【2017年10月号特集】空き家等対策の推進に関する特別措置法

公益社団法人全日本不動産協会 全日本不動産近畿流通センター
Z-support専任アドバイザー
弁護士法人 京阪藤和法律事務所
弁護士 中島宏樹

はじめに
2015年6月22日、株式会社野村総合研究所が空き家に関する衝撃的な調査結果の発表を行いました。
上記発表によると、2013年の時点で、全国には空き家が約820万戸存在しており、空家率は13.5%である、住宅の除却・減築が進まない場合、2023年には、空家率が21%、2033年には空家率が30.2%に達する、とされています。
上記結果を裏付けるように、全国各地の市町村には、近隣住民から空き家に関する苦情が多数寄せられ、職員はその対応に追われていました。
このような状況を受けて、全国各地の市町村において空き家条例が制定されるなど個別の対応がなされていましたが、空き家問題は鎮静化する兆しは見受けられませんでした。
そこで、空き家問題に対して全国的な対応を行うべく、2015年11月27日、空き家等対策の推進に関する特別措置法(以下、「空き家特措法」といいます。)が制定され、2016年5月26日、右法律は施行されました。
本稿では、施行後1年以上経過している空き家措置法のポイントを紹介させていただきたいと思います。
「空き家等」と「特定空き家等」
空き家特措法では、「空き家等」を建築物又はこれに附属する工作物であって居住その他の使用がなされていないことが常態であるもの及びその敷地(立木その他の土地に定着する物を含む。)をいうと定義しました。
そして、「特定空き家等」を、上記空き家のうち、‥櫺等著しく保安上危険となるおそれのある状態、著しく衛生上有害となるおそれのある状態、E切な管理が行われないことにより著しく景観を損なっている状態、い修梁昭辺の生活環境の保全を図るために放置することが不適切である状態にあるものをいうと定義しました。
概ね1年間の使用実績がない不動産が「空き家等」に該当するとされています。
他方、「特定空き家等」に該当するか否かについては、国土交通省からガイドラインが発表されていますので、別紙(1〜4)をご参照ください。
市町村は、特措法に基づき、空き家等について、空家等対策計画を策定すること、空き家等の所在や所有者を調査することが義務付けられ、その調査に当たって固定資産税情報を内部利用できるようになり、データベースの整備等、適切な管理の促進・有効活用が求められています。
特定空き家等に対する措置
従前、たとえ管理が行き届いていない空き家等が存在していたとしても、私有財産制の下、私的所有権は保護されることから、市町村が空き家等の所有者に対して何らかの対処を行うことには困難が伴い、また、建物が存在しているということで住宅用地の固定資産税の軽減特例が適用され、固定資産税が減額されてきました。
その結果、空き家等の所有者としては、問題があると(薄々)感じつつも、空き家等をそのままで放置するという状況が生まれていました。
今般、特措法に基づき、市町村は、特定空き家等の所有者に対して、除却、修繕、立木竹の伐採等の措置の助言又は指導、勧告、命令を行うことができるようになり、所有者がそれに従わなかった場合には、行政代執行の方法により強制執行をすることができるようになりました。
また、市町村は、特定空き家等について、住宅用地の固定資産税の軽減特例の適用を除外することができるようなりました。
特措法により、空き家等の所有者は、空き家等を適正に管理する、あるいは、処分するといった対処を取ることが求められるようになりました。
空家であるからといって直ちに市町村から強制執行を受けるわけではありませんが、他方で、空家を放置し適切に管理しないと、固定資産税が増額されるおそれがありますので、注意が必要となります。
おわりに〜空家問題の解決に向けて
昨今、空き家等については、一定の要件を満たせば譲渡所得の3000万円の特別控除を受けることが可能であり、また、空き店舗については固定資産税を増税する方向で現在、検討がなされています。
また、住宅宿泊事業法の制定により、一定の要件を満たせば空き家等を民泊として活用する道も開けました。
国を挙げて空き家問題を解決していこうという機運が高まっているといえます。
会員の皆様におかれましても、空き家等の有効活用を通じて、空き家問題の解決に取り組んでいただければ幸いです。

空き家特措法の概要<PDF>