【2016年6月号特集】宅地建物取引業法の一部改正について

既存住宅の流通の促進を図るための市場環境の整備を促進するとともに、宅地建物取引業の業務に従事する者の資質の向上や、消費者利益の保護の一層の徹底を図るための「宅地建物取引業法の一部を改正する法律案」が、閣議決定されました。
国土交通省の報道発表によると、人口減少・少子高齢社会を迎える中、既存住宅の流通促進は、既存住宅市場の拡大による経済効果、ライフステージに応じた住替え等による豊かな住生活の実現等は重要な政策課題となっています。
日本の既存住宅の流通量は、年間17万戸前後の横ばい状態であり、既存住宅流通シェアは、欧米諸国と比較して極めて低い水準(14.7%)となっています。既存住宅流通が増加しない要因の一つとして、消費者が住宅の質を把握しづらい状況にあることが挙げられるため、宅建業者が、既存住宅の取引時において、専門家によるインスペクションの活用を促すことにより、消費者が安心して既存住宅の取引を行える市場環境の整備を目的としています。
また、近年、不動産取引に関連する制度等が専門化・高度化していることに鑑み、宅地建物取引業の業務に従事する者の資質の向上や、消費者利益の保護の一層の徹底を図ることとしています。


●法律案の概要
(1)既存の建物の取引における情報提供の充実
宅地建物取引業者に対し、以下の事項を義務付けることとします。
  1. 媒介契約の締結時に建物状況調査(いわゆるインスペクション)を実施する者のあっせんに関する事項を記載した書面の依頼者への交付
  2. 買主等に対して建物状況調査の結果の概要等を重要事項として説明
  3. 売買等の契約の成立時に建物の状況について当事者の双方が確認した事項を記載した書面の交付
(2)消費者利益の保護の強化と従業者の資質の向上
  1. 営業保証金制度等による弁済の対象から宅地建物取引業者を除外
  2. 事業者団体に対し、従業者への体系的な研修を実施する努力義務を賦課