【特集】Z-supportアドバイザーとシステムソリューション事業部との座談会(後編)

『Z-support 査定サービスシステム』

出席者
【Z-supportアドバイザー】(50音順)
辛島政勇(税理士)、川崎竜輔(不動産鑑定士)、金 奉植(弁護士)、小礒ゆかり(税理士)
酒井昌直(司法書士)、髙橋香織(税理士/行政書士)、髙橋芳明(不動産鑑定士)
長岡史郎(土地家屋調査士)、中川裕紀子(弁護士)、花上康一(土地家屋調査士)
原 恵一(一級建築士)、福井紀之(税理士)、細谷明子(社会保険労務士)、細谷健一(一級建築士)
松藤隆則(弁護士)、松本康正(弁護士)、森田文子(行政書士)

【近畿流通センター】
坂本俊一 運営委員長
南村忠敬 副運営委員長/システムソリューション事業部長
藤村憲正 倫理綱紀情報管理部長
龍  優  システムソリューション事業部副部長
宮崎彰太 システムソリューション事業部副部長
小山相一、永松秀昭、角前秀史、竹村秀一、伊藤 靖、中西敦子

特別出席者【全日本不動産協会神奈川県本部相模原支部長】
加藤 勉(関東流通センター企画システム委員長)


テーマ『Z-support 査定サービスシステム』

南村では、不動産査定サービスについて、まずは少しご説明させていただきたいと思います。我々不動産業者の業務の中に、不動産の査定があります。今までZ-supportの先生方とお話しさせていただいて、我々に求めるもの、期待するものをお伺いしました。先生方のお仕事の中で出てくる不動産の案件について、「売る」「売らない」がまだ決まっていない段階でも、ある程度の価格評価をつかんでおきたい、それも実勢価格を知りたいということですね。不動産業者が見た、今の取引事例、取引価格というものを把握しておきたい、というお話がありました。それを信頼できる不動産業者にお願いできるような仕組みがあれば、というお声をいただきましたので、それを受けまして、当システムソリューション事業部会で検討し、やっとスキームができあがってきました。これは不動産査定マニュアルのシステム化ではございません。あくまで、アドバイザーの先生方と会員業者のマッチングをする、ちょうどZ-supportの逆のようなイメージを持っていただけたらいいのかなと思います。



システムの構築イメージがある程度できあがりましたので、今日は先生方にもご覧いただき、ご意見を頂戴したいと思います。

髙橋芳明鑑定士の立場から、これまでも鑑定士による査定と不動産業者による査定については、どこかで線引きがあったと思います。私もよくクライアントから「鑑定士の査定価格と、不動産業者の査定価格はどう違うの?」と質問されます。たとえば売買を前提としていて、第三者取引であれば、"売りたい金額"と"買いたい金額"が一致すれば、何も問題はありません。市場が形成されていたり、価格が把握しやすかったり、あるいは売買が前提の場合は、わざわざ不動産鑑定士に鑑定してもらう必要はないんです。
ただ、利用目的が訴訟や税務申告の場合、また、収益還元法的な商業地のビル等については入居率なんかで価格が変わってきますので、特殊な案件についてはアナウンスをしていただきたいと思います。
あと、不動産鑑定士はこの査定サービスを利用しないのかというと、そうでもないんです。在住している県ではないところで依頼がきますと、まずは駅前の不動産業者さんを訪ねて相場をヒアリングさせてもらっています。マーケット調査も不動産鑑定士の業務のひとつなので、ヒアリングした内容も含めて理論的に鑑定評価書に結び付けていくというのが鑑定士の職責です。

川崎私は全日会員でもありますが、私がアプレイザーとして回答することはできませんね。業法違反になる可能性があるので。ただ、第三者的にこのサービスを見ると、とても面白いサービスだと思います。地域によって不動産価格は違いますし、鑑定士がすべて把握しているわけではありません。

