【2019年10月号特集】存続危ぶまれる商店会に生き残りの秘策はあるか

日刊不動産経済通信記者 篠木 美由紀(しのぎ・みゆき)

 「かつては賑わっていた商店街も今やシャッター通りとなり…」
 このような商店街衰退のニュースに触れると、多くの人は「地方」「過疎化」といったイメージを持つのではないだろうか。
 地方でもなく、目立って過疎化が進んでいる土地でもないのに、存続が危ぶまれている商店会がある。筆者が生まれ育った東京・杉並区のとある商店会だ。杉並区の人口は約57万人。区内の駅前はJRも私鉄も、それなりに賑わっているように感じる。
 商店会が複数連なって、商店街を形成する。実家は、駅を起点とすると末端に位置する商店会に所属する。危機の原因は高齢化だ。商店会の顔役たちが高齢者ぞろいになった。会長さんは80代、会計担当の母も70代だ。一時期、隣の商店会との合併が持ち上がったが、うまく折り合わずその話は立ち消えた。解決策を見出せないまま、お神輿が出る秋の祭りは2017年を最後に人手不足で開催できなくなっている。
 商店街の衰退はまちの価値の下落に直結する。地方だけの話ではない。大都市のひとつの駅圏にも都心と郊外があり、郊外の衰退が始まっている。商店街の街路灯の設置には、多くの場合自治体から補助が出るため、どの商店街の街路灯もなかなか立派なものになる。光量も本数も多い。一本道を入ってしまうと、街灯はあっても商店街に比べ薄暗い。「明るい商店街を通って帰れますから夜も安心ですよ」、こうした不動産の売り文句も、商店会があってこそだ。身内なのに店を継がずにいるので、心苦しいのが本音だが、各店の次世代にも事情がある。同じような環境に置かれた都会の商店会が他にもあるのではないだろうか。
 国土交通省は、人口減少社会における地域の活性化で重要なのは、もはや「定住人口」を増やすことではなく、「関係人口」を増やすことにあると言っている(住み続けられる国土専門委員会2018年とりまとめ)。希望が持てるのは、最近ようやく、古い建物をリノベーションしたおしゃれな美容院や飲食店が出てきたことだ。応援のため積極的に利用していこうと思う。店を持つ定住人口ではないが、関係人口にはなれるだろう。
 ところで、この商店会には不動産屋がない。仕事柄、地域密着型の不動産業者がまちおこしで活躍しているという事例を目にする。地域の活性化を期待してまず不動産業者を呼んだという話は聞いたことがないが、不動産業者が来てくれるような商店会になることが課題かもしれない。