Z-supportアドバイザーとシステムソリューション事業部との座談会 第1弾〜士業と不動産業者の繋がり〜

参加者
【Z-supportアドバイザー】(50音順)
梅村武志(司法書士)、大庭清子(司法書士)、辛島政勇(税理士)、川崎竜輔(不動産鑑定士)
小礒ゆかり(税理士)、竹中由佳理(弁護士)、玉村 匡(弁護士)、中川裕紀子(弁護士)
原 恵一(一級建築士)、細谷明子(社会保険労務士)、松藤隆則(弁護士)、松本康正(弁護士)

【近畿流通センター】
中川俊寛(副運営委員長)
南村忠敬(副運営委員長/システムソリューション事業部長)
龍  優(システムソリューション事業部副部長)
宮崎彰太(システムソリューション事業部副部長)
吉村洋幸、小山相一、永松秀昭、角前秀史、浅山正秋

※前編はこちら


■サブテーマ(1) 「空き家対策」

南村役員の皆様にお聞きしますが、ご自身の商圏において空き家が結構あるという方はおられますか。

小山先日、私の所属支部に大阪の生野区役所から、空き家をいかに活性化していくかについて話し合いたいと申し出がありました。生野区は非常に空き家が多いんです。高齢者が多く、亡くなられた後は空き家になってしまうという状況です。そこで我々が区役所に要望させていただいたのが、所有者の情報を知りたいということです。
私自身、商売上のことですが、古い家を一軒所有しています。その古家のお隣に住んでおられたおばあさんが亡くなられました。亡くなられたときに、その家一軒を単独では建て替えられなかったんです。私どもが所有している家とお隣の家と両方なら建て替えできるという建物でした。そこで、亡くなられたおばあさんの情報を得ようとしたんです。そのおばあさんは介護サービスを受けておられたので、まず介護事業者をあたってみましたが断られました。区役所も教えてくれない。どこへ行っても教えてくれない。困り果てたので、登記簿謄本を取って、そこから色々とあたってみたんです。すると、近所に親戚と思われる方が見つかって、やっとのことで連絡できました。しかし、そこに至るまで非常に時間がかかりました。
今、生野区だけではなく、いわゆる下町的なところは非常に空き家が多くなっていますが、不動産業者として困るのは、所有者情報をどうやって手に入れるかということですね。このようなケースはどうしても単価が高くないので、専門家の先生に依頼しようにも、その費用も出ないということになります。こういった問題点は、行政側にも意見としてお伝えしました。

南村行政の反応はどうでしたか。

小山情報を取得する方法を提示されましたが、それでは難しいなという内容でしたね。例えば、固定資産税の台帳を見せてほしいとか、そういったことは無理だという答えでした。

南村玉村先生、このような"法律の壁"についていかがでしょうか。

玉村空き家対策の問題というのは二種類あると思っています。一つは、今、仰られたケースのように建物や敷地に利用価値があり、再建築も可能だが、何らかの理由で事実上放置されているというケースです。もう一つは再建築できないもので、実はこちらのケースが多いんです。再建築できないので、"価値なし"とされて、どうしようもないという状況です。京都でも、東山区では空き家率が25%です。京都市でもこの現状を非常に問題視していますので、条例を少し改正して、再建築の条件を緩和しようとしています。しかし、再建築不可の物件をどうするかということについては、不動産業者さんだけでは、どうしようもないというのが現状です。ですので、この問題については行政に対して問題点を指摘し、建築基準法改正に向けてアピールしていくことが重要だと思います。ただ、この問題は多くの人が困っている問題だと思うのですが、なかなか声が大きくならないし集約できない。議員の方もあまり反応が良くないような印象です。我々が一体となって問題提起をしていく必要があると考えています。
もう一つ、空き家の相続人を特定するのが大変だというお話についてですが、戸籍謄本は80年を過ぎると処分対象になってしまいます。それ以降は追跡できないので、結局追い切れないという問題があります。廃棄になっているという証明書があれば、まだ登記もできるのでしょうが、廃棄したかどうかも分からないということがあります。廃棄証明すら不明という状況になると、やはり特定はできません。私自身もこういった場面に直面したことがありますが、これは本当に大きな問題だと思います。

