められ、相手方の債務不履行により受けた損害や苦痛を金銭賠償として追及できるかを回答とするなら、結論は「売主買主双方の確定的意思が合致しておらず(最も重要な売買代金そのものが双方の合意に達していない等)、契約が成立しているとは言えないため、相手方は債務の履行期になく、債務不履行の責任を求めることはできない」となります。

しかし、本件交渉の過程で、売主業者が買主に対して契約締結の確実性を疑わせる経緯が見当たらず、価格交渉においても最終的合意を得られる旨買主に期待を抱かせ、買主が現時点でそれを信じ契約成立後の必要な行為に着手したことは無理からぬことであるにも係わらず、売主業者が正当な事由なく契約の締結を拒んだというような事情があるときは、買主の期待を侵害しないよう務める「信義則上の注意義務」があるとして、業者の不法行為が成立する場合があります(契約締結上の過失を認めた事例:福岡高裁判決平成7.6.29タイムス891号)。特に不動産業者は宅建業法31条や47条等により業務について誠実な対応を求められていますので、単なる自己の都合や、買い付け証明書又は売り渡し承諾書を法的拘束力が無いと軽んじ、相手方を翻弄するようなことは厳に慎まなければ思わぬ責任を取らされることにも繋がります。
2008.2.5
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新築青田売りの契約解除・・・履行の着手??
今年2月に新築のマンションの契約を行い、手付金として50万円を支払いました。引渡しは9月末頃の予定です。先日、希望の銀行に住宅ローンの事前審査を出したところ、希望額の融資を受けることができなかったため、今後の生活設計や契約を見直した結果、契約を解除したいと思い、7月28日に販売会社へ伝えました。私は自己都合による解約のため手付金を放棄しての解除も覚悟していましたが、販売会社は既にカラーセレクト(無償で選択可能)を行っていて履行に着手しているため、違約金がかかると主張してきました。今回のケースでは違約金は払わないといけないのでしょうか? もしカラーセレクトをしていなければ、まだ履行の着手前なので手付け解約ができると担当者が言っていました。
未完成マンションの分譲を行う場合、商品付加価値を高める手法として、プランバリエーション(可変間取り)、設備品オプション、内装品の色柄選択(壁紙や設備品の配色選択・本件はこれに該当するものと思われます)などが、既定商品である集合住宅の欠点を補う販売戦略として普及しています。このような手法は、購入者側からの要求によって変更を余儀なくされた特別な仕様では無く、予めパターン化された商品の選択肢を分譲業者側の営業戦略として付加して提供しているのですから、その選択を終えたことを以って、消費者が当該契約の履行に着手したと結び付けるには無理があります(本件は購入予定マンションの仕様の一部分を構成しているに過ぎず、商品選択をしなかった場合、もしくは未販売住居においても建築工事が中断することはなく、一定のパターンで施工されてしまう実態から見ても、当事者間の契約の履行とは無関係と言えます)。
また、貴殿が契約の履行に着手したからといって、売主が履行の着手前であれば、貴殿の側から解除を申し出ることが出来るのは当然ですから、手付け解除を援用することについては、特段の事情の無い限り異論の無いところと考えます。新築分譲マンションの青田売りでは、このようなリスクを負って事業者は販売を開始するわけですから、ほとんどの場合、売主事業者側の「履行の着手」とは当該物件の引渡しであると判例が示すゆえんです。 他方、本件では融資を条件として特約されているようですので、希望する金融機関の融資承認が得られなかったという場合でも、当該特約に基づきローン解除の援用も可能かと思われます。金融機関やローン商品の選択は、その後の生活に重大な影響を及ぼすため、当然購入者に帰属するものであり、業者側に選択肢を制限する強制力はありません。
(民法545条1項及び3項、557条、最高裁判例昭和24.10.4民集3・10・437、宅地建物取引業法47条の2第3項及び同施行規則第16条の12第3項、消費者契約法など)
2007.10.15
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「第三者のためにする契約」…気付かざる問題点!?
