京都市における高齢者の住宅確保のための新たな取り組み「京都市居住支援協議会」〜京都市すこやか住宅ネット〜



国土交通省では、住宅確保要配慮者(低額所得者、被災者、高齢者、障害者、子供を育成する家庭その他住宅の確保に特に配慮を要する者)の民間賃貸住宅への円滑な入居の促進を図るため、地方公共団体や関係業者、居住支援団体等が連携(住宅セーフティネット法第10条第1項)し、住宅確保要配慮者及び民間賃貸住宅の賃貸人の双方に対し、住宅情報の提供等の支援を実施する目的で「居住支援協議会」の制度を設けました。
現在(平成25年9月3日時点)、全国で40の協議会が設立(近畿では滋賀県、京都市、兵庫県、神戸市、和歌山県、三重県)され、さまざまな活動が行われていますが、今回は京都市居住支援協議会の取り組みを紹介します。
京都市では平成24年9月13日に「京都市居住支援協議会」を設立、愛称「京都市すこやか住宅ネット」として活動を開始しました。京都市では、住宅確保要配慮者の中でも、主に高齢者を対象として賃貸住宅への円滑な入居に資する事業を展開しています。
京都市が対象を高齢者に特化したのには以下のような背景があります。

  1. (1)他の住宅確保要配慮者と比べ、支援策を必要とする対象者が多い。
  2. (2)老朽化による建替え等により、今後、住み替えの問題に直面する高齢者が急増すると想定。
  3. (3)介護を必要としない高齢者であっても、民間賃貸住宅への入居を断られる状況がある。
  4. (4)「居住されていない良好な賃貸住宅の空家」が約4万3千戸(京都市の空家11万戸中)もあり、ミスマッチが生じている。
  5. (5)孤独死や病気等の不安があるため、高齢者の入居に踏み切れない家主が多い。

そこで、行政と不動産関連団体、福祉関連団体が協力し、高齢者のバックアップを行うことを目的としました。

主な取り組み内容は以下の3点

  1. (1)すこやか賃貸住宅登録制度の創設・運用
  2. (2)高齢者向けのパンフレット等の作成
  3. (3)高齢者の住まいの相談会の定期的な実施

■すこやか賃貸住宅登録制度について
京都市すこやか住宅ネットホームページにおいて、登録情報を発信しています。

  1. (1)高齢であることを理由に入居を拒まれない賃貸住宅である「すこやか賃貸住宅」
    ⇒平成25年10月1日現在:151件(3,644戸)
  2. (2)高齢者の住まい探しに協力していただける仲介業者である「すこやか賃貸住宅協力店」
    ⇒ 平成25年10月1日現在:65店

ホームページ上では、設備やバリアフリー等の詳細情報を掲載、立地・家賃・設備のほか地図からも検索することが可能となっています。








■高齢者向けのパンフレット等の作成

  1. ・「住まい選びのポイント」
    QA方式のフローチャートで、各高齢者の経済・身体状況に合わせた住宅又は施設を紹介。また、各住宅・施設の概要・問合せ先についても併せて紹介。
  2. ・「大家さん向け 高齢者の居住に役立つ主な支援制度一覧表」
    家賃債務保証、安否確認などの支援制度や、市内の地域包括支援センターの連絡先等を紹介。

  • ※画像をクリックすると拡大します。

  • ※画像をクリックすると拡大します。

  • ※画像をクリックすると拡大します。

■高齢者の住まいの相談会の定期的な実施

  1. ・3人体制(行政・福祉団体(地域包括支援センター)・不動産団体)で、それぞれの専門分野の知識を組み合わせて、高齢者の相談に的確に対応。
  2. ・これまで3回実施。次回は12月の予定。
  3. ・1回当たり10組。1組当たり30分から1時間程度。
  4. ・主に高齢者自身が相談に来られ、70歳代が過半数。

全日京都府本部では、会員業者に対して「すこやか賃貸住宅登録制度」への協力店登録及び物件登録の促進を行うとともに「高齢者の住まいの相談会」へ相談員の派遣を行っています。
9月24日(火)に行われた相談会にも、50歳代から80歳代まで10組の相談者が来場されました。
相談の内容は、借家の老朽化による立ち退きに伴う転居先についてや、家主から賃料値上げを迫られている方、老後に備え所有不動産を売却するべきかどうか、現在の住まいへの将来の不安等さまざまですが、どれも切実な内容でした。
この事業は、相談者の相談に答えるだけでなく、行政との協力体制の構築や、普段あまり関わりのない福祉関連団体(地域包括支援センター)と、高齢者が置かれている現状の情報交換が出来るため、不動産関連団体にとっても非常に貴重な機会となっています。
高齢化がますます加速していく中、このような取り組みは不動産業界にとって重要なファクターとなるのではないでしょうか。