一般(賃貸借・管理)に関する相談

広い敷地の建物賃貸借…敷地利用の権利はあるか?

使い放題の敷地はラッキー!?
敷地面積が約500坪の土地に、10件ほどの店舗兼用住宅が並ぶ連棟式の建物を所有しています。店舗建物の周りは全部駐車場ですが、建物の老朽化が進み、テナントは医院1軒を残して全て退去。修繕や建て替えにはかなりのお金が掛りますので、残るテナントにも出て行ってもらいたいのですが、現在は敷地ごと好き勝手に使用されており、同様の条件の店舗など見つからないから、退去を拒否されています。

そこで、店舗の賃料とは別に、駐車場の使用料を徴収したいと思いますが、これまではそれぞれの店舗のお客さん用に使って頂いていた(駐車場使用料込みの店舗賃貸借契約)ために、改めて駐車場使用契約はおかしい、と拒否されています。この様な場合、駐車場契約は締結出来ないのでしょうか?又、利用の台数を制限したり、店舗賃料を値上げしたりすることも拒否された場合、どうしようもないのでしょうか?棚子は、「それならば老朽化した建物を大規模修繕しろ」と言っています。建物と敷地の使用とは別の問題として話していますが、折り合いが付きません。
そもそも建物賃貸借契約において、賃借人は建物の利用に通常必要となるような敷地の利用は可能です。本件では、建物に比べて敷地が広く、その敷地の全体を利用しているということですので、建物賃貸借契約の範囲における利用とはいえないと主張出来るかも知れません。

まず、その前提に立っても、長期間の使用の実態があり賃貸人側から特段の異議がなかったことから、「黙示の使用貸借契約」が成立している可能性があります。使用貸借契約が成立していれば、使用収益の目的が終了しなければ使用貸借契約が終了しませんので、駐車場としての利用という目的が終了していない以上、使用貸借契約は終了せず、賃料は請求出来ないことになります。

次に、駐車場としての使用目的が当初から明確であったか否か、仮に明確であったとしてもどの範囲においての利用となっていたのか、その他の経緯事情等から使用貸借契約が成立していないとも考えられます。
又、使用貸借契約が成立しているが、目的が定められていないという考え方も成り立ち得ます。
前者の場合は、単なる不法占拠ですから、明け渡しを求めることも、新たに駐車場賃貸借契約を締結の上、賃料請求をして頂いても問題はありません。後者の場合でも、いつでも使用貸借契約を終了させることができますので、終了させた上で明渡請求なり、賃貸借契約締結の上での賃料請求なりをすることが出来ます。
更に、使用貸借契約の成否に係わらず、新しく駐車場賃貸借契約の締結に向けた交渉をすることは全く問題なく、事案からすればそのように進めるのがよいと思われます。

一方、建物の老朽化に伴う賃借人からの要求については、経年劣化や破損等が生じても、営業や居住に支障がなければ修繕義務はないことになります。貸主の修繕義務は、民法上使用収益に必要な限度とされています。本件においては、店舗兼住宅ですので、店舗営業や居住に支障が生じるような破損等が生じた場合に貸主が修繕義務を負うことになります。又、天災等により物件の使用収益が不可能になった場合、賃貸借契約は終了します。このときも賃貸人に過失がない限り、損害賠償等の義務もありません。万一建て替えた場合でも、建て替え後の物件を元の賃借人に貸さなければならない義務はありません。

結論としては、本件賃借人は、建物周辺を漠然と使用しているだけ(互いに明確な取り決めが無い)であること、建物自体が連棟のものであり、元来他の入居者間の権利関係も不明確であると思われることを重視すれば、使用貸借契約は成立していないと考える方が合理的であるといえます。
いずれにせよ、駐車場としての使用の実態、過去の経緯等がポイントとなります。
2013.01.05
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