登記の中間省略をする場合、第三者のためにする契約を結んだとして、買主と第三者との契約形態はどうなるのでしょうか?また、宅地建物取引業法に規定される「自己の所有に属さない宅地建物の売買制限(法33条の2)」との関係も教えてください。
登記の中間省略が一定の契約形態により可能となったといっても、前号で説明したように、売買契約の単なる中抜きでは、権利変動を公示する登記制度の趣旨からして中間者の登記を省略することは認められません。
第三者のためにする契約とは、売買契約においては当事者(売主A・買主B)が予め第三者(権利者C)に物の所有権を移転する目的で締結する契約(民法537 条)をいいますから、買主Bと権利者Cとの間には民法上の売買契約とは異なった契約形式を採用することも考えられますが、一般的(宅地建物取引業者がBの地位を占める契約)には、BC間においては他人の権利の売買契約を締結し、所有権に関して売主A買主Bで締結した第三者のためにする契約に基づくAからCへの直接の移転をなす旨の特約を付帯させるのが良いでしょう。ただし、ここで問題となるのが、ご指摘の業法33条の2の規定です。これについては宅地建物取引業者自らが売主となる場合に抵触しますので、国土交通省令(宅地建物取引業法施行規則15条の6)において、当該業者が買主となる場合で、第三者のためにする契約または買主の地位の譲渡に該当する形態を整えているものについては、法33条の2を適用しないこととする改正(同施行規則15条の6第4号追加)を通達したところです(平成19年7月10日国土交通省総合政策局不動産業課長発第19号)。
一方、BC間の契約形態を民法上に規定されていない契約形式(無名契約、非典型契約)とした場合、その部分は宅地建物の取引とはならず、宅地建物取引業者が売主となっても業法の規律を受けないこととなり、消費者保護の観点から種々の問題が生じる恐れがあります。したがって、Cの立場にある者が一般消費者である場合には、その内容と自らの法的地位を充分に理解したうえでの無名契約締結が望ましく、当該業者の法的知識と説明責任が強く求められると考えますので、慎重な判断が必要です。
2007.8.28
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「引き渡し前の解除」…違約金の請求は可能か!?
昨年10月に建売住宅を更地の段階で契約しました。契約時、住建会社、不動産会社より重要説明事項の説明をうけましたが、その時点で隣地境界に設置してあるよう壁の越境、隣地の住宅(4軒長屋)の汚水口、汚水管がこちらの敷地に埋設されていることの説明は受けませんでした。結局それらは解決されず60cm×14mも私共が土地を提供する形になり、全く納得いく話ではありませんでした。その他にも外壁に使っているサイディングが欠けており交換することなくそのまま塗装されている、外構の図面の提出を再三求めているにもかかわらず最後まで無し、その他数点についても契約時の打ち合わせと違うことがありました。相手方は引き渡しまでにすべて対処すると言っていましたが、信用出来ず、契約継続を断念しました。回答は違約解約には応じることができない。白紙解約(合意解約)には応じる。手付金のみ返金する、とのことでした。年内に購入の手続きを終え新年には新たな場所でスタートできると思っておりましたのに全く納得のいかない回答でした。ローン契約も整いそれに伴う費用もかかっております。この場合違約解約にはならないのでしょうか?
まず、本件契約の目的不動産が売り建て形態(青田売り)の土地付住宅であることから、土地建物の引き渡し時の状態を予め契約の段階において説明されておられると思いますが、建物が完成し土地と共に引き渡しを受ける時まで、契約が約束どおり履行されるものか不安な状態が続きます。

しかし、このような取引形態の場合、土地建物を引き渡すまでの間に発覚した新たな事実(隣地境界の越境及び有効宅地の減歩、建物の損傷や図面の提示)も含め、当初の約定に則って貴殿に引き渡す義務を売主は負っているのであって、買主は売主に対し義務の履行を催告し、売主は問題箇所の修復と減歩における金銭対価を売買代金より減額するなど、相当の措置を講じて貴殿に引き渡しをすることが必要になります(反対に貴殿は問題箇所における実質的損害を売主に請求することができます)。したがって本件の場合、当該義務の履行がされないと判明した時に初めて「債務不履行」の状態になると考えますので、貴殿の場合、相手方が改善を申し出ているにも係わらず現在の状態で契約を解除するのであれば、債務不履行を理由に違約損害金の請求をすることは出来ないと思慮します。つまり、本件契約条項の違約とは、売主が負うべき債務を履行できないとして売主が契約を解除しようとする場合に、売主が違約金を負担しなければならないのであって、履行期の到来していない(引き渡しを受けていない)状態では債務不履行を理由に解除をすることは出来ず、違約金の請求も出来ないということです。(民法541・545条)
2007.2.15
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「重要な事項の不告知」・・・伝家の宝刀・錯誤無効?
