【2020年3月号特集】「管理」が不動産業の成長ビジネスに

株式会社不動産経済研究所 取締役編集事業本部長 田村修

 今後の不動産業は「管理」がこれまで以上に重要なキーワードになる。今通常国会に住宅・不動産関連の法案が4件提出される予定だ。そのうち3件の法案が「管理」にフォーカスしている。
 2月4日に閣議決定された「土地基本法」の改正案は、土地を適正に管理する必要性を明確にすることがポイントだ。土地に対するニーズが旺盛だったバブル期に制定された土地基本法には、土地に対して管理を求める規定がない。制定から30年以上が経過し、昨今の課題は増加する所有者不明土地への対策と人口減少社会で減退する土地利用ニーズへの対応である。改正法では、土地所有者の責務を新たに位置付け、適正な土地の管理を促す。管理できなければ、利用して管理できる別の担い手に土地の権利を円滑に移管できるようにする。
 もう一つの法案はオーナーから賃貸住宅を借り上げ、利用者に転貸するサブリース事業を新たに規定する「賃貸住宅の管理業務等の適正化に関する法律案(仮称)」。サブリースのうち、家主と業者の間の契約を「特定賃貸借契約」として、誇大広告や不当勧誘の禁止などの規制をかけるほか、賃貸住宅管理業者を登録制とする。登録業者には管理受託契約の締結前・締結時の重要事項の説明と書面の交付、入居者から預かった家賃と自己の財産との分別管理、管理業務を受託している家主への定期報告なども義務付ける。
 三つ目は「マンション管理の適正化の推進に関する法律」の改正。改正の方向性として、マンションの管理不全を防止し、管理水準を全国的に底上げするため、行政の役割を強化するとともに、管理の適切性を評価し、適切な修繕を促進する。国土交通大臣が策定する基本方針に基づき、地方自治体は任意で「マンション管理適正化計画」を策定する。計画には管理状況の実態を把握する方法や、管理適正化の推進施策などが盛り込まれる。計画を定めた自治体は、適切な管理計画のあるマンションを認定する「管理計画認定制度」を設ける。認定基準は、地方自治体ごとに異なるが、管理組合の総会などが適切に開催されていることや、長期修繕計画があって修繕積立金が適切に積み立てられていることなどが前提になる。
 不動産に対する旺盛な需要がバブル崩壊以降、潮目を変え、平成の30年間を経て社会構造や事業、政策が様変わりした。不動産を利用して管理し続けることの困難さに令和時代は直面している。不動産業界にとっては、新たな政策の焦点である「管理」が成長ビジネスにつながる可能性を持っている。