南村司法の限界もある、ということでしょうか。松藤先生はいかがでしょうか。

松藤よくあるのが、韓国戸籍が取りにくくなったことによる問題です。韓国人所有者の相続人を探さないといけないときに、原則韓国人の弁護士か本人の依頼がないと戸籍が取れなくなったんです。それで訴訟を起こして、相続人を確定しなくてはならないようなケースもあります。プライバシーの問題と情報調査との間で現場が苦労するということがあるとは思いますね。

南村韓国戸籍が取りにくくなったというのは、韓国の法律の関係ですか?

松藤そうです。

南村そうですか。最近は在日3世、4世の世代になっていますので、そういった方々の物件が空き家になった場合は難しいことが多いかもしれませんね。さて、空き家の所有者調査について、先生方から何かアドバイスがあればぜひお聞きしたいと思いますが、難しいでしょうか。事件になれば調べることができるでしょうが、単なる所有者調査というのは難しいんでしょうね。役員の皆様はいかがですか?何か対策案はありませんか?

角前ちょっとお聞きしたいんですが、筆界特定制度という制度がありますよね。筆界特定制度を利用して、隣の所有者の方に筆界を特定したいという申し立てをしてもらうことで、所有者を突き止めることはできないのでしょうか。

松本筆界特定をするにしても、まずは登記簿上の名義人が誰かということに基づいて行うことですし、むしろ筆界特定制度を利用する場合は、問題となっている筆界に接する所有者が協力しないといけない。結局、登記簿上の名義人と実際の権利者がどうなっているかという齟齬を埋めないといけないですね。

角前隣の登記名義人が分かったとして、戸籍が残っている状態であれば、住所等を突き止めることはできないのでしょうか。

松本境界確定の必要性があり事件性があるということで、弁護士会照会なんかを使っていただいて相続人を調査することは可能だと思います。

中川個人情報保護法というのはどのくらいの情報までが範囲なんでしょう。

竹中最近は弁護士であっても、職権上の調査も難しくなっています。不動産業者の方はもっと苦労されていることと思いますね。

南村確かに個人情報の取り扱いについてはなかなか難しいですね。所有者不明の物件についてですが、自民党が臨時国会に空き家対策の特別措置法案を提出する方針とのこと(平成25年12月20日現在)です。しかし、この法案は不動産業者が求めている内容ではなく、行政に対する措置法案です。結局、所有権の範囲ですので、行政であってもなかなか敷地の中に立ち入ることもできない。朽廃して隣の家に危害が及びそうな場合でも、所有権の問題で勝手に撤去することもできない。そういった現状に対して、もう少し行政が動きやすいようにしましょうという法案です。しかし、この法案が通ったとしても抜本的な空き家対策にはならないように思います。空き家対策とは、所有者が明らかになり、空き家をどのように処分するのかということまでしないといけません。更地にして放置していたら、またその土地がどうなるか分からない。不法占拠の問題が出てくるかもしれないし、ゴミの不法投棄の問題が出てくるかもしれない。建物があれば、まだそこまでの問題は起きないかもしれないという逆説もありえます。所有者不明の空き家対策は、これからのビジネスの中で法律が絡む部分が大きいですので、不動産業者にとっては安易に手を出せないところなのかなとも思います。


■サブテーマ(2) 「介護事業」

南村高齢化が進んでいますね。どの業界でも同じですが、不動産業界でも行政の指導があります。国土交通省の指導で、居住支援協議会というのが4年ほど前から各地方行政庁の中に設置されています。47都道府県のほとんどに居住支援協議会が設置されました。居住支援協議会の役割は、住宅要支援者として指定されたホームレス、高齢者、障害者、子育て世代に対して良質な住宅をあっせんすることです。今回のテーマである高齢者の方、介護施設が必要な方につきましては、どうしても民間の賃貸住宅にあっせんしにくい部分があります。そこで介護事業に進出するという業者が増えていますが、様々な問題も起こっています。先程、細谷先生からお話があったように、元々は医療と介護がワンセットだったんですが、今は医療とは違う分野、たとえば不動産事業と介護事業が密接になってきています。しかし、介護事業は難しくて不動産業者がなかなか手を出せないという面もあります。先生方から見て、介護事業に進出する不動産業者にアドバイスがあればお聞かせいただきたいと思います。また、税金や助成金についてもお聞かせいただけたらと思います。このテーマについて、専門分野として、一番近くにおられるのは一級建築士の原先生かと思いますが、いかがでしょうか。