先月、マイホーム建設のために不動産会社の仲介で土地を購入し手付金200万円を売主に支払いました。
早速ハウスメーカーに設計の依頼したところ、購入した土地の前の道路は「建築基準法42条1項5号(位置指定)道路」で、その土地の一部が自動車の転回広場に当たっていることがわかりました。私はこのことの説明を受けていませんでしたし、現地では確認出来ませんでした。結局土地の前面部分、約20m²が使えないことが分かり、予定していた建物が建ちません。自分に有利に進めるにはどうすればよいでしょうか。
不動産の取引上、このような問題はしばしば起こり得ることです。契約の当事者として最も有利な方法を選択したいところですが、実は処理の仕方によっては法的に解釈の分かれる興味深い問題なのです。このような場合、まず貴殿がどうしたいか、によって方法を探ります。 貴殿がこの土地を気に入っておられ、建物が少々いびつになっても我慢できるのあれば、売主の担保責任(民法566条・用益的権利による制限)の範囲で、買主が被った経済的損失(転回広場部分の対価減額と不完全な目的物の履行による評価損失〉額を損害賠償として請求できます。

一方、貴殿が契約を解除する場合、本件土地の取得は住宅建設が目的であり土地の減少は致命的であるという客観的理由を示し、民法95条「要素の錯誤」が買主にあったとして契約の無効を主張します(ただし、判例は契約の錯誤無効に担保責任は認められないとしていますから、併せて売主に損害賠償を請求することは難しいでしょう)。この場合は仲介会社に業者としての債務不履行があるとして損害(買主の実質的損失や慰謝料)賠償を求めます。

また、本件のようなケースでも契約違反を主張して契約解除及び違約金の請求を求める事例をよく見受けますが、売主に悪意が無く、仲介業者の調査ミスや告知違反などの過失が明らかな場合、売主からは残代金の支払いを含め契約の履行を催告(時には売主から違約を主張)されることも考えられますので、論点を整理して対処することが大切です。
なお、錯誤と担保責任の関係は、権利関係を早期に整理するという趣旨から、特約である担保責任を優先させ、一般規定である錯誤による無効の主張を認めないとしています。
2006.11.15
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「代理人の権限」…妻の行為はどこまで有効?
先日、京都市内のマンションを売却しました。その際に私が仕事だったので契約を妻に代わりに行ってもらいましたが、仲介不動産会社の手数料を私にはマケルと言っていたのに、結局マケテもらえませんでした。営業マンは、「奥様にお話ししたところ、正規でお支払いします。」と言ったから…と。売主は私で、妻は単なる契約の代理人にしか過ぎないと思うのですが、金額や手数料を交渉する相手を間違ってはいませんか?ちなみに、妻には「契約締結に関する一切の権限」と書いた委任状を持たせました。
「契約締結に関する一切の権限」のなかに、代金や手数料の交渉、決定をする権限をも含むかどうかという視点からこのご質問を判断すると、いささか貴殿の側に不利となりそうです。まず、代理権の授与及び内容に関して、本件では「委任状」を交付していること及びその文言に「一切の権限」とあること、更に貴殿と代理人の関係が夫婦であることも、相手方にとっては手数料の額の決定に関しては、奥様に権限があると信じたことに過失があったとは認めにくいと考えます。貴殿としては、契約締結の権限とは、契約書にご主人の代わりに署名捺印(本来代理人の署名をすべき)したり、書類や手付金を受け取ったりするだけの委任と考えたいところでしょうが、やはり本件委任状の文言からは、契約に関して包括的に委任をしたととらえても仕方ないでしょう。したがって、本件代理行為を無権代理行為(民法113条)というには無理があり、金額交渉の権限を与えていないと主張しても、表見代理(同110条・権限ゆ越による表見代理)は成立すると考えます。委任状は一般的に代理権を付与した証明として扱われますので、付与する代理権(内容)には注意が必要です。また、夫婦間の相手方が行った法律行為について、日常の家事による債務の連帯責任を定めた民法761条は、広く表見代理の成立を擁護するものではありませんが、法律行為の相手方が善意無過失で正当な理由がある場合、表見代理の成立として類推して適用される(最高裁判例昭和 44.12.18百選33事件)ので、大切な事柄を夫婦間で委任する場合など、内容については特によく話し合い、取り決めておく必要がありますね。
2006.6.15
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規定報酬以外の報酬受領は可能か?
