その他の相談

放置された側溝…所有者不明土地の対処法(法人偏)

いっそのこと、埋めてしまおうか!?
大阪堺市に住む者です。自宅が在る地域の街区を分けるように水路(溝のような少し巾の広い水路)が東西に走っています。その水路に沿って住宅の区画が並んでいて、接する住宅からもその水路に雨水や生活排水が放流されています。現在まで(私が居住してから約25年)自治会の大掃除のときにこの水路に接する住人が皆で掃除をしてきました。最近、住人の高齢化が進んできた関係か、大掃除に出てくる人も少なくなり、掃除も行き届かなくなり、水路からは異臭がするようになりました。また夏場はボウフラが湧いて不衛生です。
この水路、実は所有者が元この辺りを開発した不動産業者(株式会社)で、今はすでに倒産して連絡が取れません。以前は水路に排水を流している住宅から利用料を取っていたとのことですが、今は誰も払っていません。登記は分筆された細長い土地として業者の名義のまま残っています。役所に相談しても、私有地なので手が出せないと言われ、自治会でも関係する居住者が限られるとしてそこまで真剣に議論はされず、解決策は見出せません。このまま永遠に放置されるしかないのか、ボランティアで管理し続けるのか。法律的なことを根本的に理解した上で対処しなければいつか大きな問題となる様な気がしたので質問させて頂きました。宜しくお願い致します。
先ず、当該水路の所有者が行方不明となった原因である法人の解散(本文では倒産)には幾つかのパターンが考えられます(表1)。ご質問では当該不動産会社の解散に関する情報が不足していますので、「破産による清算」が終了していると仮定してお答え致します。
表1・解散の種類
任意解散 定款で定めた存続期間の終了
定款に定めた解散事由の発生
株主総会の特別決議
合併(吸収合併)
強制解散 破産手続開始の決定
解散を命ずる裁判
休眠会社のみなし解散
特別法(銀行法、保険業法)上の解散原因の発生
みなし解散 最終登記日から12年経過している休眠会社
法人が破産した場合、債権者等によって破産手続きに入るための申し立てがなされます。それによって裁判所は破産手続き開始の決定を行います。その際、裁判所は必ず破産管財人を選任しなければならず、殆どの場合、弁護士がその職に就きます。破産手続において管財人は、破産会社の財産の売却・換価に努めますが(破産法75条2項)、必ずしもすべての財産を売却・換価できるとは限りません。特に、財産が不動産の場合、固定資産税の負担を回避するため、売却の可能性が低いと判断した場合や、本件のように処分が見込めない不動産などは、管財人がその不動産を破産財団(破産会社の財産)から放棄します。そうすると、その不動産の管理処分権は、清算法人としての破産会社に復帰します(破産法78条1項)。破産手続きが終了した場合も同様です。 また、清算法人には原則として役員は不在となります。これは、株式会社と役員の関係は、民法に定める委任契約に該当するところ(会社法329条、330条)、民法653条2号で、「委任者又は受任者が破産手続開始の決定を受けたこと」を委任の終了原因としていることに基づくものです。 本件において、上記のとおり当該不動産会社の破産手続きが終結し、本物件水路の所有権登記が清算法人の名義で残されたままである、という状況が現在の事実であるとするなら、本物件水路の維持管理の責任は清算法人が負うところ、実質的には「抜け殻」になった会社である以上、物理的にそれは不可能であるということになります。

残務整理が終われば…
以上を前提として、当該水路の今後を検討して行かなければなりません。方法は幾つか考えられると思いますが、最も実現の可能性が高いと思われる方法は、当該水路の利害関係人(例・水路を利用している隣接土地の所有者など)の申し立てによる当該清算法人に対する清算人の選任を裁判所に申し立て、清算人と利害関係者との間で当該水路の売買契約(無償譲渡可能)を締結し、所有権を取得する方法です。これによって水路は隣接地所有者の共有となり、維持管理責任の所在が明確になります。
その上で、当該水路が既に不要もしくは不要となるよう隣接地所有者が排水経路を別途整備する等が可能なら、水路を廃止して埋め立て、土地の一部として利用することも出来ます。ただし、本件水路の存する一帯の住宅地が開発された当時、造成地内の水路も開発計画の一部として許可されていることが考えられますので、たとい所有者であっても自由に廃止できるとは限りません。水路の廃止については、所轄の行政庁の開発または建築指導関係部署に確認することが肝要です。

因みに、その他の方法として行政(地方公共団体)が起業者となって土地収用法に基づく不明採決制度(事業が土地等を収用又は使用するに値する公益性を有することを事業認定手続により認定した後、補償金の額等を決定するため、各都道府県の収用委員会における審理や裁決などの収用裁決手続を経て、当該事業の用に供する土地等の権利を起業者が取得する手続)を利用する方法や、地元自治会が認可地縁団体として先の利害関係人に代わって主体的に取得する方法などが考えられますが、いずれも本件の特殊性に馴染まず、採用することは出来ないと思料します。
やはり、前述した方法を当該水路に係わる住人の方々と協議し、弁護士等専門家を交えて出来るだけ負担の少ない手法で解決を図ることがベターではないかと考えます。
2018.10.05
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