【2019年11月号特集】
国交省が中小不動産業者と不動産テック企業のマッチングを推進

株式会社不動産経済研究所 取締役編集事業本部長 田村修

 今回は国土交通省が来年度の予算計上を要求している項目の中から、中小不動産業者に関連した施策を以下の通り3本取り上げる。

中小不動産業者の新技術活用などを支援
 国土交通省は、中小不動産業者の新技術を活用した不動産取引を支援する。大手の不動産企業に比べ、資金面などでAIやIoTなどの新技術に対応することが難しい中小不動産業者の先進的な取り組みを後押しする。主に不動産流通業に関わる地場の中小不動産業者に対してモデル実証を行い、中小不動産業者による新技術導入の効果や課題を把握し、利用促進に向けた普及啓発を行う。
 最近の新技術を活用したサービスには、消費者の希望条件に合った賃貸物件を自動的に抽出してメールを配信したり、顧客管理や営業タスク管理を行ったりする「顧客管理システム」や、インターネットから予約してスマートフォンでドアを解錠し、不動産会社の立ち合いなしで内覧できる「セルフ内覧システム」などがある。国交省は、こうした新技術により効率化を実現するサービスを提供する企業と、利用したい中小不動産業者のニーズをマッチングさせる。

地方300カ所の地価動向を定期発信へ
 国土交通省は、海外投資家の資金を地方に呼び込むため、地方における地価動向の情報発信を強化する。投資判断に役立つ情報を整理し、四半期ごとに発表する。2020年度から県庁所在地やリゾート地など、300カ所の情報発信を目指す。
 公表地点は、地価公示などで目立つ動きがみられた地点を中心に選定する。県庁所在地のほか、倶知安や熱海、白馬など上昇が目立つリゾート地も多数選定する予定。国交省が都市部の100地点を対象に四半期ごとの地価動向を発表している「地価LOOKレポート」の地方版をイメージしており、英語版も同時に発表し、海外投資家の呼び水とする。地価動向のほか、土地取引件数や取引価格、取引利回り、インバウンドの動向なども反映させる。

既存戸建てのリースバックに業界共通の指針
 国土交通省は、既存戸建て住宅の流通市場を活性化するため、リースバックに関する不動産業界共通の「ガイドライン」を2020年度に策定する。既存戸建ての買取り再販も一層促進する。戸建ては、空き家の増加が目立ち、マンションに比べると流通量も伸び悩んでいる。資産としての多様な利活用方法を示して空き家になるのを抑制するとともに、流通を促進する環境整備を図る。
 自宅を売却して資金を確保し、リース契約により家賃を支払うことで住み続けられるリースバックは、一般的には知名度が低い。事業者らの声を調査したうえで、居住者の安心確保にも配慮した注意点をまとめたガイドラインづくりに着手する。