一般(売買)に関する相談

市街化調整区域内の土地売買と既存住宅の建替え…既存宅地制度はもうありませんよ!

既存宅地制度は神話的??
現在、圃場整備が終了した神戸市北区の市街化調整区域内の土地に親の代からの住宅に住んでいます。この度、その土地と建物を売却しようと思い、不動産会社に依頼したところ、調査を担当した方から、「この土地は市街化調整区域に在り、建物の建築及び既存住宅の建て替えも原則として出来ませんので、土地の評価としては低いものとなります…。」との説明を受けました。
私としては、それは知っているが、親からは既に住宅が建っていた土地(元は田であったが宅地に変更されている)を土地建物共に購入し、この住宅の建て替えは可能と聞いていましたので納得が行きません。登記簿も宅地であり、固定資産税評価証明書にも住宅用地適用となっています。建物は昭和50年築、以前は納屋であったものを居宅に変更しています(親の前の所有者)。市街化調整区域であっても、宅地として登記され、住居として利用している土地上の住宅を、新たに購入した人が建替えることは出来ないのでしょうか?
市街化調整区域内で開発行為を行おうとする場合、用途、規模の大小に係わらず、原則都道府県知事注1の許可が必要です。開発行為とは、主として、(1) 建築物の建築、(2)第1種特定工作物(コンクリートプラント等)の建設、(3)第2種特定工作物(ゴルフコース、1ha以上の墓園等)の建設を目的とした土地の区画形質の変更をいいます。言い換えれば、市街化調整区域内の土地であっても、開発行為の許可を得れば、上記の行為は適法に可能となるということで、絶対にダメだ、ということではありません。

注1
許可権者については、都道府県知事、政令指定都市の長、中核市の長、特例市の長(都市計画法第29条)の他、地方自治法第252条の17の2の規定に基づく事務処理市町村の長が該当する。

さて、ご質問の土地の所在地が神戸市北区の市街化調整区域内であることから、当該土地の開発行為においては都市計画法(以下法という)の他、神戸市の定めた開発(建築)許可基準(立地基準、技術基準)にも適合しなければなりません。また、それらの基準に適合しているからといって、法に基づく許可が必ず下りるとは限らないので注意が必要です。
本件では、既存住宅が建築されているということですので、これを購入した第三者が、今後において当該既存住宅の増改築(改築は建替えを含む)を行うことに関して許可が不要か必要か、またその際の手続について言及します。

まず、ご質問の内容だけでは、本件土地が所在する区域や土地の特性(例えば用途地域が定められている暫定市街化調整区域や、立地基準のうちの運用基準に定める要件を満たした特定宅地の適用など)が不明ですので、断言は出来ませんが、既存建物用途が住宅で昭和50年の建築ということですから、開発許可を不要とする建築物の建築(開発許可を受けた土地以外の土地での建築等の制限:法43条1項ただし書き)には当たらず、当該既存住宅を増改築しようとする場合は建築行為の許可(法43条)が必要となります。

原則許可が不要なのは軽易な増改築や内装リフォームぐらい
次に、この許可を得るには、一定の基準があります(以下概略・詳細は所轄の行政窓口に直接ご確認下さい)。
  • 1.当該既存建物が線引き(昭和45年12月28日)よりも前に存在していたこと
  • 2.当該既存建物は、建築確認申請または開発(建築)許可によって適法に建築されたものであること
  • 3.譲渡人が当該既存建物を10年以上保有していたこと
  • 4.譲渡人の売却に止むを得ない事由が存在すること
  • 5.譲受人の購入に合理的な理由が存在すること
などです。
この基準をクリアした当該既存建物の購入者が法43条の許可を申請し、開発審査会を経て許可を得ることが出来た場合に、都市計画法上の所有者となります。

※神戸市の場合、上記の基準を満たし、以下全ての条件を満たす場合に限って、既存建物の増改築(建替え含む)を行おうとするときの法43条1項の建築許可は不要とされています(立地基準の運用:既存建物の建替え等)。

  • 1.従前の建物の敷地の範囲内で行われること
  • 2.予定建築物が従前と同一の用途又は不可分(分離していない)であること
  • 3.増改築後の床面積合計が、従前の1.5倍以下(例外・自己居住用で従前の建物が狭小の場合、従前の2倍以下且つ150岼焚次砲任△襪海
  • 4.予定建築物の構造・設備等が従前とほぼ同一であること(木造→鉄骨造は可)

この基準を満たさない既存建築物の増改築については、通常どおり法43条1項の建築許可の対象となります。

市街化調整区域での開発や建築は必ず専門家に相談!
従って、ご質問の回答としては、当該不動産会社ご担当のご説明は間違いではなく、地目が宅地であり建物が現存していたとしても、市街化調整区域においては当該不動産を購入する第三者の属性や利用目的によって、また現所有者にあっても当該建物の建築時の経緯などにより増改築や建替え、除却後の新築行為などに厳しい制限が課せられることもあります。従って、売買に向けた販売活動の段階では購入希望者が不明であることを鑑み、市街化区域内の宅地建物とは相当程度の価格の低下を見込んだ査定となることが殆どです。
その辺りをご理解の上、購入希望者には個別の調査が必要であり、購入目的に沿った建物の利用や増改築、建替えが可能かどうかは、この段階で申し上げることは出来ません。
2019.01.07
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