私どもは10数年来、福祉施設を得意先にしておりますが、特別養護老人ホームの時代から徐々に補助金は減ってきています。施設の規模も縮小してきて、今は小規模な地域密着型の施設が増加しています。一昔前は、社会福祉法人格を取得しないと特養などは運営できませんでした。しかし、グループホームなんかは株式会社のような法人でも運営できるようになりました。また、高齢者住宅としてはひとつ前の世代では、厚生労働省管轄のものと国土交通省管轄のもの、二種類の施設がありました。それらが統合されて、今のサービス付き高齢者向け住宅、いわゆる"サ高住"になりました。利用者の方からすれば、老人ホームに入居しているという概念だと思います。実際、老人ホームと何ら変わりはありませんが、形式上は寄宿舎のような扱いです。ワンルームマンションのかたちですが、各階または1階などに食堂があったり、お風呂は各居室にあるタイプはまれで共同が多いです。入居者のお世話をするのは、社会福祉法人のサービス業の方です。なので、在宅介護なんです。老人ホームではないので在宅になるんです。入居者の方はそこが住所になります。最近は不動産業者の方が"サ高住を建てたいんだけど"と企画されることが多いですね。

南村サービス付き高齢者向け住宅が今の主流ということですね。サ高住というのは地域の行政庁が棟数なんかを指定するんですか?

サ高住は特に制限がないんです。ただ、補助金の枠があるかどうかという問題はあります。

南村サ高住に関して税制上の優遇等はあるんでしょうか。

小礒多めに減価償却できる、「割増償却」という制度があります。補助金を受けた場合は、その補助金に税金をかけないための「圧縮記帳」という制度があります。

南村分かりました。サ高住を地主さんや不動産業者が始めた場合、実際の運営は社会福祉法人のようなコンサルタントが行うんですね。入居者募集も全部してもらいます。オーナーは外側だけを提供するというかたちです。この場合、外部委託した費用は経費で落とせるのでしょうか。

小礒はい、経費で落とせます。

南村個人で事業される場合はどうでしょう。

個人の方で所有されている土地を活用したいということですね。地主さんが事業をおこして社会福祉法人がサービスに入る。不動産業者が管理をする。この三者で運営していくことになります。

南村サ高住は医療サービスという面も切り離せませんが、例えば施設内で何か事故が起きた場合、責任の所在はどうなるんでしょうか。オーナーはお金を出して建物を建てます。その間に不動産業者がサブリースで入って、運営委託会社に又貸しをする。実際はサ高住として利用する。不動産業者はそういったケースが多いと思うんです。

中川サ高住の場合は、おそらく訪問介護の業者が利用者と契約を結んでいると思います。事故の内容にもよりますが、たとえば建物設備の不備によって事故が発生した場合は、所有者に対しても責任の追及があるかもしれません。また、食事の介助をしているときの誤嚥が原因の場合だと、介護事業者の過失があるときは、介護事業者に対して損害賠償が発生する可能性があります。

南村建物の構造上の問題などは我々も気を付けないといけませんね。丸投げしないということも大切かなと思います。弁護士の先生から見て、介護事業と不動産業者の繋がりは発展しそうですか。