このたび神戸市内で不動産を売却いたしました。その際、正規の売買代金(2000万円)とは別に税金対策として300万円を領収書無しで受け取りました(本来の不動産の相場は3000万円ぐらい)その時仲介業者に手数料として69万3千円、業務委託費として9万4500円、コンサルティング費として22万500円を支払いましたが、よく考えてみると取られすぎではないかと。費用の支払い約定書なる書類には「異議を述べない」となっており、サインしてしまいましたが返してほしいのです。弁護士は返してもらえると言っていますがどうでしょうか。
宅地建物取引業者はその業務に係る報酬額の制度について、昭和45年10月23日建設省 (国土交通省)告示1552の第七で、同告示に定める第一から第六迄の規定による報酬(一般的には400万円を超える売買価格に対し、3%+6万円と説明されている)以外の報酬受領を禁止されており、それに係る消費税又は特別に依頼された広告に対する料金以外は受領してはならないことになっています(宅地建物取引業法46条1項)

本件の場合、当該取引の特殊事情がうかがわれ、本来受け取ることの出来る報酬との差額を、前期告示違反に問われぬよう分離請求したものと推察できます。しかし、受領名目の如何に係わらず、宅地建物取引業者は当該取引に関連する業務の報酬としては前述した告示規定以外の報酬を請求受領することは厳格に禁止されており、当該業者にもそれなりの言い分はあろうかと思いますが、本件の場合は返還に応じなければ重大な業法違反に問われると考えます。

一方、依頼者の特別の事情により依頼された業務のうち、支出を要する特別の費用に相当する金銭で、事前に依頼者の承諾を得ている費用についてまで禁止されているものではないと考えることも可能(平成13年1月6日国土交通省総動発第3号)ですが、本件の場合、業者は取引の成立に至る諸条件の変更等により予め報酬の減額が予測されたこと、及び別名目の報酬についても当該契約との因果関係が明確であり仲介行為に包括される業務であって、特別の費用が発生したとは言いがたいことから、別名目報酬は認められないと考えるべきでしょう。ただし、本件ご質問とは別に貴殿らが行った税金対策とは、明らかに脱税行為であり、貴殿は当然所得税法違反、業者も所得税法違反ほう助として罰せられることをご承知おきください。
2006.5.15
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構造計算書偽造事件…我が家は?
ニュースで連日報道されている「構造計算書偽造事件」に不安を感じています。というのも3年ほど前に木造3階建ての住宅を建売で購入したのですが、その際にも「構造計算書」なる書類を見せてもらいました。 かなり分厚い書類でしたし、詳しい説明は仲介業者、売主不動産業者からまもなく、確か「計算どおりに建てていますので地震にも安全です」と言われました。どこをどう見て何と比較すれば計算どおりと確認できるのでしょうか。 素人に理解できるよう教えていただけないでしょうか。
今、「構造計算書偽造事件」が巷を騒がせている「構造計算」とは建築物を設計するときの安全性を計算するもので、建物は地球上での重力や地震や自然環境といった厳しい条件で立ち続ける必要があるため、役所・民間確認機関への手続き(確認申請)を行うときに「構造計算書」をつける義務を課せられています。ただし木造2階建・平屋建等の場合、法律上構造計算は必要ありません(軸組計算等簡易な方法で行う)。ご質問者の場合、木造3階建てということですから「構造計算」が必要ということになります。では、あの計算式の羅列された100ページにも及ぶ書類をどうチェックすればいいのでしょうか。
