一般(賃貸借・管理)に関する相談

借地権譲渡承諾は地主の義務?…合法な借地人の主張とは!?

借地はお得?
昭和30年代から土地を借り(建物所有目的で期間20年、以後更新)、住宅を建築して住んでいましたが、10年ほど前から別の場所に住宅を取得し、現在は貸家として借地の上の家屋を賃貸しています。木造住宅ですので老朽化が際立ってきており、昨年来の大雨等、雨漏りも発生しています。このままでは家主として建物の大規模修繕を行う必要もあり、入居者には本年12月ごろまでには退去していただく話を進めています。一方で、入居者退去後に借地権を売却しようと考えておりますので、先日、地主にご挨拶し、借地権の買取を打診しましたが、地主は、「使わないなら契約を解除して土地を返せばよい。地主が借地権を買い取ることはしない」とのことでした。仕方ないので、借地権を他に売却することにつき、承諾をお願いし、承諾料を支払うことも提案しましたが、取り合ってくれません。
そこで質問ですが、借地権譲渡の承諾が得られず、建物が朽ちてしまったときの借地権はどうなるのでしょうか?それまでに他に譲渡する方法はありますか?借地権を購入した方が家を建て替えることは出来ますか(増改築しか許さないと地主が主張する懸念があります)。譲渡承諾費用は、借地人が勝手に決めてよいのでしょうか?
参考に、土地賃貸借契約書には、借地権の無断譲渡の禁止、建物買取請求の禁止、土地賃貸借契約の終了に関して立ち退き料請求の禁止などの特約が在ります。
ご相談内容は、借地の契約に関するオーソドックスな質問であり、一般的ではありながら、当事者にとっては直面した時に混乱する典型的な事案です。
ここで基本的な法律内容を整理し、旧借地法時代の契約に関するQAを記しますのでご確認ください。
※旧法(借地法)は、平成4年8月1日までに契約した土地の賃貸借契約について適用されます。
1.借地期間(借地法2条1項、2項)
堅固(非堅固以外を包括する概念)建物は30年以上。非堅固(木造)建物は20年以上が強行規定。それ以下の期間を定めた契約や、当初から期間を定めなかった場合は、期間の定めが無い(旧法でいう「期間の定めがない」契約には法定期間が適用され、堅固建物は60年、非堅固建物は30年=法定存続期間という)契約となりますが、無期限になるという意味ではないので注意が必要です。
2.借地権の消滅(借地法2条1項・2項但し書き)
借地期間が満了しても更新を行わない、契約の解除または解約申し入れ、期間中に建物が滅失しそのまま期間が満了、期間の定めがない契約における建物の朽廃(経年により社会的経済的効用=価値が消失すること:物理的には存在している≠滅失)などです。
・契約期間中の建物の朽廃は借地権が消滅しない。
・建物滅失は借地権消滅事由ではない(再建築の権利行使)。
3.更新請求(借地法4条1項、5条)
借地期間が満了し、借地人の更新請求により建物が存在している限り前契約と同条件で更に借地権を設定したものと看做されます。つまり、更新期間の最低限度は、堅固30年、非堅固20年で(法定更新期間)、以降も同様です。期間の定めがない場合も法定期間が適用されます。
4.更新拒絶(借地法4条1項但し書き)
借地人の更新請求に対し、遅滞なく異議を述べ、且つ拒絶する正当な事由が認められることが必要です(建物が存在している場合)。
一方、借地期間満了時に建物が滅失していたときは、借地人の更新請求に遅滞なく異議を述べた場合、更新はされません。なお、その際に正当事由は必要ありません。
5.建物買取請求(借地法4条2項、10条、11条)
借地契約が終了し、建物が存在しているときに、借地人の請求により次の場合は地主が土地上の建物を時価(原則借地権価格は評価されない)で買い取らなければならないという規定です。これは形成権と呼ばれるもので、地主の合意は必要なく、地主は買取を拒むことは出来ません(強行規定)。なお、建物買取請求というからには、その時点で建物が滅失している場合は対象となりません。
・状態
ア 借地期間が満了した
イ 更新されない
ウ 建物が存在する
・状況
エ 借地権(土地賃借権)の譲渡・転貸を地主が承諾しない
※競売による取得など、第三者が建物等を取得した場合にも適用

借地に関する手続きは専門家に!
QA

1. 借地権譲渡の承諾が得られず、建物が朽ちてしまったときの借地権はどうなるのでしょうか?

Ans 契約期間の途中で建物が朽廃しても、借地権は期間満了まで存続します。

2. 地主が承諾しないが、他に譲渡する方法はありますか?

Ans 借地権(本件では借地権付き建物)の譲渡につき、地主の承諾が得られない場合、|麓腓両蟻に代わる裁判所の許可を得て第三者に売却、建物買取請求権を行使して地主と交渉、などが考えられます。本件では、契約上買取請求権の排除特約が在るようですが、前述したとおり当該特約は無効です。

3. 借地権を購入した方が…家を建て替えることは出来ますか?(増改築しか許さないと地主が主張する懸念があります)

Ans 地主が承諾しないまま無断譲渡した場合は、借地契約を解除される恐れがあります。借地権譲渡が無効とされる場合を除き、借地権譲渡承諾の裁判所の許可申し立てに併せて、建て替えの承諾の許可も申し立て、両方の許可を得ることが可能です。

4. 譲渡承諾費用は、借地人が勝手に決めてよいのでしょうか?

Ans 譲渡承諾料は、名義書き換え料や名義変更料などと言われ、借地権譲渡に対する地主への礼金的な性格の金銭で、社会通念上も認められています。譲渡を承諾するのは地主であり、借地人が一方的に金額を決めることは出来ません。本件では、借地権譲渡承諾に関する裁判所の許可を得るときに、承諾料の算定を依頼することも可能です。その場合裁判所は、鑑定委員会の意見を元に判断することが一般的です(借地非訟事件手続規則17条2項)。

2019.08.05
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