松藤以前、資産運用で事業をされた例はありましたね。不動産業者の方と協力して、事業をしておられます。

南村それは松藤先生から不動産業者を紹介されたんでしょうか。

松藤いえ、元々不動産業者さんの方から話をいただいたケースでした。

南村なるほど。土地をお持ちの方の相続があった場合、あまり土地を売りたくないという方に関してはそういうのも一つの方法ですね。私もサ高住のセミナーに行って聞いてきた話ですが、平均的な建物の規模というのが、延床面積500〜600屬阿蕕い播效鰐明僂砲垢襪250坪〜300坪ぐらい。総予算的には3階建で2億前後。そのうち建築費の2割が行政庁から補助金として出るんですが、このエリアに何件までというように施設の数に上限があるんですね。他にもサ高住には様々な法律問題が絡んできますので、やはり専門の先生方とコラボレーションするというのが最善の方法かもしれません。税務対策やリスクヘッジなんかを先生方と話し合って進めて行けるようなビジネスがいいのではないかなと思います。


■サブテーマ(3) 「相続・離婚」

南村続いて、今後増加するであろう成年後見などの制度についてです。我々不動産業者は高齢のお客様から「サインしておいて」等とお願いされて、わりと安易に引き受けることがあります。捺印なんかも同じことがありますね。決して悪気があるわけではなく、「目が見えにくいからお願い」と言われると引き受けざるを得ない部分があります。しかし、後になって相続人やご家族の方に知られて問題になるというケースが結構あります。こういった問題は今後もっと増えてくるだろうと思います。特に相手の方が認知症の場合は、問題が起きやすいのではないかと思います。相続や離婚のような案件において法律の中で仕事をしていく過程で、高齢化ということをキーワードに話し合っていきたいと思います。

玉村相続を考えたときに、相続税対策として相続を扱う場合の正しさと、相続物件を有効に活用していくという立場での正しさとは全く違ったものになると思います。
相続税対策として考えるならば、かなり細分化していく方が有利な面がありますが、建物の名義をあまり細分化すると、今度は再利用するときの意思決定の問題が立ちはだかって、結局利用できないということになりかねません。正しさというのは決して一つではない、ということです。やはり、被相続人の方がどういった思いを持っておられて、それをどういった方法で実現したらいいのかを考えるというスタンスが大切です。利用者の目線で多角的にアドバイスをしていくようなイメージが大事かなと思いますね。
その意味では、今回は『士業と不動産業者の繋がり』というテーマですが、中心に利用者がいることを忘れてはならないと思います。利用者の希望に対して、どういったお手伝いができるかという意味で、士業と不動産業者が両輪となって利用者を支えるという視点が大事だと思います。どうしても、我々はそれぞれの理屈で利用者にアドバイスしてしまうものです。今までは、利用者の方も「そういうものか」と納得されていたかもしれませんが、これからはそうではありません。たとえば、ひとつ不動産があるとしましょう。それを取り壊して有効に活用したいと考えていらっしゃる方には、その希望に適したアドバイスをしなくてはなりません。逆に今ある建物を壊さずに残したいというお考えの方には、その希望を実現するために何が必要かを考えなくてはいけません。このときに、それぞれのエキスパートが、何ができるかということが大事なんです。そうすると、我々は普段から情報を交換したり、相手の特長やウィークポイントを知って補い合える関係を作っておかなければなりません。平時からそういった関係を作っておかないと、いざ必要になったときに、結局自分の理屈だけで動いてしまうということになってしまいます。そうすると旧態依然とした対応になってしまい、お客様も離れてしまいます。現在の少子高齢社会の中で、我々は普段からそういった意識をしっかり持って、準備をしておく必要があると思いますし、そういう場を継続的に設けなければならないと思います。

南村そうですね。不動産コンサルタントはそういった要望に応えるためにあるんでしょうが、あまり機能しているとは言えないのが現状ですね。役員の皆様はいかがでしょうか。

角前四軒長屋とかそういった古家の建物があって、連棟ですので一つのフロアにしてしまって、デイザービスなんかに利用できないかということがあります。行政の方も真剣に考えている中で、建築基準法上の用途が居宅ということですので、それで100屬鯆兇┐討靴泙Δ海箸砲覆辰疹豺隋我々とすると法律違反なんじゃないかな、と引っかかるんです。また、消防の問題もありますよね。消防署から色々な指導を受けて困惑することもあります。そういった場合に、不動産業者としてどのように対応したらいいかということをアドバイスいただけたらと思います。

