一般(賃貸借・管理)に関する相談

熊本地震被災地での借地借家関係は?part供腸板妥について

復旧復興はこれから!
熊本で不動産業と賃貸管理業を営む業者です。
今般の地震の被害を受け、管理物件の何棟かが被害を被っています。その中の学生マンションですが、半壊の認定を受けて現在は入居者が避難生活を余儀なくされています。住もうと思えば住めないことはないのですが、やはり親御さんから「安全が確認できるまでは戻らせない」と言われ、全室空室状態です。余震も随分収まって来たので、家主は「応急措置はした。一応、大丈夫なんだから家賃を払ってもらいたい」と板挟みです。このような状況で入居者に賃料を請求出来るのでしょうか。
また、中華料理店のテナントですが、ガスが4月30日まで止まっており、水道は5月15日まで使えませんでした。当然その間は営業が出来ず、片付けが終わって再開したのが5月26日でした。賃料が口座引き落としになっていたので、4月、5月分も入金されていますが、テナントさんから2ヶ月分の返金要望があります。返す必要がありますか?
ご事情、お察し致します。
早速ですが、最初のご質問の被災マンションの家賃の支払いについてお答えします。
賃貸借契約の賃料は賃貸物件の使用対価です。そのため賃料支払義務が継続するか否かは、賃貸物件を使用できる状況か否か、により異なります。仮に震災で賃貸物件が大きく損傷し、賃借人が居住できない状況となれば、賃貸借契約の継続は困難となるため、被災により賃貸借契約は終了し、その後の賃料支払義務は発生しません。震災による賃貸物件の損傷を確認する必要があります。家主が応急措置を施し、住める状態だと主張されている様ですが、ご子息を心配される親御さんの心情は当然ですので、家主側がこの建物は安全だという客観的証明でも示さない限り、戻っては来られないと推測します。家主さんも被災者であることは理解しますが、業として賃貸マンションの運営を行う以上、応急措置という観点ではなく、現段階での建物の安全性を調査し、確認されれば入居再開を促すという手順は必要でしょう。


なお、被災後の不動産については土地工作物責任の問題があり得ます。賃貸物件に倒壊等の危険があるにもかかわらず放置し、その結果、賃貸物件が倒壊するなどして他人に損害を与えた場合には、賃貸物件の所有者が被害者に対し損害賠償の責任を負う(民法717条1項)こともあり得るので注意が必要です。
また、安全性が確認されているのに入居者が戻らない場合、それまでの賃料は請求しないとした上で、通常の解約によって処理(心情的なものは別にして)することは可能と思料します。

次に、テナントの賃料返還請求に関しては、当事者双方に責任のない事由により賃貸物件を中華料理店として使用できなければ、使用できなかった期間の日割賃料を減額することが考えられます。民法では、天災等当事者双方に責任のない事由により賃貸物件を使用させる義務を履行できない賃貸人は、反対給付たる賃料の支払いを受ける権利を有さない、と定められているからです(民法536条1項)。
本件では、当該テナントが飲食店として営業が正常に行えない期間、つまり、地震発生時点(4月14日または4月16日なのか、詳細は不明ですが)からライフラインの開通(5月15日)までのほぼ1カ月の賃料については、家主側に受け取る権利がありませんので、受領した当月賃料は不当利得となりますが、水道が復旧した5月15日からテナント側が再開した26日までの間については、債務者(家主)に不履行は認められず、債権者(テナント)の責任で再開するまで時間を要したと見ることも出来ますので、家主が賃料の請求をすることも可能と思料します(この回答には、現実的な諸般の事情は考慮しておりません)。従って、当該賃貸借契約において、当事者間で別段の同意がなされている場合はこの限りではありません。
2016.07.05
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