大規模災害からの復興に関する法律

※一部不適切な表現がございましたので、2014年4月24日正午に内容を修正しております。

公益社団法人全日本不動産協会全日本不動産近畿流通センター
Z-support専任アドバイザー
ウィンクルム法律事務所
弁護士 中川裕紀子

1.「大規模災害からの復興に関する法律」とは?

未曾有の大規模災害となった東日本大震災から早くも2年半が経過しました。
この東日本大震災の教訓と課題を踏まえ、復興の枠組みを創設するために、第183回通常国会にて「大規模災害からの復興に関する法律」(以下「復興法」といいます)が可決成立し、平成25年6月21日に法律が公布されました。
復興法は、大規模災害が発生した場合に、当該災害を受けた地域における生活の再建や経済の復興を図り、災害に対して安全な地域作りを実現するという理念のもと、復興に関する組織(復興対策本部の設置)や復興計画の作成、復興計画の実施に係る特別の措置等について規定しています。

2.復興法によって、重要事項説明がどう変わるの?

復興法の成立によって、重要事項説明がどう変わるのでしょうか。
まずは、復興法の内容を見てみましょう。
復興法第28条第1項には、「特定被災市町村は、計画区域のうち、復興整備事業の実施区域の全部又は一部の区域を、届出対象区域として指定することができる」と規定されています。
つまり、大規模災害が生じた後に、特定被災市町村は、上記に定める一定の区画を「届出対象区域」として指定することができるようになりました。
そして、復興法では、こうして指定された「届出対象区域」内において、「土地の区画形質の変更、建築物その他の工作物の新築、改築又は増築その他政令で定める行為をしようとする者は、当該行為に着手する日の30日前までに、内閣府令で定めるところにより(※1) 、行為の種類、場所、設計又は施行方法、着手予定日その他内閣府令で定める事項(※2)を特定被災市町村長に届け出なければならない」(復興法第28条第4項本文)と規定されました。
つまり、例えば、自分の土地に新築の建物を建てたいと思っても、その土地が上記「届出対象区域」として指定された区域内にあれば、新築工事に着手する30日前までに、市町村長にこのような届出をしなければならないということですね。
さらに、復興法では、同第28条第4項による届出をした者は、「その届出に係る事項のうち内閣府令で定める事項(※3)を変更しようとするときは、当該事項の変更に係る行為に着手する日の30日前までに、内閣府令で定めるところにより、その旨を特定被災市町村長に届け出なければならない」(復興法第28条第5項)と規定されました。
つまり、上記変更についても、同じく届出が必要になるということです。
今回改正された「宅地建物取引業施行令」には、この復興法第28条第4項、同第5項が「重要事項の説明」で説明すべき事項として追加されています(同施行令第3条第1項第36号)。
上記復興法第28条第4項第5項の届出義務については、届出をしない場合等に罰則がかかるなど、これを知らないで当該宅地又は建物を購入等した者が、不測の損害を被る恐れがあるため、当該届出義務を新たに説明すべき重要事項と位置づけ、宅地建物取引業施行令も改正されることとなりました。

※1
内閣府令第51号第8条で定める様式による届出書により
※2
内閣府令第51号第9条で定める「行為の完了予定日」
※3
内閣府令第51条第10条で定める「行為の設計又は施工方法のうち、その変更により同条(注:復興法第28条)第4項の届出に係る行為が同項各号に掲げる行為に該当することとなるもの以外のもの」

3.結局、それってどういうこと?

例えば、こういうことです。
△△市全体が大規模災害に被災してしまい、特定被災市町村となった△△市は、計画区域のうち、ある地域を「届出対象区域」として指定してしまいました。
あなた(不動産仲介業者)は、△△市の「届出対象区域」内にある土地の売買をAさん売主、Bさん買主で仲介しました。
この売買のときの重要事項説明書には、復興法について全く記載がありませんでした。
本件土地を購入したBさんはこれから新築建物を建てようとしていたところでしたが、復興法第28条第4項により、新築に着手する日の30日前までに、行為の種類、場所等を△△市の市長に届出なければならないと知らされました。
Bさんは、「そんなことは重要事項説明書には書いていなかった!説明義務違反だ!」と言って、仲介業者であるあなたを訴えてきました・・・。
つまり、復興法第28条第4項第5項について重要事項説明書に記載していなかったために、法令に基づく制限を説明していないという説明義務違反のトラブルが生じてしまうおそれがあるのです。

4.では、どうすればいいの?