長屋ではないですが、結構大きな比較的新しい戸建で一人暮らしをされていたおばあさんが亡くなったんです。その家の隣が老人ホームだったので、そこが買い取ってデイサービスセンターにしようという話になりました。基本的には住宅から福祉施設に変わるので、用途変更確認申請が必要になります。一から介護施設と同じ基準が当てはまるのかというとそうではなく、半分ぐらいですね。緩和事項が色々とありますが、遵守しないといけないところもあるという具合です。ただ、消防法的には福祉施設としての基準になります。たとえばある一定規模の福祉施設は2階建ての場合、階段が2つ以上必要になります。普通のマンションなら面積によりいらないケースもありますよね。そういったルールがありますので、若干ハードルは高くなると思いますが、個人的には古家を福祉施設として有効活用することは歓迎すべきことだと思いますね。

角前建築が古くて建築確認がまったく取られていないという建物の場合でも、再利用の可能性は見出せるものでしょうか。

我々の立場からすると、検査済証のある建物を扱うのが最も手っ取り早いです。しかし、それはあくまでも理想ですね。検査済証を取っていない建物を用途変更して確認申請をしないといけない場合は、その前段階で現況証明をしなければなりません。昔の建物で検査済証がある建物はほとんどありません。証明する内容も倉庫のような人の命に関わる可能性の低い建物の場合は、ある程度緩和してもらえます。しかし居室があるなど人が住む建物においては、当時の建築基準法に合致するという証明を提示しないといけません。建物構造や基礎についても調べないといけません。アウトになる部分があれば改修も視野に入れながら進めていきます。たとえば公共の建物でも確認済証を取っていないものはたくさんあります。小学校の倉庫などの付属建物に多く見られますね。建築が古くて建築確認がなくても、手間はかかりますが段階を踏んでいくとまったく不可能というわけではないです。

南村今、話し合ってきました空き家対策、介護事業、成年後見のいずれにしても、結局のところ、所有者の思いに沿った対応が大切だということですね。こういった相談は税理士の先生に多く寄せられると思いますがいかがでしょうか。

辛島私どものお客様も年齢を重ねられると、資産のある方はやはり相続の問題が出てきます。もちろんお客様ということで、普段からお付き合いがありますから、資産の状況も把握できていますし、亡くなられてからの対応ではなく、生前対策として対応しています。お客様の方から細かなご要望というのはあまりありません。"相続税を少なくしたいけど、どうすればいい?"というような大まかなものが多いです。そういった場合には、たとえば空いている土地があれば、建設業者さんに相談してマンション建設を考えてみる、というような対応になります。今、相続税の基礎控除改正があり、雑誌等で"相続ビジネス"として取り上げられたりしています。私どもの事務所でも、いろんな方面からのご相談があります。たとえば葬儀屋の方、リサイクルショップの方ですね。不動産業の方も含め、そういった様々な業種の方とネットワークを作って、生きておられる間にどういった相続対策をしていくかということを提案して、いろんな窓口で受注していくというようなプランはありますね。

南村やはり先生方と密接な関係が必要ですね。玉村先生が仰られたように、利用者の立場に立って考えることが士業の仕事であり、不動産業者のコンサルタントの仕事であるということですね。先生方から不動産業者に依頼があるとすれば、やはり価格査定になるでしょうか。何を始めるにも、まずは価格がどれぐらいなのかということが必要になってきます。たとえば、有効利用するにしても賃料相場はどれぐらいなのかということが知りたいわけです。そういった場合は不動産業者に依頼することになると思います。何かそういった査定の仕組みを考えてもいいかもしれませんね。先生方に利用していただいて、実際に仕事に結び付いた場合は最初に査定した業者が選択肢の一つになっていけばいいと思います。協会というバックボーンの中でシステム化できれば先生方も使いやすいでしょうし、信頼性が高まるというメリットもあるんじゃないかと思います。


■サブテーマ(4)「エスクロー」

南村ここでのエスクローとは決済代行のことです。ユーザーが最後まで安心して不動産取引できるためには、様々な士業の先生の力が必要になります。そこをエスクローというわけですが、エスクローを構築できれば、本当の意味で不動産業者と士業の繋がりが強くなると思うんです。この件で何かご意見をお持ちの方はいらっしゃいますか。

