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改元に伴う書類の日付・・・平成から令和へ・新旧元号の使い分けは?

平成の鯉のぼりはもう見られない!?
5月1日に元号が変わりましたね。弊社では新元号を基に社内書類や顧客との賃貸借契約書や管理委託契約書など関係する書類の平成表記を新元号「令和」に書き換えるよう指示しています。
昭和から平成に改元されたときは、天皇御崩御の日まで元号が分からなかったのですが、今回は4月1日に発表されたこともあって、それ以降の賃貸借契約などは賃貸借期間の終期の表示にいち早く令和○年〇月○日までという記述をしました。
しかし、これらも含め、本当のところ何が正しいのか全く分からず、新聞などでは、公文書など4月1日から4月30日までに作成する書類には新元号は使わないとか、平成表記は間違いではないとか、西暦と併記するとかが書かれ、混乱しました。5月1日以降は新元号で書類は作成しますが、継続している書類や、過去日付を記載する書類など、今年の元号の使い分けも併せてご教示頂ければ幸いです。
ご質問の文書等における改号(改元とは、単に新元号の元年を定めることで通常は改号と改元が同時に行われるから、双方の意味で「改元」が使われる)に伴う元号表記に関する回答の前に、元号に関する正式な取扱いは、現在は元号法に基づき定められることとなっていますので、先ずそこを押さえる必要があります。
因みに、元号法はおそらく我が国の法律で最も短文の法律ではないかと思われます。

元号法 (昭和五十四年法律第四十三号)
  1. 1 元号は、政令で定める。
  2. 2 元号は、皇位の継承があつた場合に限り改める。
附 則
  1. 1 この法律は、公布の日から施行する。
  2. 2 昭和の元号は、本則第一項の規定に基づき定められたものとする。
以上

従って、今回の改号も皇位継承(今上天皇の退位という特例)に際し、政令(内閣府令)によって定められたもので、以下のとおりとされました。

平成31年政令第143号 元号を改める政令
内閣は、元号法(昭和54年法律第43号)第1項の規定に基づき、この政令を制定する。
元号を令和に改める。
附 則
この政令は、天皇の退位等に関する皇室典範特例法(平成29年法律第63号)の施行の日(平成31年4月30日)の翌日から施行する。

以上によって、今回の改元は5月1日であり、改号も即日施行されることが決まったわけです。すなわち、4月30日までは元号は平成。5月1日午前零時を以て「令和元年」となるということです。従って、貴殿ご指摘のとおり、4月中は新元号を「使ってはいけない」ということをお役所は徹底することになります(平成31年4月1日付け新元号への円滑な移行に向けた関係省庁連絡会議申合せによる元号法第1項に基づく政令の公布後の取扱いでは、元号法第1項に基づく政令の公布日から施行日前までの間において、各府省が作成し公にする文書に元号を用いて改元日以降の年を表示する場合は、「平成」を用いるものとする)。
例を挙げれば、4月中に作成する公文書に5月1日よりも先日付を表記する必要があるとしても、4月中に発信する場合は、例えば「平成31年7月31日」の表記を使用するということです。これは、今回特に注意が必要であった理由として、通常、天皇御崩御による改元しか法律には規定が無く(皇室典範 第一章 皇位継承 第四条 天皇が崩じたときは、皇嗣が、直ちに即位する。)、今回の退位は特例法によるものであるから、万が一、4月中に不測の事態が起こった時は、皇室典範が優先される、つまり、改めてそこで皇嗣が即位され、元号が改められる(これは令和とは限らない=今回の政令は効力を生じない)からなのです。

新元号は「令和」に決定!
そこで、貴社の文書の元号表記について言えば、4月中に作成した先日付の有る文書や、平成31年4月30日以降の日付が付されている既存文書などの「令和」への書き換えは間違いということになります(ただし、私文書においては、元号を書き換えたことによって法律行為が法的に無効となることはありません)。新元号が使用を許される(効力を生じる)のは、本年5月1日以降に作成する文書だということです。

また、折角のご質問ですから、皇位継承と元号に関する知識として以下に整理しておきますのでご参考下さい。
今回の天皇の退位等に関する皇室典範特例法(平成29年法律第63号)によれば、
(天皇の退位及び皇嗣の即位)
第二条 天皇は、この法律の施行の日限り、退位し、皇嗣が、直ちに即位する。と規定され、先の政令により、退位の日が4月30日であり、その翌日から施行されるので新天皇の即位は5月1日。改元は元号法において「皇位継承があった場合に限り、」であるから、その日に改元されるという運びになります。

では、本年(2019年)は、平成31年なのか、令和元年なのか、ということについてはどうでしょう。多くの方は、4月30日までが平成で、5月1日から令和であると認識されていると思います。しかし、これは当然のこと?ではなく、改元の始点を何時にするのかは、明治天皇以来、詔書(天皇の意思の公文書)によって決められることになっていました。明治元年は慶応4年の8月27日に即位した明治天皇の詔書によって同年1月1日に遡及して改元したため(立年改元という)、慶応4年という和暦は存在しないことになり、大正改元は明治45年7月30日(明治天皇崩御は同日午前零時43分)で、明治は45年7月29日までとなり、昭和改元も同様に大正15年12月25日(大正天皇崩御は同日午前1時25分)に改元(即日改元という)の詔書が発せられている。
しかし、前述した昭和54年の元号法によって政令で定めるとした平成改元は昭和天皇崩御(昭和64年1月7日)の翌日に改元(翌日改元という)され、今回は政令公布を早めて平成31年4月1日とし、皇室典範特例法によって今上天皇が退位する同年4月30日の翌日を改元としたのです。
つまり、改元の始点は様々な要因によって決められるということなのです。

新元号への修正は不要ですよ!
令和元年は、2019年5月1日から、同年12月31日までですよ!
2019.05.07
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