花上土地家屋調査士として、このサービスを利用させてもらうシチュエーションを考えたときに、境界の立ち会いを思い浮かべました。必ず、複数の隣接地権者がいるんですね。そうすると、年に数件は「うちも売りたい」という方がおられます。その際にスムーズに宅建業者さんを紹介できればいいんですが、まだ特定の業者に意向を知られたくないけど、価格だけを知りたいということがあります。そういったときに、このサービスを利用できるなと思いました。ただ気になるのが、本人の同意を取らないといけないのか、という点です。また、査定を依頼したことによって、そこへ営業活動をされることがあるのか、というところも気になりました。

南村そこは話の原点になった部分でもありますね。依頼をされる先生が、どこまで同意を得ておられるのかということは、依頼を受ける側は分かりませんので。現地調査が可能なのか不可能なのか、それによって価格が変わることもあるかもしれません。一番怖いのは、現地調査不可としているにも拘らず、現地へ行ってしまう場合があるかもしれないことです。逆に先生の方で、現地調査不可を可としてしまう入力ミスがあるかもしれません。そういったことについても、これから先生方と話していかなければ、と思っていたところでした。コンプライアンスも含めたサイトの構築を考えていかないといけませんね。

福井このようなシステムは税理士にとっては非常にありがたいです。特に親族間売買や相続の際に、必ず実勢価格を聞かれるんですね。ただ、査定だけこのサービスで依頼しておいて、実際に売ることになったときに他の業者に頼むということもあるかもしれません。そういった場合に、査定をされる全日の会員さんには果たしてメリットがあるのだろうか、と気になります。

南村そうですね。中にはそんなケースもあるでしょうが、利用規約でそこまで細かくは規定できないでしょうね。

福井たとえば、今までは、知り合いの不動産業者さんに依頼して実勢価格をいくつも取る、という方法でした。また、実勢価格が業者さんによって違うので、複数の業者さんに頼んで実勢価格を取っていました。このサービスを利用すれば、全日さんの登録しているサービスの価格だということで、一度で済みます。

南村仕事に繋がらない査定というのは、確かに面倒な部分もあります。鑑定士さんが仰ったように、細かいデータの有無に関係なく、我々の査定というのは取引事例を参考にした簡易査定なので、それがこのサービスの骨組みになってくると思います。それ以上の部分については、Z-supportアドバイザーの鑑定士へお願いするとか、そういったこともできるのかなと思います。この不動産業者による査定サービスというのは、先生方のお仕事の中で便利に使っていただけるのではないかなと思っています。もし査定の後に任意売却となった場合は、査定をした業者に頼んでいただけたら、お互いにとって有益なのかなと思います。
ただ、それだけでは利用拡大の期待ができないだろうということも分かっていますので、業者間でもこのサービスを利用できるようにしたいと考えています。業者間ではよくあることで、自分のテリトリー外の依頼を受けるということはよくあります。こういったことをシステム化しておくのは有益なことだと思っています。

坂本取引事例がなく、実勢価格が分からない地域については、鑑定士に依頼しないといけないですよね。たとえばお客様から査定依頼があって、宅建業者が答えられない場合に鑑定士さんに相談するのは有料なんでしょうか。

髙橋芳明鑑定士が価格を出すと、国交省の価格調査等のガイドラインにも関わってきますので、無責任には答えられないんです。鑑定評価基準で規定している不動産鑑定評価書は、現地調査、役所調査、登記簿調査、あとは最近基準が変わりまして、依頼等の背景、調査の範囲、調査の範囲ができなかった場合はその理由、そういったものをすべて満たして鑑定をしないといけません。それが関わらないものというのは価格を表明しないで、たとえば変動率でいくらとかいうものだけが例外的に除外されています。無償というのは難しいですね。
Z-supportのアドバイスについても、不動産鑑定評価の価格の相談に乗るというわけではなく、こういったケースではどのような評価をしないといけないか、または一般的な市場とは違う価格になる可能性があるということをアドバイスして、お役に立てたら思って参加させていただいております。親族間で共有持分の売買があるがどのように計算したらいいのか、そこに市場性はあるのか、隣の土地から50cm土地を買うときに価格はいくらになるのか、そういった特殊な案件が出てくることを想定して、アドバイザーをさせていただいています。