松藤いつも議論にはなるんですが、あまりうまくいかないですね。一つは手付金の保全をされた事案がありました。手付金を売主に渡すんだけども、心配なので業者さんが預かった。これは売主・買主双方の合意の上です。しかし、契約書があまりなくて仲介報酬と相殺したりして、逆にトラブルになってしまったというケースでした。もう一つは、決済金の一部留保です。明け渡しか何かがあるので、決済金を一部留保したい。ただ、登記は先に動かすのでお金を動かさないといけない時に、第三者に預けようとしたものです。これは弁護士で三者契約みたいにしようかという話になったんですが、手数料を確保できるかという問題や、弁護士も片側の代理の色彩が強いとあまり適任とは言えませんので司法書士さんの方がいいのではないか。そういった議論にはなるんですが、あまりうまくいったケースがないですね。

南村当協会には保証協会という組織があります。保証協会の大きな業務として、手付金の保全措置という業務があります。細かくすると3つあるんですが、手付金保証・保管、そして一般保証業務の3つです。これは協会が運営していますから、当然会員が関係すると取引において、という大前提がありますが、要は買主が売主に支払う手付金を、実際に物件の引き渡しが完了するまで保全します。途中で白紙解約になったときは手付金を返還しますので、買主さんも安心して取引できるという制度です。ところがこの制度は上限があり、1,000万円が上限となっています。制度としては仕方ないことですが、ちょっと弱い部分があることは否めません。
他にも銀行のような保証機関もあるにはありますが、あまり積極的でないのが実情です。ですから、中小・零細企業は1,000万円以上の大きな取引ができないんです。大手志向というのは、結局のところ"何かあっても大丈夫だろう"という安心感なんですね。中小・零細企業はそういった信用がないので、いくら"協会があります"といっても1,000万円までしか保全されませんし、やはり大きな仕事は中小・零細企業には任せられない、という話になってしまいます。そこにエスクローという仕組みをどのように利用すれば我々の仕事の幅が広がり、なおかつ先生方の仕事にも繋がるのかということを考えたいんです。

玉村エスクローの必要性ということで思うのは、たとえば歯科医院のように非常に大がかりな設備を入れなければならないとします。大きな設備を入れるとなると、建物も普通の住宅とは違ったものが必要になり、それだけお金がかかる。しかし途中で解約されてしまったら費用はどうなる、ということになって損害賠償になりますね。しかし買主側も不安があります。お互いに不安があるわけです。そういったときに、本当に信用できる第三者に預けることができて、どんなパターンでも損害が出ないようなエスクローがあれば完璧ですよね。そういった仕組みがあれば、大手ではない業者さんでも仕事の機会が増えるのではと思います。

南村我々の業界はどうしても自転車操業するんですよね。そこで"保険"という考え方でエスクローの仕組みを考えられたらと思っています。要は、お金は売主が受け取るが、それには保険がかかっており、売主が事故を起こした場合は保険会社が補填してくれるという仕組みです。そういった仕組みをこの業界は求めていると思うんです。

川崎鑑定士の立場ではなく、仲介をやっている不動産業者としていつも困ることなんですが、売主が業者の収益不動産はどんどん値段が上がっています。たとえば5億のワンルームマンションを建てて買主が見つかりました。こちらは宅建業者なので、売るのはいいんですが解約されたときに5億の物件でも1,000万円しか預かれないのかと。それ以上でも預かれる制度がないと困ったことになってしまいますね。

南村保管制度というのもあるんです。一定の条件に当てはまれば、協会が手付金の保管をしてくれる制度です。それは保管するだけなので、全然問題ないんですね。問題になるのは"保証"ということです。我々不動産業者が欲しいのは保証制度なんです。大手企業のネームバリューに匹敵するようなものとすると信用力しかありません。それを保証協会がバックボーンとして保証してあげるんですが、1,000万円という上限があるのが現状です。やはり制度改革や他の方法を考えるしかないのだろうと思います。本当は保険会社が協力してくれるのが理想ですが…。この問題は、協会の中でも非常に大きな課題だと思います。この問題を考えるときに、不動産業者の信用ということがありますが、士業の先生方とのコラボレーションで信用が増すと思います。不動産業者があらゆる法律に精通している必要はないんです。専門家の皆さんともっと力を合わせていけたらと思います。


