【2018年2月号特集】
建物状況調査の結果の概要に関する重要事項説明について

建物状況調査の結果の概要とは建物状況調査を実施した建築士(既存住宅状況調査技術者)により作成される、調査対象部位ごとの劣化事象等の有無などが記載された書面です。
「建物状況調査の結果の概要」に記載されている調査対象部位ごとの劣化事象等の有無などについて重要事項として宅地建物取引士から説明されます。
建物状況調査における調査対象部位は、建物の構造耐力上主要な部分及び雨水の浸入を防止する部分が調査対象部位です。具体的な調査箇所は工法により異なりますが、構造耐力上主要な部分に関しては「基礎、土台及び床組、床、柱及び梁、外壁及び軒裏、バルコニー、内壁、天井、小屋組」、雨水の浸入を防止する部分に関しては「外壁、内壁、天井、屋根」が一般的です。

木造・鉄骨造と鉄筋コンクリート造等では、調査対象部位、調査実施の方法が大きく異なるため、「建物状況調査の結果の概要(重要事項説明用)」には、木造・鉄骨造用と鉄筋コンクリート造等用の2種類が用意されています。
建物状況調査を実施してから1年を経過していない建物状況調査が複数ある場合には、取引物件の現況との乖離が最も小さいと考えられる直近の建物状況調査が重要事項説明の対象となります。

なお、1年以内の直近の建物状況調査以外に、劣化事象等が確認されている場合など、取引の判断に重要な影響を及ぼすと考えられる建物状況調査を別途認識している場合には、消費者の利益等を考慮し、宅地建物取引業法第47条に違反することのないよう、当該建物状況調査についても購入又は賃借の希望者に説明されることとなります。

購入又は賃借の希望者から建物状況調査の結果に関し詳細な説明を求められた場合は、宅地建物取引業者は売主又は貸主を通じて、建物状況調査を実施した者に対して、購入又は賃借の希望者が詳細な説明を求めていることを連絡し、詳細な説明のための調整を行うこととなります。

「建物状況調査の結果の概要」は、重要事項として宅地建物取引士から購入希望者等に対して説明されます。買主がリフォームやメンテナンス等をする際に「報告書」が参考となるため、建物状況調査の依頼者が売主の場合には、これらの書類を買主に渡すことが望ましいとされています。又、建物状況調査の依頼者が購入希望者等の場合には、売主に「建物状況調査の結果の概要」及び「報告書」を渡すかを、あらかじめ売主と購入希望者等の間で相談しておく必要があります。

建物状況調査の依頼者である売主等が「建物状況調査の結果の概要」や「報告書」を紛失した場合は、調査実施者に対してこれらの書類の再発行を依頼することが可能な場合は、売主等が準備して、宅地建物取引業者に渡すことが一般的です。再発行が困難な場合など、やむを得ず調査結果が確認できないときは、宅地建物取引業者は重要事項説明時において調査結果が不明である旨を説明することとなります。

貸借の場合も、建物状況調査の結果の概要について重要事項として説明が必要となります。
又、賃貸マンションの所有者が「住棟型調査」を実施した場合、宅地建物取引業者は各住戸の賃借の希望者への重要事項説明の際に、住棟型調査の結果の概要を、重要事項として説明しなければならないこととなっています。
このため、所有者と貸主が異なる場合には、宅地建物取引業者は、予め所有者に調査実施の有無を確認し、必要に応じて管理組合及び管理業者に問い合わせることが必要となります。
宅地建物取引業法上の建物状況調査以外の調査(建物状況調査の実施後1年を経過したものも含む。)については、ただちには重要事項説明の対象にはなりませんが、宅地建物取引業法上の建物状況調査以外の調査であっても、調査において瑕疵が発見される等、取引の相手方等の判断に重大な影響を及ぼす調査結果であるにもかかわらず故意に説明をしなかった場合などに、同宅地建物取引業者は、法第35条、第47条違反に問われる可能性がありますので注意が必要となっています。