結論を申し上げるとすれば、よほど高度な建築知識と構造計算理論(構造力学)の理解がなければ、計算書をチェックし建物の安全を確認することは不可能と言い切ってよいと思います。構造計算から指定された数値を基に設計を行うことを構造設計といいますが、構造計算上導かれた数値は限界数値であり最低限度の耐力を示すもので、通常は限界数値の23倍の強度を確保して部材等を選定し施工することが望ましいのです。 しかし低コストを重視する傾向から、必要最小限度の部材の使用を助長することに繋がったりします。構造設計=経済設計と言われる所以です。改正(平成12年)建築基準法では、ごく稀に起こりえる外力に対してをも想定する「安全限界耐力計算」方法も追加規定されましたが、除外規定も多くすべての建物に適用されるものではありません。 唯一、一般消費者が自ら身を守る手段としては、構造計算書を専門の第三者に依頼してチェックしてもらい、構造図(構造計算書を基に作成する設計図)、施工図(実際の現場で納まりを確認するための図面)を比較してなお種々のポイントでの現場検査に専門家と立会い、竣工図(出来上がりを表す図面・通常施主にはこの図面しか渡されないことが多い)どおりの建物が完成したかどうかを都度確認することしかないと考えます。
2005.12.15
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競売情報の提供と宅建業者の報酬
こんにちは。早速質問させて頂きます。私は店舗付き住宅を探しており、ある業者さんに物件を探してもらっていました。先日、その業者さんが競売物件でよいのがあると連絡があり、あなたのかわりに代行してあげますとのこと。落札した場合に落札価格の3%プラス6万円を代行料として頂きますとのことでした。最近は一般人も多く競売物件に入札する人もいると聞いてますが、業者がそのような話をもってくるのはあまり聞いたことがなく不安に思っております。宅建業者がそのような行為をしても業法違反にはならないのでしょうか?それとも宅建業とは別の行為、例えば、競売に関して代行する旨の業務委託契約を交わした場合には関係ないのでしょうか?教えて下さい、よろしくお願い致します。
宅建業者が競売物件の紹介をしたことが「媒介」行為にあたるか、又あたらないとしたら、報酬額は何を基準に算定すべきか問題となります。 まず、宅建業者が不動産の媒介をしたときは報酬について約定が成立していなくても、委託者に対し商法512条に基づき報酬請求権を有しています(最高裁判例:昭和38年2月12日)。ご質問の競売物件の紹介(手続き代行を含む)が媒介行為にあたるのであれば、建設省(国土交通省)告示1552の規定報酬(3%+6万円)の請求には根拠がありますが、この点について岡山地裁判例(昭和54年9月27日は「競売手続きにおいて、競落物件を委託者に競落取得させるために尽力する活動、すなわち、競売物件の情報提供、物件調査、案内ないし競売手続きの補佐あるいは受任等という意味での媒介の余地が在るとしても、それは普通の不動産売買における媒介とはその意味が全く異なり、本来不動産仲介契約及び報酬額の基準である建設省告示が予定する媒介行為とは類型的に異質な行為であると言わざるを得ない。」としています。その上で業者は、商法512条に基づき競落に寄与した割合により相当額の報酬請求がなし得るものとし、建設省告示報酬によるべきでないとしています。 つまり、本件行為は準委任契約による任意の約定を以て報酬額を決定すれば足り、3%+6万円にこだわる必要はないということです。又、競売物件の紹介行為は商行為であり、違法性は無いものと考えます。
2005.1.15
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借地権付き建物の購入について
このたび(中古物件)(土地、建物別所有)の土地のみを購入しました。つづいて家屋の建物+ 借地権を買い取ることになっています。所有者は既に他界されていて3人の方が相続されるようですので、それぞれの印鑑等が必要らしいのですが、間に立つ不動産業者が確かに売買できるようにまず名義を不動産業者に移して同時に不動産業者から私に手数料込みの金額で登記すると聞いていますが?そんなことしなくて相手側から私に登記して別に手数料を支払うのが普通だと思うのですが、司法書士の方が居ても危険なことなのでしょうか?この不動産業者は信用できますか?