南村皆様ありがとうございました。最後に座談会の感想などをお聞かせいただけたらと思います。

細谷今回のお話でも出ましたが、大切なのは利用者の方の立場に立った対応だと私も思います。でも、実際に利用者の方の対応をされるのは、皆様のような経営者ばかりでなく、各担当スタッフということになりますよね。スタッフひとりひとりの対応というのが、本当に大きなポイントだと思います。最近、私たちに寄せられる相談で多いのが"人材の劣化が進んでいるんじゃないか"ということなんです。30代や40代でも、本当に初歩的なビジネスの第一歩も知らない人が多いとお聞きします。今後、組織の差別化を考えたときに、どれだけ人をレベルアップさせることができるかということにかかっているのではないかなと思いますね。2014年度は人材教育に助成金がつくという情報も聞いていますので、これからは人材教育をしっかりやっていくという観点も必要かと思います。

私は、高齢者や成年後見のお話が仕事に直結する内容なので、大変勉強になりました。サ高住についても、今後もっと勉強させていただきたいなと思いました。

宮崎なかなか難しいテーマだったので、自分の勉強不足を痛感しました。また、自分自身の仕事においても、士業の先生方との交流を継続していくことが大切だなと感じました。

小山今回のお話で特に感じたことが、今後もっと高齢化が進んでいったときに、我々はもっと勉強しなくてはいけないということです。特に、成年後見制度ですね。業界としてや、各個人としても勉強していかなくてはと思いました。

吉村空き家対策のお話がありましたが、京都では他の地域よりは比較的進んでいるのかなと思います。京都市では、行政と不動産関係の団体、有識者で事業を進めているところです。いくつかモデルケースがあるんですが、地域の自治会と行政と各業界団体が一体となって空き家を使っていこうという事業です。2014年度には、おそらく空き家対策の条例が施行されるだろうと思います。国の空き家対策よりも先に進んでいるんですが、それだけ京都では空き家の問題が深刻なのかなと感じています。

永松いつも「Z-movie」で動画を拝見していますが、やはり実際にお話すると身近に感じますし、理解も深まりますね。また、私が所属している支部で勉強会をどんどんやっていこうと思っていますので、ぜひ先生方にご協力いただけたらと思います。

角前エスクローのお話がありましたが、我々のような中小、弱小の企業にとっては本当に必要だと感じます。こういった機会に士業の先生方と情報交換をして、実現に向かっていけたらと思いました。

浅山実は私は今まで「Z-support」を利用したことがなかったのですが、今回色々とお話を聞かせていただいて"もったいないことをしていたな"と思いました。我々をサポートしてくださる先生方がこんなにいらっしゃったのかと気づくことができました。これを機に、心強いサポートがあるということを他の会員にもアピールしたいと思います。また不動産業界では、孤立無援でひとりで頑張っている業者もまだまだ多いです。専門知識もあまりない人たちが、手探りで取引を進めている現状がある中で、今回は良い機会をいただきました。今後ともサポートをお願いしたいと思います。

南村色々なご意見を伺うことができて、本当にありがたく思います。役員からの意見でもありましたが、まずは不動産業者と士業との交流が大切かなと思います。又、我々は誰のために仕事をするのかということ、つまり士業と不動産業者を繋ぐものはクライアントであるという原点に立って、お客さんのために必要なコンサルティングとは何か、それを専門家の先生方と考えていくことが今回の答えだということですね。例えばエスクローについても、特に制度がなくても、これだけの先生方と仕事ができるのであれば、そのこと自体がエスクローになっていくかもしれません。今後も先生方とお話する機会を設けていきたいと思いますので、これからもお付き合いいただけたらと思います。

皆様、長時間にわたり本当にありがとうございました。