南村その他に、仕組みに関してご意見はないでしょうか。

小礒たとえば、山奥の地域で売れるのかどうかもわからない物件について査定を依頼した場合、回答を得られるものなんでしょうか。また、このサービスを利用することで、情報が漏れないかが心配です。

南村不動産業者は意外と全国各地に点在しています。全日とお付き合いいただくメリットとして、スケールメリットが挙げられると思います。当面は近畿以西の業者に登録していただく予定です。23府県の業者さんにできるだけ登録してもらえれば、商品としての不動産を扱う場合は、だいたい網羅できると思います。ただ、中には価格性を否定しないといけないような物件も出てくるかもしれません。そういった場合に評価してくれるのか、ということですが、おそらく「売れません」という回答が返ってくると思います。ここが鑑定士さんの評価との違いだと思います。鑑定評価というのは、評価基準に従って、きちっと根拠づけて価格を出されます。我々の場合は「売れるか、売れないか」の判断になります。そういう情報も有益だという事ならば、そこは心配ないのかなと思います。

髙橋芳明地方に行けば行くほど、査定の対象物件が特定されてしまうんですよね。調査の際には気を遣う必要があると思います。

南村こういった新しいサービスを開始する場合は、まず研修会で会員に告知をします。その時に守っていただきたいルールをお話しします。約束事を守ってもらえる会員のみが登録する、ということになります。また、規約に違反した場合のペナルティをどうするのか、ということも考えなくてはなりませんね。
新しいサービスについて前向きに考えていきたいと思っていますが、弁護士さんの立場からも何かアドバイスいただけたらと思います。

松本訴訟の資料としては利用できなくても、交渉の材料にはなると思います。そのあたりの線引きを明確にしておいていただけると、我々も使いやすいと思います。

南村二次利用については、規約で禁止します。査定価格は実勢価格を把握するためのものであって、その他の目的には使えないという内容です。それぐらいでカバーできるのか、もっと細かい部分まで規定すべきなのかということは、できれば先生方と一緒にこのサービスを作り上げていきたいと思っていますので、それぞれのお立場でご要望等を寄せていただいて、それを最終的にかたちにできたらベストかなと思います。

坂本建築士の先生にお聞きしたいことがあります。中古住宅の査定は、我々宅建業者にとっても非常に難しいところがあります。建築士さんはそういった場合に建物の評価がわかるものなんでしょうか。

建築士としては、耐震基準の点数や構造評価点なんかは出せますが、価格については全くの専門外ですね。

南村では、査定サービスについては、本日いただいたご意見を踏まえて、もう少し中身を練りながら、利用規約等についてはアドバイザーの先生方にお聞きしながら、最終的にまとめたものをまた先生方に見ていただきたいと思います。ありがとうございました。


南村では、最後になりますが、4つ目のテーマに移りたいと思います。日頃Z-supportの相談を受けていただいている中で、面白いエピソードや印象に残っている相談等があれば、さっくばらんにお話しいただきたいと思います。松本先生、いかがでしょうか。

松本特に印象に残っているものというのはないのですが、相談の種類というのはある程度定まってきているように思います。

南村システムオープン時からご協力いただいている松藤先生はいかがでしょうか。

松藤相談内容は様々で、「来週契約するんだけど、この特約で大丈夫でしょうか?」といった超実務的なものから、「これは将来訴えられる可能性がありますか?」といった大雑把なものまでありますね。超実務的な内容は共有した方がいいと思いますし、アドバイザーとしても他の先生がどのように答えられているか興味があります。一度Z-supportDBを見てみようと思います。

