事業者向けの相談

買主、借主が宅建業者のときの重要事項説明が不要に!?
平成29年4月1日施行の宅建業法改正内容について

弊社が買主ですので説明は結構です!
本年4月に施行された宅地建物取引業法の改正箇所が多くあると聞きました。業務に直接影響の大きなものも含まれますか?今回の改正の概要とポイントを教えて下さい。
昨年、第190回国会において、既存住宅の流通市場を活性化し、安全な取引環境の整備を図るため、建物状況調査(インスペクション)の活用等を内容とする宅地建物取引業法の一部を改正する法律が成立し、平成28年6月3日に公布されました。
本法律において、建物状況調査(インスペクション)関係の規定について公布の日から2年以内、それ以外の規定について公布の日から1年以内の政令において定める日から施行することとしていたため、施行期日を平成29年4月1日と定められた宅建業法の改正箇所は以下のとおりです。

1.宅地建物取引業法(以下法)の業務の適正化及び効率化を図る改正
1)法34条の2関係
媒介契約を締結した宅地建物取引業者(以下宅建業者)は、当該媒介契約の目的である宅地又は建物の売買又は交換の申し込みがあったときは、遅滞なく、その旨を依頼者に報告する義務。

2)法35条関係
宅地又は建物の取得者又は借主が宅建業者である場合における重要事項説明については、重要事項を記載した書面の交付のみで足りるものとし、宅地建物取引士(以下取引士)による説明は要しない(ただし、同書面への取引士の記名押印は省略出来ない)。


2.営業保証金制度等の改善に関する改正
1)法27条及び64条の8関係
宅建業者と宅建業に係る取引をし、どの取引により生じた債権に関し、営業保証金又は弁済業務保証金について弁済を受ける権利を有する者から宅建業者を除外する。

2)法35条の2関係
供託所等に関する本条1項中、「宅地建物取引業者は、宅地建物取引業者の相手方等」の次に「(宅地建物取引業者に該当する者を除く)」を加える。これにより供託所等に関する説明は、取引の相手方等の宅建業者に対しては不要となる。


3.取引士等に対する研修の充実、その他
1)法64条の3、75条の2関係及びその他所要の改正
宅地建物取引業保証協会は、宅建業者を社員とする一般社団法人に取引士等の研修の実施に要する費用を助成することが出来るものとし、当該一般社団法人に対し、取引士等が職務上必要な知識及び能力を習得するための体系的な研修実施の努力義務を定める。


改正が多いと確認が大変!
解説
1.-1)
売買又は交換の申込みがあったときの報告については、購入申込書等の売買又は交換の意思が明確に示された文書による申込みがあったときは、依頼者に対して遅滞なく、その旨を報告することとする。なお、依頼者の希望条件を満たさない申込みの場合等であっても、その都度報告する必要がある。

1.-2)
法35条1項並びに2項では、これまで宅建業者が宅地又は建物の取得もしくは借りようとする者に該当する場合であっても、取引士をして所謂重要事項の説明及び書面交付は省略することは出来なかったが、当該取引の形態においては、取引士による重要事項の説明は不要となることを以下のとおり読み替え規定として本文が改正された。

法35条6項
次の表の第一欄に掲げる者が宅地建物取引業者である場合においては、同表の第二欄に掲げる規定の適用については、これらの規定中同表の第三欄に掲げる字句は、それぞれ同表の第四欄に掲げる字句とし、前二項の規定は、適用しない。
第一欄第二欄第三欄第四欄
宅地建物取引業者の相手方等第一項宅地建物取引士をして、少なくとも次に揚げる次項について、これらの事項少なくとも次に揚げる次項
交付して説明をさせなければ交付しなければ
第二項に規定する宅地又は建物の割賦販売の相手方第二項宅地建物取引士をして、前項各号に揚げる事項のほか、次にあげる事項について、これらの事項前項各号に揚げる事項のほか、次にあげる事項
交付して説明をさせなければ交付しなければ

法35条7項
宅地建物取引業者は、前項の規定により読み替えて適用する第一項又は第二項の規定により交付すべき書面を作成したときは、宅地建物取引士をして、当該書面に記名押印させなければならない。

2.-1)
これまでは所謂弁済業務の対象となる宅建業者の相手方に宅建業者も含まれていたが、今回の改正により宅建業者は営業保証金又は弁済業務保証金から弁済を受けることは出来ない。

2.-2)
従来供託所等に関する事項は、宅地又は建物を取得もしくは借りようとする者が宅建業者であっても説明対象となっていたが、2.-1)の改正により、説明する必要性が失われたことによる。

3.-1)
取引士及び宅建業者に従事する者に対する研修制度は宅地建物取引業保証協会(全日本不動産協会にあっては不動産保証協会をいう)が担っていたが、同一の会員を社員とする一般社団法人(全日本不動産協会及び宅地建物取引業協会)へ当該保証協会の弁済業務準備金から助成出来ることとし、宅建業に従事する者に対する知識及び能力を効果的且つ効率的に習得出来るよう、法令・金融その他多様な分野の体系的な研修を業界団体が実施する(全日本不動産協会にあってはステップアップ・トレーニング等)。

※なお、既存住宅の建物状況調査に関する改正については、平成30年4月1日の施行となったので、事業者の方々においては当該調査(所謂インスぺクション)の実施実務については、本年度中に習熟されるよう留意して下さい。
2017.05.06
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