【2020年2月号特集】ミレニアル世代が好む「HaaS」が日本到来

株式会社不動産経済研究所 日刊不動産経済通信記者 千坂彰信

 テクノロジーを活用して、モノの提供からサービスの提供へとシフトするSaaS(ソフトウエア・アズ・ア・サービス)やMaaS(モビリティ・アズ・ア・サービス)。聞いただけで頭が痛くなりそうで、できるだけ距離を取っていたかったが、そう言ってられないようだ。「XaaS」が住宅分野にも越境してきて、米西海岸でいよいよ「HaaS(ハウス・アズ・ア・サービス)」という言葉が広がり始めたようだ。
 「HaaS」の定義がまだあいまいだが、シンプルな言い方をすれば、「住宅を購入したり従来の賃貸契約で借りたりせず、好きな時、好きな場所に好きなだけ住める」。モノを所有したがらないミレニアル世代(1980年〜2000年生まれ)がスーツケース一つで生活を開始でき、短期間で住む場所を変えることもできる住まい方だ。ミレニアル世代が好む交流やコミュニティも欠かせないキーワード。こうした条件を満たしているのがシェアスペース付き・家具付きの賃貸住宅「コリビング」だ。「シェアハウスの上位版」と捉えることもできる。
 コリビング事業者は世界各地で急成長している。欧州ではクオーターズ、米国ではバンガロー、シンガポールではハムレット、中国ではダンケが台頭している。日本では、三菱地所がハムレットと合弁会社を立ち上げた。東京のほか大阪、名古屋などで事業を展開していくという。居室の広さよりも、共用スペースや家具、そしてつながりを求めるのがミレニアル世代の嗜好。そうした付加価値がある分、賃料は周辺相場よりもやや高めに設定されている。
 1棟まるごとコリビング物件というパターンが多いが、コミュニティスペースがある物件をハブにして、周辺の賃貸物件を1戸単位で集めて、ソフト的につながるという分散型の展開も可能だという。その際、イベントへの参加を呼びかけるスマートフォンの専用アプリケーションが必須となる。また、違う物件に住みたくなった際はコリビングのプラットフォームで簡単に探すことができる。
 この世代もいずれ家族を持てば住宅を購入するだろうが、コリビングは住宅分野では数少ない伸びしろのあるアセットタイプとも言え、また住宅というものを利用の面から再度見つめ直す機会も提供してくれている。