ご質問中の借地権付き建物を貴殿が取得する際の手順は次のとおりとなります。(1)当該建物の所有者(相続人)に対して旧所有者(被相続人)より夫々の相続分に応じた持分を登記します(相続を原因とする所有権移転)。(2)新所有者からの持分全部移転(本件売買を原因とする所有権移転)。この場合、当該仲介不動産会社が一旦前記(1)と(2)の間に介在し、後に貴殿に当該建物の所有権を一括で移転するという手法をとる必要はあまりないと考えます。すなわち、本件のような死亡した者の名義の不動産を購入する際、注意しなければならないことは、貴殿と売買契約を締結した相手方(当該相続人3名)が、間違い無く当該建物の旧所有者の相続人であって、他に相続人となるべき者が皆無であるか否か、など(1)の手続を行う部分での問題です。したがって、当該不動産会社が本件取引の中間に介在することと、(1)の手続きをスムーズに進めることとの間に何ら因果関係はなく、言い換えれば、当該相続人の言い換えれば、当該相続人の責任において(1)の手続きが完了すれば、貴殿に直接(2)の全員持分全部移転を行うことは、一般の売買形態とまったく変わりありませんので、当該不動産会社の中間介在は不要ということになります。貴殿のご推察のとおり、(1)(2)の手続きにおいて担当する司法書士が、所有権移転に問題がある場合(他に相続人のあることが判明するとか、相続分に不満があり遣産分割協議が整わないなど)、本件取引が成立しないことを説明してくれるでしょうから、貴殿としては(1)の手続きが完了するのを待っていればよいと考えます。当該不動産会社に納得のいく説明を求めてみてはいかがでしょうか。
2004.11.15
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売買契約時の仮差押について
土地と建物の売買契約をする段階になって、購入予定の土地が仮差押されていることを知りました。仲介業者を挟んでの取引なので仲介業者に相談したところ、「建物を建築して引渡すまでに仮差押を抹消できなければ、契約そのものを取消す」という内容の契約であり心配はいらないとのことです。また、仮差押について売主にその内容を尋ねると、「仮差押は以前の知合いで自己破産した者の債権者が、返済義務の無い売主の資産を何らかの方法で仮差押したもので、その土地価格相当額の現金を裁判所に預託金として預けて裁判する予定であり、仮差押は近々抹消することができる。」と返答がありました。このような場合、できるだけリスクの少ない形で契約及び引渡しをしたいのですが、何か注意する点はありますか?
一般的に所有権の円滑な利用を阻害・制限する他人の権利や、将来に渡って所有権の所在そのものにかかわる裁判上の権利が存在するような不動産を購入することは、特別の事情又は余程の知識経験がなければ敬遠されるのが普通です。特に住宅など一般人がかかわる物件では、利用する住宅ローンの取扱金融機関なども、それらの権利・制限を取り除いた後でなければ融資の対象にしてもらえないというのが実情です。従ってこの様な物件を購入するのであれば、それなりのリスクを覚悟して契約しなければなりません。「仮差押」とは、民事訴訟の本案(訴訟の対象となる原因)から推測される権利などを保全する為に債務者の財産を現状のまま凍結し、又は、権利者に生じる危険や不安を除去することを目的として、本案の目的が金銭債権である場合に、債権者の申立てにより裁判所が行う「保全執行」の方法で「仮差押」の登記又は強制管理(併用可)という方法で行います。(民事保全法参照)そこで貴殿が当該取引を進めていくに当たって注意しなければならないことは、本件売買契約における失権約款(仮差押登記の抹消が出来なければ契約の効力を失う)は当然のことですが、契約締結時に手付金等の金銭を交付せず、当該登記の抹消確認後とする。若しくは手付金を保全させる等の措置が有益かと思います。又、売主の説明を安易に信用せず、事実関係のみを証明(仮差押命令に定められた執行停止の供託金の額が供託され、登記が抹消された事実)してもらうことが重要です。(民事保全法20条22条・47条・51条、民事執行法46条2項、民法561条)
2004.10.15
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『売買契約の解除』について
二ヶ月ほど前に一戸建て中古住宅を買う為売買契約を交わしたのですが、引き渡し(来年3月) 前に仲介不動産会社から相手方からが契約解除してほしいと連絡があり明日詳細説明に伺いますと言われました。手付けとして買値(2,450万円)の10% を払っていて、契約解除の際は手付け+手付けと同じ額を売主からもらえるという契約なのです。しかし子どもの学校、これまでの気苦労、労力、これまで使った細々とした費用等、腹が立ってなりません。売主、仲介業者に手付けの倍返しのほかに請求はできないのですか?また、仲介不動産会社から「契約は成立しているので、手数料はいただきます」と言ってきたのですが、支払わなければならないのでしょうか?