上記3のような問題が生じないようにするためには、復興法28条第4項第5項についても重要事項説明書に記載し、きちんと説明しましょう。
この点、国土交通省の通達により「宅地建物取引業法の解釈・運用の考え方」が改正となり、国土交通省ホームページに重要事項説明の様式例の新旧対照表が掲載されていますので、ご確認ください。

宅地建物取引主任者資格試験・模擬問題 第2弾

【民法】

【問1】

AがBの建物を無償で借りた場合に関する次の記述のうち、民法の規定によれば、正しいものはどれか。

  1. (1)AはBの承諾がなくても、当該建物の一部であれば、第三者に転貸して使用収益させることができる。
  2. (2)Bがこの建物をCに売却し、その旨の所有権登記を行った場合、Bによる売却の前にAがこの建物の引渡しを受けていたときでも、Aは、使用貸借契約をCに対抗することができない。
  3. (3)Aは、当該建物を、自己の財産におけるのと同ーの注意をもって、保存しなければならない。
  4. (4)当該契約は、Aの死亡によって当然に終了しないが、Bの死亡によって当然に終了する。

【問2】

売主A、買主Bとの間の土地売買契約に関する次の記述のうち、民法の規定及び判例によれば、正しいものはどれか。

  1. (1)Aが自らの責めに帰すべき事由により引渡しを遅滞していた場合でも、その後、Bが当該売買契約を解除する意思表示の前に、Aが契約で定められた遅延損害金の支払いとともに引渡しをしたときは、Bは、当該売買契約を解除することができない。
  2. (2)AB間で当該売買契約の債務不履行について損害賠償額の予定をしていた場合、BがAの過失を立証して過失相殺の主張をしたときでも、裁判所は損害額の算定にその過失を考慮することはできない。
  3. (3)Bが履行期になっても代金を支払わないのでAがBに対し履行を催告した場合、その催告期間が不相当に短いときは、催告の時より起算した客観的に相当の期間を経過してBがなお履行しないときでも、Aは改めて催告しなければ、当該売買契約を解除することができない。
  4. (4)AB間で当該売買契約の債務不履行について損害賠償額の予定をしていた場合、裁判所は、賠償額の予定の合意が暴利行為として公序良俗違反となる場合でも、賠償額の減額をすることができない。

【宅地建物取引業法】

【問3】

国土交通大臣免許を受けた宅地建物取引業者Aは、甲県内において10区画の別荘地を販売するにあたり、現地案内所を設け契約の申込みを受け付けた。この場合に関する次の記述のうち、宅地建物取引業法の規定によれば、正しいものはどれか。

  1. (1)Aは、現地案内所を設置したときは、設置した日から2週間以内に、500万円の営業保証金を主たる事務所の最寄りの供託所へ供託しなければならない。
  2. (2)Aは、現地案内所に、業務に従事する者の数に係わりなく、1人以上の専任の取引主任者を置かなければならない。
  3. (3)Aは、現地案内所に、取引のあったつど一定の事項を記載する業務に関する帳簿を備え付けなければならない。
  4. (4)Aは、現地案内所で業務を開始する日の10日前までに、所在地、業務内容等一定の事項を、甲県知事及び国土交通大臣に直接届け出なければならない。

【問4】

宅地建物取引業者Aが行う業務に関する次の記述のうち、宅地建物取引業法の規定に違反するものの組合せとして、正しいものはどれか。

  1. ア.Aは、建物の販売に際して、2年〜3年後には当該建物の価格の上昇は確実であると将来の不確実なことを断定的に告げたが、実際には売買契約の成立には至らなかった。
  2. イ.Aは、宅地の販売に際して、不当に高額の報酬を要求したが、実際には国土交通大臣が定める額を超えない報酬を受け取った。
  3. ウ.Aは、建物の販売に際して、手付の支払いを後日にすることを条件に売買契約の締結の誘引を行ったが、契約の成立には至らなかった。
  4. エ.Aは、その業務上取り扱ったことについて知り得た秘密を、裁判の証人として証言した。
  1. (1)ア、イ、ウ
  2. (2)ア、ウ、エ
  3. (3)イ、ウ、エ
  4. (4)ア、イ、ウ、エ

【法令上の制限】

【問5】

都市計画に関する次の記述のうち、都市計画法の規定によれば、正しいものはどれか。

  1. (1)地区計画の区域のうち、地区整備計画が定められている区域内において、土地の区画形質の変更又は建築物の建築を行おうとする者は、当該行為に着手した後30日以内に、行為の種類、場所及び設計又は施行方法を、市町村長に届け出なければならない。
  2. (2)市街地開発事業の施行区域内においては、非常災害のために必要な応急措置として行う建築物の建築であっても、都道府県知事の許可を受けなければならない。
  3. (3)風致地区内における建築物の建築については、政令で定める基準に従い、地方公共団体の条例で、都市の風致を維持するため必要な規制をすることができる。
  4. (4)市町村が定めた都市計画が都道府県が定めた都市計画と抵触するときは、その限りにおいて、市町村が定めた都市計画が優先する。

【解答と解説】

【問1の解答と解説】正解(2) [使用貸借]

