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不動産広告のウソ?と不動産会社の営業範囲…何が誇大広告で何が問題か

広告と実際の乖離は誇大広告?
以前、不動産会社の別荘地分譲広告を見てそのうちの1区画を購入しました。緑深く、空気の澄んだ新しい別荘地で大変気に入っていました。また、購入の動機の一つに、「全200区画!都心へ直通65分のアクセスと安らぎを同時に手に入れよう!」というキャッチが想像させる当別荘地の発展というか、賑わいというか、よくある山の中の寂しい別荘ではないところに期待したからです。
しかし、現実には別荘は売れず、不動産会社も規模を縮小して細々と売り続けています。まあ、景気の問題もあり、それは仕方ないと思うのですが、最近また当別荘地のチラシが入り、目にしたところ、「新しい家族が次々に入村し、コミュニティは拡大しています!」と書かれていました。全くのウソであり、私も含め、十数軒程度がまばらに家を建てている現状です。これって問題でしょう??このような悪質なおとり広告によって私たちが裏切られた思いをまた味わう家族が出るのでは?こういう不動産会社は厳重に取り締まるべきと思います!
有名ブランドのテナントを華やかに飾るショウウインドウには、8頭身とも9頭身とも思われるマネキンが流行のドレスを纏い、世の女性達を惹きつけて止みません。一方、子供心に、洒落た喫茶店の店頭で、豪華に盛られたパフェのサンプル食品をじっと見つめ、「これ食べたい!」とせがんだ記憶も蘇ります。しかし、実際に注文して出てきたそれは、凡そショウウインドウに飾られたパフェとは掛け離れた出来栄えにショックを受けたものでした。
広告媒体(パフェのサンプルも立派な広告媒体です)の現物との乖離は、様々な業界で問題視されることも多く、前述したブランドのドレスは、そのものに偽りはなくても、8頭身のマネキンが着ればナルホドそうですが、そうでない方が纏えば、それなりに(これ以上はセクハラです)。問題は、消費者が広告媒体をどう受け止めるのか。他方、事業者は消費者にどうやって良質なイメージを抱かせるのかの攻防だと言えます。従って、誇大広告の定義や違法の判断基準はケースバイケース(訴訟判決では、概ね「一般人をして誤認させる程度」の表現を多用)であり、個々の事案ごとに、「一般人をして」騙されると思うのか、どうなのかを見極めなければなりません。不動産広告については、とりわけ高額な商品であるが故、自ずと基準は厳しく設定されることは当然ですが、それでも誤認の程度を争えば、一概に結論が導き出せない難しい判断を迫られることになります。
さて、ご相談に関して言及するには、不動産広告に対する法規制や、不動産会社自身の営業行為(業務)に関する通則に照らして、当該広告内容が違法なものかどうかを見なければなりません。当事者である貴殿がどう感じるか、だけでは判断できないのです。

温泉付といっても…サルの温泉だった!?
宅地建物取引業法(以下業法)第32条によれば、宅地または建物の「所在・規模・形質もしくは現在もしくは将来の利用の制限・環境もしくは交通その他利便・または代金、賃借等の対価の額もしくはその支払い方法・代金もしくは交換差金に関する金銭の貸借の斡旋」について、“著しく”事実に相違する表示(虚偽表示)をしたり、実際の物よりも優良であり、もしくは有利であると“人”を誤認させるような表示(誇大表示)をしたりしてはならない、として誇大広告等の禁止を規定しています。

先ず「全200区画」について、開発予定分譲地の総区画数が未完成物件を含め200区画を下回らないのであれば、あくまで分譲可能な区画数であり誇大広告には当たりません。しかし、貴殿ご購入の当時は200区画の大プロジェクトでスタートしたが、不動産会社の運営方針や業績等の変化によって、すでにその方針を変更しているにも係わらず、開発可能というだけで実際にはそれだけの区画を供給出来ないという状況であれば、誇大広告に当たると考えます。つまり、実際の物より優良である、と広告を見た人を誤認させるに十分な表現であるからです。
次に「新しい家族が次々に入村し、コミュニティが拡大している」という表示について検討します。
事業主サイドの見解に立てば、おそらく、これは単なるキャッチコピーで営業トークとして使用した、と言うでしょう。また、営業活動により契約者が増えることで、当然コミュニティは拡大するので誇大広告ではない、という言い訳も聞こえてきそうです。しかし、これが実際の見学客に対して現地での会話の中で出た言葉で、且つ例えば、「今はこういう状況ですがこれから入村者が増えることでコミュニティは広がりますね」というような営業トークであれば、それを聞いた見学客が今後を予想し、自身で判断することも当然ですから、さほど問題にはならないでしょう。問題は、この表現を広告媒体に使用していることで、優良誤認を誘引するかどうかです。
優良誤認の判断基準として、国土交通省は「宅建業法解釈・運用ガイドライン」の中で次のように述べています。
「…例えば、「駅まで1kmの好立地」と広告に表示されているが、直線距離では駅まで1km程度であるものの、実際の道のりでは4kmある場合、駅までの道のりが1kmであると一般の購入者を誤認させるような表示であるので、「誇大広告」に該当する」。
所謂、表示は虚偽ではないものの、表現を巧みに利用し、駅から近いという印象をことさら植え付けるような表示等は、本件にも通ずる部分が無いとは言えません。しかしながら、本件の表現は抽象的であり、広告から受けるイメージも一様ではないと考えられ、直ぐに誇大広告といえるかどうかは難しいのではないかと考えます。ただし、斯様な表現を用いたことで少なからず一般人に優良な別荘地をイメージさせることについては、事業主の意図に係わらず実際の状況を記載(例:200区画中15世帯入村済み・2018年〇月現在)するなど、優良誤認を防ぐ措置が求められることは事実です。

最後に、おとり広告ということについては、その基準が明確に示されています。従って、本件はおとり広告には該当しません。
不動産のおとり広告については、不当景品類及び不当表示防止法(景品表示法・昭和37年5月15日法律第134号)や、公正取引委員会告示及び不動産公正取引協議会(自主規制団体)の定める公正競争規約によって規制対象が定義され、運用されています。それらによれば、不動産のおとり広告は次のとおりです。
『事業者』は,次の広告表示をしてはならない
ア 架空物件(告示1号)
物件が存在しないため実際には取引することができない物件
イ 虚偽物件(告示2号)
物件は存在するが実際には取引の対象となり得ない物件
※重大な瑕疵が在る物件で取引不能が明らかであるものも含む
ウ 取引拒否(告示3号)
物件は存在するが事業者は実際には取引する意思がない物件
・不動産公正競争規約21条
・昭和55年4月12日公正取引委員会告示14号

以上の物件を広告した場合、事業者は景品表示法及び公正競争規約違反として措置命令または指示処分の対象となり、違約金課徴や行政処分、時には刑事罰を受けることになります。

おとり広告は犯罪です!
2018.06.05
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