ご質問の不動産取引は、契約行為の時より当該不動産の引渡しまでの期間が長期に設定された契約内容になっているため、価格の変動または危険負担や契約解除の問題など、種々のリスクを含んでおり、契約行為の段階で相当の注意を払い、ある程度予測される前記リスクを回避する手段を講ずるなどした上で、契約行為を行う必要があったとされます。本件において交付された手付金はご質問から判断すると解約手付であると推測できます。これは当事者の一方から相手方が契約の履行に着手するまでであれば、手付金を放棄または倍返しすることにより、一方的に契約を解除することができます。こうした解除が為された場合、相手方は損害賠償の請求はできないとされています。(民法557条)「履行の着手」とは債務の内容たる給付の実行に着手すること。すなわち、客観的に外部から認識し得るような形で履行行為の一部を為し、又は履行の提供をするために欠くことのできない前提行為をした場合を指す(最高裁判例昭和40年11月14日)といわれています。ですから、本件のような契約の締結行為から実際の物件引渡しまでに相当の期間がある場合、引渡し期日近くになるまで、双方が契約の目的達成のための実行行為に何ら着手しないことが予想され、その間に当該手付金特約による解除を申し入れられた場合、当然「履行の着手」はなく、契約解除が認められることとなります。貴殿の心情は理解できますが、契約とは法律行為であり、相手方に不法行為など特段の事情が無い限り、締結した特約に拘束されることは当然なのです。また、仲介した不動産業者から「仲介手数料を請求された」とのことですが、本件契約は手付金特約による解除が認められることから、有効に成立した契約として、不動産業者は報酬請求権を失わないと考えます。しかし、国土交通省告示の規定報酬はあくまで上限を定めたものですから、報酬の支払い額についての約定がなければ、本件契約の目的を完全に達成できなかったとして、受領した手付金の額等を考慮し、相当の額を定めるよう交渉してみてはいかがでしょうか。
2004.9.15
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不動産購入時の説明義務について
平成5年8月に中古住宅を地元不動産業者の仲介で買いました。私道に面した3連戸の真中のテラスハウスで、公道に面しているのは1軒だけです。今回この家を売りにだすにあたり明らかになったのですが、奥の2軒は接道の関係により独自の立て替えができないとのことで、売値が大幅に下がってしまいました。しかし、購入時の重要事項説明の中にはそのことについては一言も触れられていませんでした。これは説明義務に違反しているのではないかと思いますがいかがでしょうか。
一般的にテラスハウスと呼ばれる住宅は、低層の連棟式住宅(一棟の建物の区分所有)で、分筆した敷地を夫々の区分建物所有者が単独に所有する形態を備えたものを言います。通常この様な住宅は、マンションなどの共同住宅に準じた利用形態を持つため、区分された建物の専有部分のみを建て替えることは、基本的には想定していない場合が殆どです。従って、購入した後に区分建物の専有部分を単独で建て替える際には、当然建蔽率、容積率の既存不適合や、接道義務を満たさないなどに加え、切り離しに際して生ずる建物全体の構造上の強度が問題になるほど、多くの制限が課せられます。このようなことから、貴殿ご質問の住宅も、あくまでも一棟の建物の専有部分として販売されたことが推測されますので、購入時の重要事項説明を交付する際、現状の利用に関する範囲での建物の敷地に関する権利及び内容の説明で足り、購入後の利用用途の変更(立て替え)や、第三者に譲渡する時点での市場評価まで想定して説明する義務は負わないと考えます。従って、本件転売時に第三者が、単独建替えが出来ないことを理由に当該物件の価格を安価に査定したとしても、購入時の重要事項説明の際、単独建替えが可能かのような嘘偽の告知を受けたとか、建替え時の説明を求めたにもかかわらず、故意に事実を告げなかったというような、仲介業者の義務違反(宅地建物取引業法第35条第1項5の2、同47条)が明らかな場合を除き、仲介業者の責任を問うことは難しいと考えます。
2004.6.15
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