  1. (1)誤り。使用貸借においては、借主は貸主の承諾がなければ、第三者に借用物を使用又は収益させることはできない(民法594条2項)。したがって、Aは、承諾がなければ、たとえ建物の一部であっても、第三者に転貸して使用収益させることはできない。
  2. (2)正しく正解。使用借権は賃借権と異なり、対抗要件を具備することによって第三者に対抗することが認められているわけではない。したがって、建物の引渡しを受けていても、Aは、使用借権をCに対抗することができない(民法605条参照)。
  3. (3)誤り。借主は、自己の財産におけるのと同一の注意では足りず、善良な管理者の注意をもって、目的物を保存しなければならない(民法400条)。
  4. (4)誤り。使用貸借は、借主の死亡によって終了するが、貸主の死亡によって終了することはない(民法599条)。

【問2の解答と解説】正解(1) [契約の解除]

  1. (1)正しく正解。履行遅滞後であっても、解除の意思表示の前に債務者が遅延損害金とともに本来の履行をしたのであれば、解除することはできない。
  2. (2)誤り。損害賠償額を予定した場合でも、債権者に過失があるときは、裁判所は過失を考慮すべきである(判例)。
  3. (3)誤り。催告期間が不相当に短いときでも、客観的に相当と思われる期間が経過してもなお債務者が履行しないときは、改めて催告をしなくても、契約を解除することができる(民法541条、判例)。
  4. (4)誤り。損害賠償額の予定が、暴利行為として公序良俗違反であるときは、予定賠償額を減額することができる(判例)。

【問3の解答と解説】正解(2) [標識の掲示等 他]

  1. (1)誤り。宅地建物取引業者は、主たる事務所につき1,000万円、その他の事務所ごとに500万円の営業保証金を、主たる事務所のもよりの供託所へ供託しなければならない(業法25条)。しかし、現地案内所については、営業保証金を供託する必要はない。
  2. (2)正しく正解。宅地建物取引業者が10区画以上の宅地の分譲を案内所を設けて行う場合の案内所で、契約の申込みを受け付けるときは、1名以上の専任の取引主任者を置かなければならない(業法15条、業法施行規則6条の2第2号、6条の3)。
  3. (3)誤り。宅地建物取引業者は、事務所ごとにその業務に関する帳簿を備え付け、宅地建物取引業に関して取引のあったつど、一定の事項を記載しなければならない(業法49条)。しかし、現地案内所には、この帳簿を備え置く必要はない。
  4. (4)誤り。宅地建物取引業者は、業務を開始する10日前までに、契約の申込を受ける案内所について、所在地、業務内容等一定の事項を、免許を受けた国土交通大臣又は都道府県知事及び所在地を管轄する都道府県知事に届け出なければならない(業法50条2項、78条の3第2項、業法施行規則6条の2)。その届出は、免許権者が国土交通大臣の場合、業務を行う場所の所在地を管轄する都道府県知事を経由しなければならない。

【問4の解答と解説】正解(1) [業務に関する禁止事項 他]

  1. ア.違反する。宅地建物取引業者が建物の販売に際して、将来の不確実のことを断定的判断で提供する行為をした場合、契約の成立の有無を問わず、業法に違反する(業法47条の2第1項)。
  2. イ.違反する。宅地建物取引業者が宅地の販売に際して、不当に高額の報酬を要求した場合、実際には国土交通大臣が定める額を超えない報酬を受け取ったときでも、業法に違反する(業法47条2号)。
  3. ウ.違反する。宅地建物取引業者が建物の販売に際して、手付を貸し付けることを条件にしたり、手付の支払いを後日にすることを条件(信用の供与)に、売買契約の締結の誘引を行った場合、契約の成立に至らなかったときでも、業法に違反する(業法47条3号)。
  4. エ.違反しない。宅地建物取引業者は、正当な理由がある場合でなければ、その業務上取り扱ったことについて知り得た秘密を他に漏らしてはならない。宅地建物取引業を営まなくなった後であっても同様である。裁判の証人として証言することは、正当な理由にあたる(業法45条)。

したがって、ア、イ、ウが違反し、正解は(1)である。

【問5の解答と解説】正解(3) [地域地区]

  1. (1)誤り。地区計画の区域のうち、地区整備計画が定められている区域内において、土地の区画形質の変更又は建築物の建築を行おうとする者は、当該行為に着手する日の30日前までに、行為の種類、場所、設計又は施行方法を、市町村長に届け出なければならない(都計法58条の2第1項)。
  2. (2)誤り。市街地開発事業の施行区域内において、非常災害のために必要な応急措置として行う建築物の建築を行う場合、都道府県知事の許可を受ける必要はない(都計法53条1項2号)。
  3. (3)正しく正解。風致地区内における建築物の建築、宅地の造成、木竹の伐採その他の行為については、政令で定める基準に従い、地方公共団体の条例で都市の風致を維持するため必要な規制をすることができる(都計法58条1項)。
  4. (4)誤り。市町村が定めた都市計画が都道府県が定めた都市計画と抵触するときは、その限りにおいて、都道府県が定めた都市計画が優先する(都計法15条4項)。