南村税理士の辛島先生にもたくさんの相談が寄せられていると思います。税金の相談というのはどうなんでしょうか。相談の書き方にも色々あるんじゃないですか。

辛島そうですね。簡潔に書かれているものもあれば、質問が4つ、5つ含まれている場合もあります。相談内容としては、顧問税理士に相談したものの確信が持てなくて、セカンドオピニオンとして相談されているのかな、と感じています。

南村不動産鑑定士の先生はどうですか。Z-supportを使って鑑定を依頼されるようなことはなかったですか。

川崎一度、四国の方の山の価格を知りたい、という相談が届いたことがありました。さすがにZ-supportでお答えすることはできませんので、正式にご依頼いただいたら鑑定いたします、というように回答しました。結局仕事には繋がりませんでしたが。

南村小磯先生にも同じように、税金の計算をお願いしてきたことなんかはなかったですか。

小礒税金の計算まではありませんでしたね。

南村福井先生はいかがですか。

福井まだそれほどアドバイスしていないのですが、「どうしたら税金を払わないで済みますか?」という内容の相談もありましたね。あとは特例の使い方の相談がありました。そちらにはアドバイスに対してお礼が返ってきたので、ちょっと嬉しかったですね。

南村研修会なんかでZ-supportを利用された一般会員さんにお話を伺うと、本当に先生からのアドバイスが丁寧でわかりやすいと、非常に感謝しておられますし、お褒めの言葉もいただきます。Z-supportに関しては、システムに対する苦情というのが一度もないと思います。先生方は本当に大変だとは思うのですが、このネットワークをどんどん広げて、先生方とお仕事ができる、そういった仲間づくりをしていきたいと考えていますので、どうか今後ともよろしくお願いいたします。
では最後に当センターのメンバーから本日の感想を一言ずつお願いしたいと思います。

伊藤査定サービスについてですが、査定結果の精度を高めるために複数の業者に査定を依頼するというお話がありましたが、このサービスを無料で複数業者に査定依頼ができるとなると、私でも利用するかなと思います。
査定エリアについても、事業所の所在地から半径○mというように範囲を決めて登録するようにしてもいいのかなと思いました。

中西日頃アドバイザーの先生方にはお世話になっていますので、先生方のお役に立つのであれば、査定サービスは良い仕組みなのかなと思います。また、不動産業者が利用できるというのも嬉しいことだと思います。あと、宅地建物取引士への名称変更ですが、先生方のお話を伺って、自分自身もっと知識の向上に努めないといけないなとあらためて感じました。ありがとうございました。

竹村宅建業というものが大きく変わろうとしている時だと思います。そういった中で複雑化している部分もありますし、様々な士業の先生方と協力して、難しい問題に対しても解決していきたいと思います。私も今回初めて参加させていただいたのですが、色々な見方があるんだなとあらためて感じました。今後ともどうぞよろしくお願いいたします。

小山不動産査定サービスの話の時に福井先生が心配しておられた、査定だけ頼んで売買は他の業者に依頼する件ですが、これはそれほど気になさる必要はないと思います。仕事に繋がらない査定依頼というのは、不動産業者なら結構経験しているものです。ですから、そのへんは遠慮なさらずにサービスを利用していただけたらと思います。

宮崎今回も大変勉強になりました。今後も先生方に色々とご協力いただけるとありがたいです。今日は本当にありがとうございました。

皆様、長時間にわたりお疲れ様でございました。これにて座談会を閉会させていただきます。システムソリューション事業部副部長の宮崎から閉会のご挨拶をさせていただきます。

宮崎皆様、長い時間ありがとうございました。私個人としても、協会としても大変有意義なご意見をいただいたと思います。それらを今後のシステム開発や運営に活かしていきたいと思いますので、今後ともよろしくお願いいたします。本日は誠にありがとうございました。