【2015年7月号特集】平成27年度 不動産関連の税制改正

1 はじめに
「平成27年度税制改正大綱」は、平成26年12月30日に発表され、平成27年3月31日に平成27年度税制改正に係る改正法が成立・公布されています。
平成27年度の税制改正は、法人実効税率の段階的に引き下げと消費税再増税に注目が集まりましたが、今年度改正のうち不動産に係る部分で、かつ、重要と思われる部分を抜粋して紹介させていただきます。
2 消費税
消費税率10%への引上げ施行日は平成29年4月1日へ変更されるとともに、景気判断条項は削除されました。これに伴う経過措置として、平成28年9月末までに請負契約を締結すれば、引渡しが平成29年4月を過ぎても、旧税率8%が適用されます。
3 住宅取得等資金に係る贈与税の非課税措置の延長・拡充(贈与税)
父母や祖父母などの直系尊属から住宅取得等資金の贈与を受ける際の贈与税の非課税措置について、適用期限を平成31年6月30日まで延長した上で、非課税枠が最大3,000万円まで拡充されました。

注)東日本大震災の被災者については、非課税枠(良質な住宅:1,500万円、一般住宅用:1,000万円)を平成31年6月末まで継続します。ただし、消費税率10%が適用される住宅購入者の平成28年10月から平成29年9月までの非課税枠については、良質な住宅:3,000万円、一般住宅:2,500万円となります。

  • ① 「良質な住宅」の範囲
    良質な住宅用家屋(改正前:耐震・エコ住宅)にバリアフリー住宅が追加され、エコ住宅の要件が見直されました。
  • ② リフォーム工事の範囲を拡充
    改正前の大規模増改築・耐震リフォーム等に加え、省エネ・バリアフリー・給排水管等のリフォームを追加しました。
  • ③ 「消費税率10%が適用される場合」とは
    消費税率8%の適用を受けて住宅を取得した場合、および、個人間売買により中古住宅を取得し、消費税が非課税となる場合以外を指します。
  • ④ 適用時期
    改正前は、贈与を受けた時期によって適用される非課税枠が決まっていましたが、改正後は、住宅用家屋の取得等に係る契約の締結時期によって決まります。契約日によって、非課税限度額が異なることに注意が必要です。なお、平成27年1月以後に贈与を受けたものについては、平成26年以前に契約を締結したものであっても、良質な住宅:1,500万円、一般住宅1,000万円が適用されます。
  • ⑤ 適用回数
    これまではこの非課税措置は1回きりしか使えませんでした。しかし、平成28年9月30日までに契約した住宅用家屋(消費税率5%や8%で契約した住宅)について、贈与税の非課税措置の適用を受けた場合でも、平成28年10月以降に契約した住宅で消費税率が10%となる場合には再度この非課税措置を使うことができます。
4 住宅ローン控除等の延長(所得税)
平成27年10月に予定されていた消費税率10%への引上げが延期されたことにともない、適用期限が平成29年12月末から平成31年6月末まで延長されます。
5 買取再販住宅に係る特例措置の創設(不動産取得税)
宅地建物取引業者が取得した既存住宅(中古住宅)について、住宅性能の一定の向上を図るための改修工事等を行った後、個人の自己居住用住宅として販売する場合、宅地建物取引業者に課される不動産取得税が減税されます。
  • ① 適用期間
    平成27年4月1日〜平成29年3月31日
  • ② 改修工事等
    耐震、省エネ、バリアフリー、給排水管等の一定要件を満たすリフォーム
  • ③ 個人に販売する住宅が、以下のいずれかに該当する住宅であること
    • ● S57年1月1日以後に新築された住宅であること
    • ● 一定の耐震基準を満たしていることが次のいずれかの書類で証明できること
      • ▶ 建築士、指定確認検査機関登録住宅性能評価機関又は住宅瑕疵担保責任保険法人が証する書類(耐震基準適合証明書)
      • ▶ 住宅性能評価書の写し(耐震等級が1,2又は3であるものに限る)
      • ▶ 既存住宅売買瑕疵担保責任保険に加入していることを証する書類(保険証券の写し又は保険付保証明書)
  • ④ 工事に要した費用総額
    個人への売買価格の20%(最大300万円)以上であること
  • ④ 築年数
    宅地建物取引業者が取得した時点で、新築日から10年を経過した住宅であること
6 特定事業用資産の買換特例の見直しと延長(法人税・所得税)
事業で使っている資産を売却して、新たに資産を取得したときに、本来は支払うべき税金の一部を繰り延べるという特例、いわゆる「9号買換え」について、買換資産から機械装置を除き、適用期限が平成29年3月31日まで2年3月延長されるとともに、課税繰延率が以下のとおり見直されました。
7 その他
  • ● すまい給付金制度の延長
    引上げ後の消費税率が適用される者のうち、比較的所得が低いため住宅ローン減税の拡充措置を講じても効果が限定的な者に対し、その所得に応じて最大30万円(消費税率8%の場合)を給付する制度です。この制度について、消費税率引上げ時期の延期に伴い、平成31年6月の入居まで適用されることとなります。
    なお、すまい給付金は所得税法上、一時所得に該当しますが、国庫補助金として「国庫補助金等の総収入金額不算入の特例」の適用を受けることができ、住宅取得等に充てた部分の金額はその者の各種所得の金額の計算上、総収入金額に算入されません。
    • ① 新築住宅だけでなく、中古住宅も対象
    • ② 給付申請書を作成し、確認書類を添付して申請することが必要
    • ③ 持分保有者単位で利用可能
    • ④ 年齢が50才以上であれば、住宅ローンを使用しない場合も利用可能
  • ● 空家等対策の推進に関する特別措置法
    空き家として認定された建物のある敷地に関する住宅用地に課する特例廃止。
    特定空き家等に係る土地について、住宅用地に係る固定資産税及び都市計画税の課税標準の特例措置の対象から除外。
    • ① 「空き家対策特別措置法」は、2015年2月26日に一部施行。
    • ② 市町村の立ち入り調査、「特定空き家」に対する指導・勧告・命令・代執行・過料の規定は、5月26日施行となります。
  • ● いわゆる「マイナンバー法」関連
    適用の際に、確定申告書等に住民票の写しを添付することとされているものについて、税務署長又は市町村長が「行政手続における特定の個人を識別するための番号の利用等に関する法律」の規定により氏名及び住所等を確認することができるときは、住民票の写しの添付を要しないこととされます。
    •  ‐綉改正は、行政手続における特定の個人を識別するための番号の利用等に関する法律附則第1条第4号に定める日(平成28年1月1日予定)の属する年分以後の所得税について適用されます。
  • ● 主な特例措置の適用期限延長
    • ▶ 住宅用家屋の所有権移転登記等に係る登録免許税の軽減措置
      →平成29年3月末まで2年延長
    • ▶ 土地の所有権移転等に係る登録免許税の軽減措置
      →平成29年3月末まで2年延長
    • ▶ 不動産取得税に係る軽減措置
      →平成30年3月末まで3年延長
    • ▶ 土地に係る固定資産税の税負担の負担調整措置
      →平成30年3月末まで3年延長
    • ▶ 特定住宅地造成事業等に係る土地等の譲渡所得の1,500万円特別控除
      →平成29年12月末まで3年延長
    • ▶ 住宅取得資金等に係る相続時精算課税制度の特例措置
      →平成31年6月末まで4年6月延長